第八話 クエスト:半端なヒーロー その13
「さてと」
クロウは伊勢三郎、駿河の方を向いた。
「ケジメはつけねぇとな」
クロウの眼光は鋭く二人を見ている。
「要はあいつらを食わせることが出来なくて困ってたってことだよな」
「ああ」
駿河は頷く。
「俺らがあいつらをひきとる。問題ないな」
「ああ」
駿河が即、答える。
駿河は片岡兄妹に対してあまりいい感情をもっていない。
助けてもらったうえに食わせてもらって、さらに自分たちがリーダーと慕う伊勢三郎に一緒に戦ってくれと自分都合で付きまとう。
リーダーのお人よしの部分に甘え困らせる厄介者だと思っている。
片岡兄妹の境遇には多少の同情はするが、同じような境遇の奴らはいる。奴隷商という商売が世の中にあるということがその証明だ。
その全てに同情してもキリがないと思っていた。
「ちょ、ちょっと待ってくれるかな」
伊勢三郎がクロウに待ったをかける。
駿河は内心舌打ちをした。
リーダーのお人よしが始まったと思ったからだ。
しかし駿河も、この乱世には珍しい伊勢三郎のそのお人よしの部分が好きで付き合っている。だから、伊勢三郎をとめることはしない。
「君はこの子達を食わせてあげることができるのだな」
伊勢三郎は尋ねた。
その瞳には不安の色があった。
伊勢三郎だって本当は少年少女を一人前になるまで面倒を見てあげたいのだ。
しかし、食わせることができない。
伊勢三郎は悔しかった。自分の不甲斐なさにだ。
さらにその苦悩を見かねた駿河に変な気を使わせた。
駿河は意図的に源頼朝の弟クロウの情報を片岡兄妹に伝えることで、片岡兄妹や元奴隷の少年少女が自ら伊勢三郎の元を去るように仕向けた。
しかもクロウに返り討ちにあうことも織り込み済みという非情な考えででだ。
駿河がこのような非情に出たのも自分が少年少女達を食わせることができないという不甲斐なさからだと思うと自分に腹が立った。
それだけに、人に食わせることの大変さを知っているだけに、伊勢三郎はクロウが本当に少年少女を食わせていけることができるか確認したかった。
「当たり前だ」
クロウは何でもないように告げた。
「そうだろ? 吉次」
続けてクロウが奥へ声をかけた。
「……気づいてらしたのですねぇ……」
その声と同時に闇から黄金の仮面が現れた。
片岡兄妹と伊勢三郎達はぎょっとした。
“闇の中に顔”という登場が先ほどの崇徳天を想起したのだ。
再び厄介な妖が現れたのかと緊張した。
その緊張を感じ取った吉次は無造作に姿を現した。その方が無用な警戒を抱かせないと思ったからだ。その黄金のマスクと筋肉隆々の巨体が警戒を抱かせたとは露もほど思っていない。
「いつから気づいてらしたのかねぇ」
吉次がクロウに問う。
「初っ端からだ。吉次の匂いは覚えた」
「犬猫みたいなお人だねぇ」
吉次は苦笑した。
「商売は上手くいったのか?」
「お陰様で」
吉次は多くを語らない。クロウ達に商売のことを詳しく聞かれたくはないようだ。
(まともな商売をしているのか怪しいもんだ)
クロウは苦笑した。
「それより、よく俺達の場所がわかったな」
「そりゃあねぇ。クロウ殿、あんたら派手すぎますよ。ちょっと調べれば居場所はわかりますなぁ。友人のところにいったんじゃなかったのですかねぇ。それがなんで焼き討ちになってるんですかねぇ。その話、坂東中に広まっていますよ」
吉次は少し咎めるような口調で言った。
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【あとがき】
クロウが片岡兄弟をひきとることにしたのはいいのですが・・・
やっべー黄瀬川の対面どうしよう。このままの話進めると黄瀬川の対面で片岡兄弟、源頼朝を暗殺しに行くよね。と、ドキドキしながら書き進めております。
まるっきり別な話にするか、黄瀬川の対面を片岡兄弟という爆弾をもったまま源頼朝に会うか。全く決めておりません。
こんな、いきあたりばったりな作品で申し訳ないですが、評価やブックマークで応援いただけると、よいアイデアが降ってくるかもしれません。助けていただけるとうれしいです。
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