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剣と魔法の義経記  作者: 久手史郎
第一章 英雄集結
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第九話 よいちのゆみ その19

試合の開始は突然だった。

「あひゃひゃひゃひゃ(゜∀゜)」

与一が奇声をあげてクロウに突撃してきた。


与一は母から戦いは先手を必ず取りなさい。

と教わってきた。

その教えを忠実に実行したのだ。


「南無八幡大菩薩」

対するクロウは落ち着いて魔法を発動させた。


クロウの手に薄緑色に光る魔法剣が出現した。

与一のスピードは速い。

クロウが魔法を唱えている隙に肉薄し、剣をコンパクトに振り抜く。


観戦していた片岡春達は慌てた。

与一のスピードがあまりにも速く、クロウが倒されると思ったからだ。


クロウは落ち着いていた。

魔法剣で与一の剣を払った。


数多くの場数を踏んだクロウにとって、いくら速くても真っすぐに首を狙ってきた攻撃は非常に読みやすかった。

攻撃の軌道が読めていれば問題ないのだ。

その軌道上に魔法剣を差し込めば簡単に防御できる。


剣をパリィされた与一はよろけた。

走りながらという体制の悪い状態で剣を払われたのだ。

簡単に体制が崩れた。


それを逃すクロウではない。

与一の腹にミドルキックを突きさす。


鈍い音と共に与一の口から体液が噴き出た。


再びクロウが蹴りを繰り出す。

今度は顔面に前蹴りを放った。


与一はダウンし地面を転がった。


誰が見てもクロウの勝ちだった。


クロウが放った最後の蹴り。

あれは試合だったからだ。

戦闘なら蹴りではなく、魔法剣で首を刎ねていた。

そこで勝負はついていた。


与一は唖然とした。

遊びではあったが、それでも長い年月、妖魔を相手に戦ってきた。

母の言いつけ通り先手をとった。

それが通用しなかった。


信じられなかった。


「嘘だっ!」


与一は思いっきり後方に飛んだ。

逃げたわけではない。

体勢をつくるためだ。


与一は魔法を唱える。

「南無八幡大菩薩! 日光権現! 宇都宮大明神! 那須温泉大明神!」


「なっ」

クロウや静は驚いた。


魔法は神の力を借りて奇跡を起こすことだ。

どんな有能な戦士でも1柱の神の力を借りるのが限度だ。


クロウは武器の神 八幡神

伊勢三郎は修験の神 役小角


といったようにだ。


静は複数の神を降臨させているように見えるが違う。

静かはおかめの神の一柱の魔法しか使っていない。

おかめの神の魔法は神を降臨させる権能をもっている。そのためだ。


ところが


与一は四柱の神の魔法を同時行使した。

そのことにクロウと静は驚いたのだ。


与一の武器が光り輝く。武器が強化された。

与一の背から4匹の魔法の蛇が出現した。

与一が魔法の鎧に身を包んだ。

与一の体から毒煙が噴き出した。


与一は見事に四柱の魔法同時行使をして見せた。

これが傾国の魔王 玉藻御前が目指した完成形。

あらゆる理不尽をねじ伏せる究極の暴力の具現化だ。


「あひゃひゃひゃひゃ(゜∀゜)」

与一は奇声を発した。

同時に4匹の魔法の蛇の口からマジックミサイルが発射された。


クロウも魔法で対抗する。

「南無八幡大菩薩-鷹-」


クロウは魔法の力で大きく飛翔し、四つのマジックミサイルを回避した。


「天才かよ」

クロウは悪態をついた。

与一の繰り出した四柱の魔法同時行使に隙は無かった。


距離を離すと、マジックミサイルが飛んでくる。

近づくと強化された剣で攻撃されるリスクが増す。

そのリスクを覚悟で接近戦を挑んだとしても、毒煙をまともに受ける。

与一の剣を躱し、毒煙を受けることを覚悟で攻撃を繰り出しても、魔法の鎧で防がれる。


普通に隙が無かった。


「くっ。あの攻撃さえ出来れば」

皆鶴姫が悔しそうな声をあげる。


クロウは魔法のレーザーを連発する攻撃技をもっていた。

この攻撃方法なら遠距離からの弾幕攻撃で与一を倒せる。


しかし、先の魔王 崇徳天戦でその技は封じられてしまった。

皆鶴姫はそのことが悔しいのだ。


それを聞いた片岡春が俯いた。

クロウがその技を封じられた原因は、片岡春を庇って攻撃を受けたからだ。


片岡春はそのことを気に病んだ。

兄である、片岡八郎がそっと春を抱きしめる。


静かが皆鶴姫を肘で小突いた。

皆鶴姫は自分の失言に気づき「済まない」と頭を下げた。


それに対し、片岡春はフルフルと首を振るだけだった。


「ハッ。なに悲壮感漂わせてんだよ。俺が負けるみたいじゃねぇか」

クロウが一際、大きな声をあげた。

片岡春の後悔も 皆鶴姫の失言も自分が勝てば問題ないのだ。

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こちらも連載中です。よろしければ見ていただけると嬉しいです

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【あとがき】

タイトルの”よいちのゆみ”発動です。

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