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剣と魔法の義経記  作者: 久手史郎
第一章 英雄集結
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第八話 クエスト:半端なヒーロー その6

一方、クロウは野盗と思われる少年少女に質問をしていた。

頭の中でいろいろ推察しているのが面倒になったのだ。

元々、疑問に思ったことは直球で質問し、最短を目指すタイプだ。

「なぜ、俺らを襲った?」


少年少女達は黙っている。


「あべこべなんだ。野盗なら奇襲が常だ。ところがお前らは奇襲もしない。それどころか名乗りまであげやがって。名乗りをあげる野盗なんているか? 何なんだお前ら。普通の野盗じゃないだろ」


「あんた名前は?」

少年少女の一人が口を開いた。

片岡春だ。


「クロウだ」


「やっぱり。……クロウ。あんたの命を獲りに来た」

「は?」

思わず間抜けな疑問の言葉が口に出た。

クロウには片岡春から命を狙われる動機が思いつかない。


「あんたは俺達の仇だ」

片岡八郎が続けて口をひらく。

憎悪の目とともに。


クロウはフリーズした。

まーったく身に覚えがない。

片岡という名前にも覚えがないし、彼、彼女らが名乗った下総国なんぞ行ったこともない。


なのに仇呼ばわりされた。


正直、ショックだったのだ。


フリーズからやや立ち直り、側にいた皆鶴姫に

「俺、何かやったか?」

と普段のクロウに似合わず弱弱しい声で尋ねる。

「え、いえ。私の記憶では彼らと初対面だと思いますが……」

根が真面目な皆鶴姫はクロウの質問に普通に返す。

打開策はない。


困った二人に静が口をはさむ。

「なにやってんのよ二人とも。身に覚えがないんでしょ。堂々としてたらいいでしょ。何でそんなきょどってんのよ」


そして静は片岡兄妹の方を向いた。

「あんた達、何か勘違いしてんじゃないの? 言いがかりはやめなさい」

静は腰に手を当てて怒った。


片岡八郎少年はそれで怯んだが、片岡春が逆に静をにらみ返した。

「勘違いじゃない! そこの男はクロウだろう? 源頼朝の弟だろ!」


クロウは眉を顰める。

クロウは自分の兄弟に会ったことがない。


自分の父は戦士の棟梁の常としてプレイボーイだったらしい。

様々な女性と恋をして子を儲けたと聞いている。

そのいずれもクロウはあったことがない。


だから以前、吉次に自分の兄弟のことを教えてもらっていたし、その時も他人事のように聞いていた。

むしろ、会ったこともない兄弟達は自分が覇王になるにあたってのライバルと考えていた。


その兄弟の一人、源頼朝という人物は確かに名前は知っていたが会ったこともない。

だた、兄弟だろう?

と聞かれたなら。

「ああ」

と答えるしかない。


その返事を聞いた片岡春は激怒した。

「お前の兄が。源頼朝が! 私たちの国を滅ぼしたんだ!」


クロウは大きく目を開いた。

「どういうことだ?」

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