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剣と魔法の義経記  作者: 久手史郎
第一章 英雄集結
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第四話 ○○がパーティーから外れました その2

「鞍馬山に帰らないのですか?」

皆鶴姫はクロウに聞いた。

クロウは都にきてから皆鶴姫の屋敷にいた。

皆鶴姫にとってクロウの動きは妙だった。

都見物にきたのだから、これはあくまでも旅行で終わったら帰るものだと思っていた。

ところがクロウは腰をあげない。

「確認するものがある」

という。


クロウはこの時代に珍しく合理的な思考を持っている。

無駄を嫌う。

少しの付き合いだが皆鶴姫はそのことがわかっているだけに、無駄ともいえる都滞在を不思議と感じた。


クロウにとって都は不便なのだ。

彼は志を高く持っている。

その一環として己を鍛えることも重要だと考えている。

幸いスパーリングパートナーは皆鶴姫や弁健がいるので問題ない。

問題は場所だ。

この都ではクロウ達が思う存分、その権能を発揮できる場所はない。

仮にやったらこの都が怪獣映画で壊される町のようになる。

己を高める鍛錬の場所としては不適切だ。


それはクロウもわかっている。

それなのにクロウが鍛練に不便な都に拘っている理由が皆鶴姫にはわからなかった。


な・の・で


皆鶴姫はクロウの行動を確認することした。

行動力のある娘であった。


クロウは普段の不遜な言動からは想像しがたいが生活態度は真面目だ。

朝は早い。

朝練のためだ。


今は弁慶をいつでも呼び出せるので専ら朝練メニューは模擬戦だ。

都で大きな音を立てることは出来ないので打ち合いNG 掛け声NG

オール寸止めというメニューだ。


皆鶴姫も起きてきてその朝練に加わる。

静は朝の準備。

ちなみに陵介はぐーすか寝ている。


ちなみに皆鶴姫は陵介が何となくクロウとの実力差を感じて焦燥していることを察している。

察しているからこそ

「早く起きて鍛練したらいいのに」

と多少、腹立だしく感じている。


皆鶴姫から見てクロウは少なくとも強くなるための努力はしている。

努力する天才に勝とうと思うなら、それ以上の努力が必要なのだから。


やがて陵介も起床し、皆で朝ご飯を食べる。

その後に必ずクロウは静と出かける。

大層な荷物をもって。

今までは不要な干渉を嫌うクロウの性格を知って、行先の確認はしてなかった。

が、今回、クロウが都に拘る理由を知りたい皆鶴姫はクロウの後をつけることにした。


そのために必要なのは変装だ。

皆鶴姫は姫武者を地で行く恰好をしている。

変装するためポニーテールの髪をお団子に結い直し、町娘の恰好となった。


「これでよし」

尾行の準備が整った皆鶴姫は満足した。

「何が良しだって?」

皆鶴姫の背後から声がした。

静は驚き声にならない悲鳴をあげて振り向く。

背後に陵介がいた。

「な、な、なっ何で陵介殿が?」


「いや、皆鶴姫が何か面白そうなことをやってるからさ。俺も混ぜろよ」

陵介はニカっと笑う。


皆鶴姫はため息をついた。

陵介には皆鶴姫がクロウを尾行しようとしているのがバレていたらしい。

彼もまた町人に変装していた。


しかたなく皆鶴姫は陵介の尾行同行を許した。


そのこうしている間にクロウと静がどんどん先に歩を進める。

「行きますか。決して音は立てぬよう」

皆鶴姫と陵介は慌てて後を追った。

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