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剣と魔法の義経記  作者: 久手史郎
第一章 英雄集結
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第八話 クエスト:半端なヒーロー その15

「……あ、ああ。そうだな。俺達といるよりはずっといいよな」

伊勢三郎は頷いた。


ただ―。

内心は複雑だ。

理性ではこれがベストだと理解していた。

片岡兄妹、そして彼らに付き従った少年少女ににとりえあず飢えの心配はなくなった。

駿河にも非情な判断をさせなくてもよくなった。


強いて言うなら、先ほどまで片岡兄妹がクロウを親の仇の一味として襲っていたが、今は憑き物が落ちたように大人しい、クロウ達も意趣返しするつもりもないようだ。

これなら問題ないだろう。


更には話の流れから天神様が彼らの教育をするらしい。

というよりも傍目からでもわかるくらい少年少女たちに勉強を教えたくてうずうずしていた。どこから取り出したか分厚い本と机を人数分並べだしている。

それはともかく、彼らと一緒にいくなら、このように学ぶこともできるだろう。


クロウ達は奥州大陸に行くという。

そこに行くまでよく食べ、よく学ぶことは出来るだろう。

少なくとも伊勢三郎達と一緒にいるよりは。


ただ、感情は複雑だ。

悔しい……そう悔しかった。

片岡兄妹や少年少女を奴隷商から救うことが出来ても、彼彼女らの人生を救うことができない。自分が不甲斐なかった。


中途半端なヒーローだ。


伊勢三郎は唇を噛んだ。


「お前もくるか?」

気がつくとクロウが手を差し伸べていた。


「俺とあの兄妹はさっきまでやりあってたからな。心配なんだろ?」


「う、あ。そうだな。正直に言うと心配だな。ただの俺の気持ちの問題だとわかってるんだがな」

伊勢三郎はそう言って頭を掻いた。

そういう伊勢三郎にクロウは好感を持った。

「それなら、兄妹をお前が見てやればいい。そうだろ?」


伊勢三郎は複雑な気持ちになった。

元々、片岡兄妹を助けたのは伊勢三郎だ。

もし伊勢三郎一党に彼らを食わせることができる経済力があったなら、彼らが一人前になるまで世話をしていただろう。

それを思うとクロウ達に少年少女を引き継いだから、あとはサヨナラというのも気が引けた。


伊勢三郎は傍らの駿河を見た。

「お前の好きにするといい」

駿河はそれだけを言った。

駿河も亀井もお人よしの伊勢三郎が好きでつるんでいる。彼がどのような決定をしようとも彼らはついていく。


「なら、一緒に行かせてもらおうかな」

そう言って伊勢三郎はクロウの手をとった。


クロウはにやりと笑って、

「よし、じゃあ最初にやってもらうことがある」

と告げた。


あまりにもいい笑顔だったので伊勢三郎は警戒した。

「な、なにかな?」

「あれだよ」

クロウは顎をしゃくった。

その先にはクロウよりもいい笑顔の天神様が教室ワンセットをどこからともなく用意。授業の準備をしていた。

「さあ、勉強の時間ですよ」

天神様はにっこり笑った。


片岡兄妹を含めた少年少女と駿河は天神様の勉強にみっちり突き合され、クロウとともに行くのを少し後悔した。

伊勢三郎は逆に様々な知識を吸収できることに喜んだ。


ちなみに隠れてスナイプの機会を探っていた亀井は気が付いたら授業が始まっていたことに驚き、様子を見に姿を現したところ、天神様につかまり一緒に授業を受けることになった。

亀井が不用意に姿を現したこと後悔したのは言うまでもない。


【お知らせ】

こちらも連載中です。よろしければ見ていただけると嬉しいです

■機動小隊レンジャーワン https://ncode.syosetu.com/n8156lf/


【お願い】

ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。


お陰で伊勢三郎義盛を無事仲間にすることができました。


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