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剣と魔法の義経記  作者: 久手史郎
第二章 覇王包囲網
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第十七話 強制クエスト失敗 その3

やっと書きたかった。俺Tueee同士の源平英雄バトルを書けてちょっとスッキリ

「はあ、はあ、はぁ」

以仁王は寺にたどり着いた。

以仁王の時代の寺は多機能だ。

学園でもある。信仰の場所でもある。訓練場でもある。そして城塞の機能ももっていた。


籠城可能だ。

以仁王は寺にたどり着いてようやく落ち着くことができた。


(おそろしい)

以仁王は恐怖にとりつかれていた。


源三位頼政に相談したのは覇王が原因だ。

覇王が法皇を幽閉し、所領没収したからだ。


そして義憤にかられ源三位頼政に相談し挙兵しようとした。

源三位頼政は覇王と共に崇徳天を倒した男だ。

そして鵺という妖魔すら倒していた。


その男が立ち上がれば覇王と対抗できる。

それが以仁王唯一の戦略だ。


ところが……

覇王どころか、その配下の平知盛相手に窮地に立たされていた。


平知盛は平家一門を動かしている裏の実力者なのだが以仁王はそのことを知らない。

朝廷でたまに見たことがあるが、いつも咳込んでおり病弱という印象しかなかった。


その相手に敗北しようとしていた。


以仁王は先ほどの戦で平知盛が使った魔法を見た。


戦死者と魂を武器として敵を切り刻み浄妙達を肉塊に変えた魔法を

(おぞましい)


以仁王は震えた。


死後の魂すら操るのだ。

以仁王は自分の死後、天国にもいけず。転生もできず、平知盛に操られる自分を想像した。


(いやだ。いやだ。いやだ)

以仁王の歯が震えた。


あれが合戦か。


源三位頼政と平知盛の魔法合戦を見た。

とても普通の人では入っていけない。そんな異次元の戦だった。


(無謀だったか)

以仁王は後悔した。


覇王が法皇幽閉。所領没収と強硬手段に出た理由をよく考えるべきだったと思った。

(反乱を鎮圧できる自信があるのだ)

以仁王はそう思った。

あの源三位頼政ですら敗色必死なのだ。

他の誰が覇王を平家を倒すことができるだろうか。


(あえて反乱させようとしたのではないか? そのために所領没収などという暴挙にでたのえはないか?)

とすら思えてきた。


反乱分子のあぶり出しだ。


法皇を幽閉したらどうなるか?

勤皇の志のあるものが反乱に立ち上がるだろう。


所領を没収したらどうなるか?

平家の反対勢力が反乱に立ち上がるだろう。


そして、その反乱が鎮圧されたら。

平家の世は盤石だ。


(もしかしたら、そのために踊らされたのかもしれない)

以仁王は不安に不安を重ね、わけがわからなくなっていた。


その心にあるのは、先ほどの戦場の風景と恐ろしいという感情だけだ。


不意に部屋の雰囲気がかわった。

彼は寺に逃げ込んだ後、客間に案内され、そこにいた。

その客間の雰囲気が変った。


何が変ったかと問われても以仁王もうまく言葉にできなかっただろう。



その後、水音がした。


その水音が徐々に大きくなる。


やがて波の音が聞こえた。


(そんな阿呆な)

ここは寺の中、部屋の中。

波の音が聞こえるわけはないのだ。


以仁王が周囲を見渡す。

何もない。


(このままではまずい)

本能でそれを感じた以仁王は部屋から出ようと立ち上がる。


「あ」

その時、床が大渦に変った。


以仁王は驚く間もなく大渦に飲み込まれた。


渦に翻弄され、息継ぎの呼吸も難しい。

そのまま謎の海の中で息絶えようとしたとき目の前に人を見た。


(平知盛!)

以仁王は見た。

謎の海の中に立つ平知盛を


平知盛は剣を抜き無言で以仁王に近づく。


「あ」

平知盛の剣が繰り出された。


それが以仁王が生前に見た最後の光景となった。



”以仁王の令旨”という強制クエストは失敗に終わった。

【お知らせ】

こちらも連載中です。よろしければ見ていただけると嬉しいです

■機動小隊レンジャーワン https://ncode.syosetu.com/n8156lf/


【あとがき】

以仁王の令旨を受け取った人たちは明治維新風に表現すると勤王の志士になるのでしょうか?


こんな作品ですが「面白かった」「続きが気になる」と思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。

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