第十七話 強制クエスト失敗 その1
以仁王と源三位頼政は神宮十郎に”覇王包囲網”の構築を任せると手勢を率いて南都を目指した。
南都には興福寺 東大寺という反覇王勢力がある。
そこと合流するためだ。
途中”覇王包囲網”を策実行のため動いていた神宮十郎の檄文を受けた浄妙率いる三井寺の僧兵も参加し軍勢は膨れ上がった
これに南都の勢力を加えたならば覇王と対抗できる。
源三位頼政はそう考えていた。
しかし
現実は甘くなかった。
この動きをいちはやく察知した男がいる。
平家を実質的に動かしているといわれる影の支配者
平知盛がその動きを察知した。
「ふふふ、都周辺で私の情報網を逃れられると思わないでいたきたい」
平知盛は即断した。
放置して南都の勢力と合流した場合、危険と判断した。
相手は覇王と共に崇徳天と戦い、妖魔、鵺を倒した男だ。
甘く見ることはできない。
「少数の内に潰しておかなければならない」
そのため覇王の判断を仰ぐことなく手勢を率いて急行。
そして以仁王の軍勢をみつけると、そのまま最後尾を襲った。
「源三位様 敵が、敵がきました」
以仁王が慌てる。
相談を受けた源三位頼政も内心驚いた。
(こんなに早く動きを察知してくるとは。要注意は覇王だけだと考えていたが、覇王の将兵を甘く見ていたか)
源三位頼政は甘く見ていたことを後悔したが、強制クエストは進行中だ。
後悔している暇があったら、この状況をどうするかを考えなければならない。
(幸い宇治川が近い。あの川を盾にする。その奥には砦の代わりになる寺もある)
源三位頼政は素早く頭脳を巡らせる。
「皆の衆先に行け! この先の宇治川を渡れ。そして橋を落とせ」
源三位頼政は殿を務めるため、馬首を後方へ転じた
「源三位様!」
以仁王が源三位頼政と離れることに不安となり声をかける。
彼に万が一のことがあると、この軍勢は瓦解する。
「王よ。ここが正念場です。南都にたどり着けたらこちらの勝ち。たどり着けなかったら敵の勝ち。そういうことなのです。そして王が倒されたらそこで終わりです。早く宇治川を渡ってください」
源三位頼政はそういうと敵に向かって駆けた。
やがて敵が後方の兵を襲っているのが見えた。
「南無八幡台菩薩-山鳥-」
源三位頼政は魔法を唱える。
2筋のマジックミサイルが源三位頼政の遥か頭上から放たれる
それは爆撃弾のように急降下し敵に落ちた。
その後、大爆発が2つおきた。
平家の軍勢が吹き飛ぶ。
鵺を倒した自慢の魔法だ。
大爆発を受けて平家の動きがとまる。
「いまだ、先に行けっ!」
源三位頼政は最後尾の兵たちに大声で指示した。
兵たちは急ぎ撤退した。
源三位頼政がふと振り返ると爆発の後の噴煙の中に一人の男が立っていた。
兵士ではない。
恰好からするとこの急襲部隊を率いる将だ。
(あれは平知盛か)
源三位頼政は難しい顔をした。
彼は裏で平家の実務を行っている者だ。
表の顔の覇王がいるため目立たない存在だが、彼がきたということは覇王がきたということと実務上は同じだと考えていい。
むしろ山っ気のある覇王よりも、着実な実務家である平知盛のほうがこの場合厄介だ。
源三位頼政は敵が誰かを理解した。
そして、厳しい戦いになることを覚悟し、以仁王のもとへ戻った。
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【あとがき】
南都 奈良で大蒜とニラがめっちゃきいた美味しいラーメンを食べた記憶があります。
めっちゃ美味かった―。名前が思い出せないんですよねー
その記憶を思い出しながら書いてました。
こんな作品ですが、よろしければ評価いただけるとうれしいです。




