第十三話 強制クエスト発生 その1
第二章 開始です。
覇王は子供が好きだ。
クロウを生かしたのも、その覇王の性格による。
当然、自分の孫もかわいい。
覇王の子達はすでに成人し政務をおこなっている年齢だ。
もはや子供ではない。
覇王がかわいいと思える範囲からは外れている。
覇王は子供ではなく、その可愛い孫を帝位につけようと考えた。
平将門のように自らが帝になることは考えていなかった。
可愛い孫を帝位につけることは覇王にとって難しくはない。
自分の娘が帝に嫁んだ。
その娘が子を産んでいた。つまり今の帝の子だ
今の帝に引退してもらえばよい。
それで帝位は孫のものになる。
問題は今の帝の父。法皇だ。
今の帝の引退を反対するのは目に見えていた。
その理由は……好き勝手出来なくなるからだ。
法皇は今の帝の後見人として好き勝手していた。
会長が実権を握り、社長が言いなりになっている会社と同じ状態だ。
ところが……
今の帝が引退すると法皇は後見する相手がいなくなるのだ。
つまり好き勝手出来ない。
この法皇の好き勝手。
覇王の一族にまで悪影響がでていた。
覇王の息子が所有していた越前国を没収したのだ。
(あいつめ。図に乗りやがって)
覇王はかつての仲間をそう罵った。
法皇は覇王にとって戦友であり、悪友だ。
最初にともに戦ったのは崇徳天との戦いだ。
崇徳天は帝であったが父に帝位を追われた。
その結果、帝となった法皇との戦いとなった。
覇王は法皇に味方した。
いろんな理由はあるが、シンプルに馬が合ったからだ。
法皇はトレンドに敏感だ。
バズっている曲を歌いまくったりしている。そういうキャラだ。
やんちゃばかりやって怒られまくっているので、怒られ慣れてる。そのため貴族の線の細さはなく、下々の民のような変なしぶとさがある。なにかやらかしても「やっべー!」といって逃げて、ほとぼりが冷めたらまたやんちゃをしだす。そういうキャラだ。
覇王も共にやんちゃしていた。
悪友としてつきあうなら悪くない相手だ。
少なくとも恨み事ばかりをいう崇徳天よりはいい。
覇王はそう思った。
だから、悪友に味方した。
もっとも、その戦は容易ではなかった。
敵に鎮西八郎という大巨人がいた。
それを共に倒した。
法皇はそういう戦友だ。
今は帝位を子に譲り、好き勝手していた。
(あいつらしい)
覇王は苦笑していた。
責任を伴う社長よりも好き勝手できる会長職の方がよいと法皇は考えたようだ。
実際、帝位にいたのは僅かな期間だった。
ところが風向きがかわってきた。
覇王の天下に不満をもつ連中がクーデターを企んだ。
それはスピード逮捕という結果に終わったが、調べていく間に、そのクーデターの会議に法皇が参加していたことがわかった。
政権トップの一人がクーデターの会議に参加するという意味不明な事態だ。
(あの馬鹿が)
覇王は苦々しく思った。
覇王は法皇の性格を知っている。
法皇が参加したのは余興としてスリルを味わうためのものだろうと考えた。
実際、法皇は会議に参加してもクーデターには参加していない。
(しょーがねーな)
覇王はクーデターの首謀者に罰を与えたが、悪友は放置した。
クーデターの首謀者に罰を与えたことで
(あとは馬鹿な真似するなよ)
と警告した。つもりだ。
しかし、つもりだったようだ。
法皇は覇王の子の所領を奪った。
さすがにこれ以上、悪友の悪戯は放置できない。
所領を奪ったことで一線を越えた。
覇王は法皇を急襲。幽閉した。殺さなかったのは覇王の甘さだ。かつての戦友にそこまで果断な処置はとれなかった。
その後、かわいい孫を帝につけた。
唯一反対する可能性のある法皇がいないのだ。
すべては覇王の思い通りに物事が進んだ。
まさに”平家にあらずんば人にあらず”状態だ。
孫を帝にしたことで、かつての悪友、法皇が文句を言ってきたが
「かつて、お前らの一族もやったことだ。崇徳帝を無理やり帝位からおろし、自分がかわいがる人物を帝につけた。その恨みで崇徳帝は魔王となったんだよな。お陰でこの都はいまだもって呪いが満ちた魔都だ。おまえらも魔王となり俺と敵対するか?」
と凄むと震えあがって何も言わなくなった。
ここに真の意味での覇王の天下が成立した。
【モデル紹介】
■後白河法皇
本作の法皇のモデル
皇太子にならずに天皇に即位したお方。
保元の乱・平治の乱・源平合戦と動乱の中で生きた乱世の法皇
■平将門
朱雀天皇時代に新皇を名乗り、坂東の独立を目指した。
俵藤太など有名武将が参加した連合軍に敗れる。
■源為朝
本作の鎮西八郎のモデル
2mを超える巨漢。その武力で九州制覇。軍船を弓の一撃で沈める恐ろしい人
後白河法皇と崇徳天皇が戦った保元の乱では崇徳天皇側についた。
■西光
本作のクーデターの首謀者のモデル
鹿ヶ谷の別荘で平家の愚痴を仲間と駄弁っていたら、それが平家にバレて斬首された。
【お知らせ】
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■機動小隊レンジャーワン https://ncode.syosetu.com/n8156lf/
【あとがき】
2章開始です。
第5話で紹介したライバルたちの動向がメインになります。
余談ですが本作では平重盛は出ません。
平清盛と後白河法皇の間をとりもった彼ですが、結果、争ってしまいます。
物語的に平重盛が出てくると、平清盛と後白河法皇の争いまでが長くなってしまうので熟考した末にオミットしました。
聖人君主の見本 平重盛のファンのかたスイマセン。
こんなんですが「面白かった」「続きが気になる」と思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。




