第十五話 クエストを受けますか?:木曽義仲の選択 その3
木曽義仲には悪ガキ仲間がいる。
今井、樋口、根井、楯、巴の五人だ。
何をするにも5人は一緒だ。
そして人は、一人でいるよりも仲間がいたほうが気が大きくなるものだ。
一人では躊躇うことでも、皆と一緒だと大胆になる。
若さのエネルギーを発散するかのようにいろんなところに喧嘩を売って歩いた。
そんな彼等だが、地元では悪評があまり聞こえない。
彼等が喧嘩を売るのは、理不尽に金や女をふんだくったり、弱い者いじめをしたりする奴らだ。
仲間の巴にちょっかい出そうとした奴らは半殺しにした。
もっとも木曽義仲にとっては特に意図はない。ただ、そういう奴らを見るとムカつくというだけだ。
そのため、ヤンチャをしている割に変な人気があった。
木曽義仲が名士である帯刀先生の子ということもその人気の要因の一つだ。
また、戦士は強いほうがよいという風潮も人気を後押しした。
そのため多少の素行の悪さは皆、目をつぶっていた。
甘やかしていたとも言う。
要は信濃国の皆に愛されていた。
その悪ガキの内、木曽義仲、今井、樋口、巴が集まって、今後どうするか酒を飲みながら話し合っていたときに根井が駆けこんできた。
「兄貴! 大変だ。高井群の平五が攻めてきた」
「何ぃーっ!」
木曽義仲は素早く立ち上がった。
今井、樋口、巴も素早く立ち上がり、外に出る。
木曽義仲もそのまま外に出て厩に向って走る。
他の面々もそれに続いた。
「根井! どんな状況だ! 平五はまっすぐこちらに向かってきてるのか?」
木曽義仲は走りながら根井に確認する。
こういうところが木曽義仲だ。
普通の人ならそのまま部屋で報告を受け状況を確認する。
彼はその並外れた直感で急がないといけないと判断した。そのため移動しながら状況の確認をした。
「大丈夫だ、兄貴。周りの舎弟が食い止めてる。それに楯も舎弟連中を見殺しにできないって向かった」
「さすが楯だ」
木曽義仲は仲間を褒めた。
楯はその名の通り、守りが得意だ。
平五が懸命に攻めても守り通す。
「おらあ。てめぇ達 いくぞ!」
木曽義仲は愛馬 鬼葦毛に乗り素早く駆けた。人すら軽く踏みつぶす巨大な馬だ。
今井、樋口、根井、巴も同様に馬に乗り、走らせる。
やがて戦場の音が聞こえた。
あの場所が平五のいる場所だ。
(楯がいるなら、平五に抜かれることはねぇ。なら、やることは一つだ)
木曽義仲は大きく迂回すると平五の部隊の後ろに現れ、背中を襲った。
「おら、おら、おらーっ」
木曽義仲の馬上剣が舞う。同時に敵兵の首も舞った。
今井、樋口、根井、巴も敵兵を刈った。
「なっ、なんで義仲が後ろからっ」
平五が慌てて振り向く。
「遅せぇ!」
木曽義仲が馬上から大上段に振りかぶり、平吾を真っ二つにした。
「俺達の勝ちだ!」
木曽義仲の勝利宣言が戦場に響く。
木曽義仲もまた源頼朝に続いて初陣を白星で飾った。
【モデル紹介】
■今井兼平
本作の今井のモデル
木曽義仲とともに各地の戦場を戦った。般若野の戦いで平盛俊を破る
粟津の戦いで自害。
■樋口兼光
本作の樋口のモデル
木曽義仲とともに各地の戦場を戦った。倶利伽羅峠の戦いでは別働隊を率い、平家軍の背後を襲った。
■根井行親
本作の根井のモデル
木曽義仲とともに各地の戦場を戦う。水津の戦いで平通盛を破る
宇治川の戦いで源義経と交戦
■楯親忠
本作の楯のモデル
木曽義仲とともに各地の戦場を戦う。倶利伽羅峠の戦いでは源行家とともに別働隊として戦う。
宇治川の戦いで根井行親とともに源義経と交戦
■巴御前
本作の巴のモデル
怪力無双の女傑。恩田師重の首をねじ切るエピソードが有名
【お知らせ】
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■機動小隊レンジャーワン https://ncode.syosetu.com/n8156lf/
【あとがき】
本作では楯が最初、平五と戦ってますが、本当は村山義直さんの役目です。楯に個性を持たせたかったので村山さんの仕事もしてもらうことにしました。
本作の平五はここで出番終了ですが、モデルとなった笠原頼直さんはこのあとも生き延びて木曽義仲と戦います。
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