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ワープの松さん ~普通の会社員、ワープを副業にしてFIREを目指します~  作者: 松さん


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第28話 政府と組んだこと、発表します

休日。今日は久しぶりに、最初からYouTube配信をするつもりで準備していた。いつものスマホを開いてYouTube Studioを確認すると、見慣れない表示が増えている。


「……ん?」


何だこれ。開いて、表示された文章を読む。念のためもう一度読む。


「……収益化、通ってる」


少し遅れて意味を理解した。


「やった!」


普通に声が出た。あの11時間の1日旅行配信では、ピークで60,000人以上が見てくれて、登録者も一気に増えた。なのに広告収益はゼロだった。


そもそも、あの時の俺は収益化されていなかったからだ。翌日の仕事の休憩時間に申請して、それからずっと審査中。その間に政府からメールが届き、面談に行き、白石さんが担当になり、俺専用のチームまでできた。


会社にも勤務調整の話が入った。いろいろ起こりすぎていたけど、収益化の審査が消えたわけではない。


「ようやくか」


画面には、これから条件を満たす動画や配信で収益を受け取れることが表示されている。政府からも協力に対する金は出る。でも、そもそも俺がYouTubeを始めた理由はこっちだった。


ワープを使って、人に見てもらって、収益にする。そしてFIREする。


「俺、これで稼ぎたかったんだよな」


政府との話が大きすぎて、目的まで国家規模になりかけていた。登録者数も確認する。


「88,000……」


あの大バズの後も少しずつ増え続けて、もう100,000人が見えるところまで来ている。初配信の頃は、1人増えただけで喜んでいた。二桁が見えたと思ったら1人減って、普通にがっかりしたこともある。


それが今は、あと12,000人。


「今日、10万いかないかな」


今日は普通の配信ではない。政府との協力について、初めて視聴者へ話すつもりだ。話題としては大きい。


ただし、政府と組んだからといって何でも勝手に話していいわけではない。


「これ、先に確認しないとダメだよな」


机に置いていた政府端末を手に取る。白石さんへメッセージを送った。


『今日のYouTube配信で、政府と協力することになった件を話そうと思っています』


すぐに続けず、何を話したいかも整理する。専用の連絡体制ができたこと。警察や消防などで確認された救助情報を、必要なら俺へ伝えてもらえること。


そして、連絡が来たからといって出動が強制されるわけではないこと。そのくらいなら、視聴者にも説明しておきたい。しばらくして政府端末が鳴った。


『どの範囲を公表する予定でしょうか』


やっぱり確認が入る。


『専用のチームができたことと、事故や災害について確認済みの情報を送ってもらえるようになったことです。あと、要請が来ても協力するかは自分で決めること。それと、協力には報酬が出ることがある、くらいまでは話したいです』


送信すると、


『承知しました。公開可能な範囲を確認しますので、少々お待ちください』


と返ってきた。


「こういうの、本当に確認いるんだな」


政府と協力する。言葉だけなら簡単だけど、その政府が持っている情報や連絡手段まで好き勝手に公開できるわけではない。その辺りは今までのYouTubeとは全然違う。


確認を待つ間に、配信の準備を進める。生活圏とは関係のない場所へ移動し、水泳帽、ミラーゴーグル、マスクを着ける。いつもの格好だ。


「相変わらず怪しいな」


見慣れたけど、政府と正式に協力する人間の格好ではない気がする。配信用には普段使っているスマホ。古いスマホは地上で配信状態を見る補助。


政府端末はポケットへ。3台持ちにも、少し慣れてきた。準備が終わった頃、白石さんから返信が来る。


『確認が取れました。政府内に空中スイマーさんとの連絡・調整を行う体制が設けられたこと、関係機関で確認された情報を必要に応じて共有できること、協力が本人の意思を前提としていることは公表可能です。また、協力に報酬が発生する場合があることも公表可能です。ただし、具体的な金額や条件は公表しないでください』


続けて、公表しない内容も送られてきた。チームの具体的な人数。内部の連絡経路。


政府端末の詳しい機能、俺の身元、能力の細かい条件。


「まあ、その辺は出さない方がいいよな」


そして最後に、


『政府側でも、本日、空中スイマーさんとの連絡・協力体制を整備した旨を公表します。松さんの配信開始後、公表する予定です』


とあった。


「なるほど」


これなら順番も分かりやすい。まず俺が自分の口から話す。その後、政府側の公式発表も出る。


俺1人が突然、


『政府と組みました!』


と言っているだけより、はるかに信用される。


「じゃあ始めるか」


配信開始。


『ライブ配信を開始しました』


「どうも、空中スイマーです」


まだ何もしていないのに、数字がかなり速い。2,000、3,000、4,000。


「早いな」


コメントも一気に流れ始めた。


『きた』


『今日は何する?』


『久しぶり』


『ニュース見た』


『縄跳びして』


「縄跳びはもういいだろ」


5,000。6,000。開始しただけでこれだけ来る。


昔とは完全に違う。


「今日はですね、大きめのお知らせがあります」


『顔出し?』


『引退?』


『結婚?』


「全部違います」


特に最後はどこから出た。


「ただ、その前に1個だけ」


俺は少しだけ笑う。


「YouTubeの収益化審査、通りました」


コメントが一気に増えた。


『おめ』


『やっとか』


『11時間配信ゼロ円の人』


「それ言うな」


覚えてる人いるのか。


「でも、これで今日から配信した分は、ちゃんと収益が発生する可能性があります」


『FIRE近づいたな』


『金の話になると元気』


「大事だから」


俺は登録者数を見る。


「今88,000くらいなので、チャンネル登録もお願いします」


『本題まだ?』


「今からです」


こっちも大事なんだけどな。少し姿勢を直す。


「政府と正式に協力することになりました」


一瞬だけ、コメントが止まったように見えた。次の瞬間には、さっきまでより速い勢いで文字が流れ始める。


『は?』


『政府!?』


『ガチ?』


『急に規模でかい』


『この前まで縄跳びしてただろ』


『国家公認ヒーロー?』


「それは違います」


そこはすぐ訂正する。


「国家公認ヒーローになったわけじゃないです。俺も普通に会社員のままです」


『じゃあ何したの』


「説明するとですね」


前にパトロール配信をした時のことを思い出す。


「前に、空から事故とか探してたじゃないですか」


『情報の方が遅かったやつ』


「そう。それ」


ワープ自体は速い。何かあればすぐ行ける。でも、全国のどこで何が起きているのか分からなければ意味がない。


コメントに、


『どこかで事故らしい』


と書かれても、それが本当なのか、今なのか、どこなのかすら分からなかった。


「なので今後は、警察とか消防とか、そういうところで確認された情報を、必要なら政府側から俺に送ってもらえるようになりました」


『政府が情報係になった』


『マジでオペレーターできた』


『コメント欄の案実現してて草』


「俺もそれ思った」


あの時。


『誰か事故の場所をちゃんと教えてくれる人がいれば』


と言った。まさか答えが政府になるとは思わなかった。


「政府の中に、俺との連絡とか情報整理をする専用のチームもできています」


『専属チーム!?』


『急に主人公っぽい』


『税金で空中スイマー係』


「言い方」


でも完全には否定できない。


「あと、連絡が来たら必ず出動しないといけないわけではないです。そこは俺が決めます」


『仕事中は?』


「本業優先です」


『政府より会社』


「まだFIREしてないからね」


登録者。91,000。


「お」


『何?』


「登録者、91,000」


『今日10万行きそう』


『今それ見るの草』


「見るでしょ」


政府の話をしていても、YouTubeの数字はYouTubeの数字だ。俺は別に政府職員になったわけではない。配信者でもある。


「10万行ったら普通にうれしいからね」


『耐久配信しろ』


「しません」


その時。


『政府公式きた』


というコメントが流れ始めた。


「もう出た?」


古いスマホで確認する。確かに政府側からも発表が出ている。空中スイマーとの連絡・協力体制を整備したこと。


必要に応じて関係機関から情報を共有すること。協力は本人の意思を前提とすること。


「本当に出てる」


『お前が一番確認するな』


「聞いてはいたけど、実際に見ると変な感じするんだよ」


政府の公式文書に、空中スイマー。自分でつけた名前だけど、どう見ても公的文書向きではない。


「もっとちゃんとした名前にしとけばよかったかな」


『手遅れ』


『水泳帽の時点で諦めろ』


「それはそう」


同接は20,000人を超えた。登録者も93,000。そこからは質問を拾いながら、政府に全部管理されるわけではないことや、YouTubeも今まで通り続けることを説明した。


『政府から給料出る?』


「報酬が出ることはあります。具体的な金額とか条件は話しません」


『副業増えた』


「そうなんだよ」


会社、YouTube、政府、投資。


「なんか俺、副業の管理ちゃんとした方がよくない?」


『個人事業主』


「あ」


それ。前にAIへ聞いた。


「そういえば俺、『ヒーローって個人事業主になれる?』って聞いたことあるわ」


『なれる?』


「その時は、収益出たらちゃんと考えようってなった」


そして今、収益化が通り、政府からも報酬が出る。


「……本当に考えないとダメになってきたな」


登録者は96,000。


「あと4,000」


『気にしてるな』


「そりゃ気にするよ」


10人いたのが11人になり、また1人減った。


そんな時期を普通に覚えている。今さら80,000人いるからどうでもいい、とはならない。


「今日10万行くかな」


そこからしばらく、コメントを拾いながら政府との協力について話した。


その時。聞き慣れない通知音が鳴った。


「……」


配信用スマホではない。ポケットの中の政府端末だ。


「え」


コメントが反応する。


『今の何』


『別のスマホ?』


『政府?』


『まさか』


端末を取り出す。当然、画面はカメラに向けない。通知。


白石さん。


『救助協力のお願いです。現在対応可能でしょうか』


「……来た」


さっきまで。もし配信中に要請が来たらどうする。そんな話をしていた。


本当に来た。


「ちょっと待ってください」


コメントが一気に速くなる。


『ガチ?』


『何かあった?』


『政府から?』


『フラグ回収早い』


俺は政府端末の内容を確認する。道路上で発生した車両事故。消防、救急、警察はすでに現場対応中。


車内に1人取り残されていて、周囲には二次事故の危険がある。通常の方法では救出に時間がかかる可能性があり、俺による退避が可能なら協力してほしい。続けて白石さんから、さらに整理された情報が来る。


『現地消防が状況を確認済みです。松さんにお願いしたいのは、対象者1名を指定された安全区域へ移動させることのみです』


「……これだ」


前のパトロールで欲しかったものが、全部ある。場所。今起きているのか。


本当に救助が必要なのか。誰が判断したのか。俺が何をすればいいのか。


どこへ移せばいいのか。全部、専門側で整理されている。


『現在対応可能でしょうか』


俺は少しだけ考える。今は配信中だ。


『今配信中なんですけど、配信を続けたまま向かって大丈夫ですか?』


少し待って、返信。


『現地側にも確認しました。継続する場合は、場所を特定できる情報、対象者、車両、関係者等を映さないでください。難しい場合は配信を停止してください』


「分かりました。無理そうなら切ります」


その上で、


『行きます』


と返した。すぐに安全な到着地点が送られてくる。配信用スマホを見る。


「今、消防から確認済みの救助要請が来ました」


コメントの雰囲気が変わった。


『ガチ?』


『行って』


『配信切る?』


『場所どこ?』


「場所は言いません。事故の詳しい情報も出しません」


ここは遊びじゃない。事故に遭った人にも家族にも生活がある。


「現場で映しちゃいけないものがありそうなら、その時点で配信は切ります」


『それでいい』


『安全優先』


『気をつけて』


俺は政府端末で指定された到着地点をもう一度確認する。安全確認済み。


「じゃあ」


カメラを見る。


「ガチ救助に行きます」


空を見る。


ワープ。


景色が変わる。さらに前方を見て、またワープ。配信は続いている。


『うわ』


『始まった』


『急に空』


『政府連携初出動』


今はコメントを読む余裕がない。地上。方向。


安全。政府端末の情報。見える場所をつなぎながら移動する。


ワープ。


またワープ。目的地が近づく。最後は政府側から指定された、人や車の流れから外れた場所へ降りた。


「着いた」


周囲には消防車、救急車、警察車両。本当に事故現場だ。俺は配信用スマホを自分寄りに向け直す。


「なるべく現場とか人は映さないようにします」


『それでいい』


『事故映像いらない』


『声だけでも十分』


近くにいた消防の人が俺を見る。


「空中スイマーさんですか?」


「はい」


話は通っている。水泳帽とゴーグルとマスクの人間が事故現場に現れて、それで通じるのもどうかと思うけど、今は気にしない。


「こちらです」


「お願いします」


案内される。俺が事故全体を判断するわけではない。危険性も、救出優先度も、医療状態も、専門家が判断する。


「対象者は1名です。意識はあります」


「はい」


「こちらの安全区域へお願いします」


指定された場所を見る。十分な空間があり、救急隊も待機している。


「分かりました」


事故車両へ近づく。対象者の顔が配信に映らないよう、スマホの向きも確認する。


「今から安全な場所へ移します。いいですか?」


本人にも聞こえるように伝える。うなずくのが見えた。現場側も確認する。


対象者と移動先を俺も見る。


認識する。


ワープ。


一瞬で景色が変わった。


「お願いします」


救急隊へ引き渡す。


「はい!」


そこから先は俺の仕事ではない。救急。消防。


医療は専門家の領域だ。俺は少し離れる。


「……終わり?」


早すぎて、自分でも分からない。現場の人へ確認すると、


「こちらは大丈夫です。ありがとうございました」


と返ってきた。事故処理自体はまだ続いている。でも、俺に頼まれた部分は終わった。


政府端末にも白石さんから連絡が来る。


『対象者の引き継ぎを確認しました。現時点で追加の協力要請はありません』


「よかった」


そこで初めて、少し息が抜けた。配信用スマホを見る。コメントがものすごい速度で流れている。


『終わった?』


『早すぎ』


『一瞬だった』


『消防の声ガチだった』


『これが情報係か』


『前のパトロールと全然違う』


「そう」


俺も同じことを思っていた。


「これだ」


前は、空を飛んで事故を探した。コメントから情報も集めた。でも、


『事故らしい』


『人が倒れてる』


それだけでは何もできなかった。


「前は、俺が事故を探してる時間の方が長かったじゃないですか」


『そう』


『情報の方が遅かった』


「今日は、俺が来る前に全部確認されてる」


場所、状況、対象者。


安全な移動先。俺が専門家の代わりに判断しなくていい。


「俺がやったの、移動だけです」


それでいい。むしろ、その方がいい。俺はワープできるだけで、消防士でも医者でも警察官でもない。


『チーム機能してる』


『政府情報係つよい』


『これ完成形じゃん』


『国家公認ヒーロー』


「だから公認ヒーローではないって」


少し笑う余裕も戻ってきた。そして。いつもの癖で数字を見る。


「……え?」


登録者。10万を超えている。


「ちょっと待って」


もう一度確認する。107,000。


「10万超えてる!」


コメント。


『おめ』


『今さら』


『救助中に超えた』


『10万人おめ』


『銀盾』


「いつ?」


『現場向かってる途中』


『ワープしてる時』


『見てなかったの?』


「見てないよ!」


そりゃ見てない。


「一番見たかったところ見てないんだけど」


『人命優先』


『それでいいだろ』


「いや、それはそうなんだけど」


救助中に、


「あと何人かな」


とか確認していたら、俺でも嫌だ。でも。終わったなら別。


「100,000人か……」


初配信。1人。3人。


6人。縄跳び。古いスマホの電池。


あの頃から。本当に100,000人まで来た。


「ありがとうございます」


素直に頭を下げる。


『古参です』


『同接1桁から見てた』


『縄跳び勢』


「縄跳び勢って何だよ」


同接も100,000人を超えている。113,000。十一万6,000。


さらに増える。


「前の68,000でも意味分からなかったのに」


118,000。


『ピーク更新』


『政府公式から来た』


『ニュース出始めてる』


「そりゃ増えるか」


政府との正式協力。その発表直後に、本当に政府経由の救助要請が来た。それを生配信でそのままやった。


見る側からすれば、かなり大きな出来事なんだろう。政府端末がもう一度鳴る。白石さん。


『救助完了を確認しました。ご協力ありがとうございました。体調に問題はありませんか』


「……体調?」


返信する。


『大丈夫です』


すぐに、


『承知しました。帰宅後も異常があれば連絡してください』


と返ってきた。


「健康まで見るのか」


小声で言ったのに、コメントには拾われた。


『誰?』


「政府」


『何て?』


「体調大丈夫かって」


『過保護』


「まあ」


少し考える。世界で1人しかいないかもしれない能力者なら、普通の会社員より健康を気にされてもおかしくない。この辺りも、そのうちちゃんと話をされるのかもしれない。


その後もしばらく配信を続けた。事故の詳細や、助けた人の状態については俺から勝手には話さない。俺が知っている範囲も少ないし、それでいい。


登録者は11万、11万2,000、11万3,000と増えていく。


「まだ増えるな」


『収益化初日大勝利』


「あ」


そうだった。


「今日、収益化が通った初日なんだよ」


『結局金』


『FIRE男』


「大事だって」


人を助けたからといって、急に金に興味がなくなるわけではない。救助した本人から金を取るわけでもない。救助は救助。


YouTubeはYouTube。最初から分けて考えている。


「今日の収益、いつ見られるんだろ」


『救助した直後にそれ言う?』


「だから別なんだって」


俺はFIREしたい。そこは変わらない。時間を見る。


そろそろいい頃だ。


「じゃあ、今日はこの辺で終わります」


コメントがまた流れる。


『おつ』


『10万人おめ』


『政府回すごかった』


『初救助おつ』


『次いつ?』


「またやります」


登録者。十一万5,000。同接のピークは118,000人くらい。


「1日でいろいろ起きすぎたな」


収益化審査通過。政府との協力発表。初めての政府経由救助。


登録者100,000人突破。


「初配信で1桁だった人間の1日じゃないだろ」


『成長』


『縄跳びのおかげ』


「絶対違う」


最後。忘れない。


「チャンネル登録お願いします」


『まだ言う』


「115,000まで来たんで」


『十分だろ』


「多い方がいい」


FIREまではまだ遠い。


「では、お疲れさまでした」


配信終了。


『ライブ配信を終了しました』


急に静かになる。少し前まで100,000人以上が画面の向こうにいたのに、今は俺1人だ。いつものスマホと政府端末を並べる。


今日。政府との協力を初めて公表した。初めて政府から救助要請が来た。


その情報を使って、本当に人を助けた。そして。YouTubeの登録者が100,000人を超えた。


「……すごいな」


自分のことなのに、少し他人事みたいだ。YouTube Studioを開く。収益化。


有効。そこまで見て。ふと思い出した。


前にAIへ聞いたことがある。


『ヒーローって個人事業主になれる?』


あの時は、1円も稼いでいなかった。YouTubeも始めていなかった。今は違う。


YouTubeから収益が出る。政府からも報酬が出る。今後、企業との仕事まで始まるかもしれない。


「これ」


さすがに。


「本当に個人事業主の話、やらないとダメじゃない?」


そして。一番現実的な単語が頭に浮かぶ。


「確定申告か……」


ワープしても。政府と組んでも。100,000人に見られても。


そこからは逃げられないらしい。

次回、第29話「初めてYouTubeの収益が出ました」


次回更新:10月11日 12:10予定

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