表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣と魔法の義経記  作者: 久手史郎
第一章 英雄集結
25/60

第七話 炎の剣 その5

「へー。陵介って領主の子なのね」

静が陵介の屋敷に入って感想を述べる。


ちなみにクロウ達の目の前にはもてなしの料理が並んでいた。

それを飲み食いしながら話をしている。


陵介の家は領主の館だ。その造りは家というよりは館に近い。


「あ? 信じてなかったのか?」


「普段の行動が行動だからねぇ」

静が笑う。

静にとって陵介のイメージは粗野なガキ大将だ。粗野なガキ大将と一体の行政庁を兼ねる”館”がミスマッチに見えたのだ。


「そんなことはありません。陵介殿の行動は勇者と言ってもよいものです」

その静に皆鶴姫は抗議する。


皆鶴姫は平敦盛に拐かされかけたことがあった。

その時に立ちはだかったのが陵介だ。

平家のパレード中の事であり、平家の主な武将がいるなか大立ち回りをし、クロウ達が救援にくるまでの間、皆鶴姫が攫われるのを防いだ。


その皆鶴姫にとって陵介のイメージは白馬の騎士だ。


「皆鶴姫にとってはそうだよねー」

ニシシと静が皆鶴姫を肘で小突く。

「なっ」

真っ赤になる皆鶴姫。


「そういえば。お前は大丈夫なのか?」

クロウは聞く。


平氏の名だたる武将の前で大立ち回りをしたのだ。

平敦盛の邪魔をし、火炎将軍重衡とバトルを繰り広げた。


平家に顔バレもしている。

平家から追捕がきていてもおかしくないのだ。


陵介は大きく笑った。

「さすがの平家も坂東まで難癖するほど暇じゃないらしい。何もねえよ」


「……そうか」

クロウは陵介の館を見渡す。


「ん? 何か気になることがあるのか?」


「人の気配がない」


「そら、そうさ。ここには俺と世話係の執事しか住んでいない。この料理も、その執事が作ったんだ。うめぇだろ?」

陵介は苦笑いした。


「? 独りで住んでいるのか?」

領主の子である陵介が館に一人住まいというのは腑に落ちない。


「坂東に戻ってから武者修行のつもりで、あっちこっちの強者と言われている奴と試合してたら周りから怖がられちまってな。実家にいても都合が悪いんで一人暮らししている。いや、正確には世話係がいるけどよ。その一人だけだ」


「なんだー。その歳でまだガキ大将やってんの?」

静が揶揄う。


「うっせー。俺がそもそも坂東に戻ろうと思ったのは、鍛えなおそうと自分を鍛えなおそうと思ったからだ。だから強い相手と戦えば修業になるんじゃねぇかと思って試合を挑んだが……」


「それほどでもなかった?」


「応よ。クロウ以上の奴にあった試しがねぇ」


「当たり前だ」

クロウは気負わずに言う。


「お前のその自信はどこから出てくるわけ?」

陵介が呆れながらに言う。


「しかし、残念です。私も噂の坂東武者と戦ってみたかったのですが」

皆鶴姫が脳筋発言をする。


「あー。やめとけ。やめとけ。強いは強いが……クロウの強さを知ってるとがっかりするぞ」


「そうなのですか?」


「ああ、クロウが別次元だと思い知るだけだ」

陵介が手をひらひらさせる。


「フン。当たり前だ」

クロウがさも当然というようにふんぞり返る。


「さすがの坂東武者も平和ボケかなー。平清盛が覇王になってから反旗を翻す骨のある人もいなそうね。」

静がきわどい話題をふってきた。


「おい。俺も坂東武者の一人だぜ。坂東武者を馬鹿にすんなよ」


「自分で坂東武者がそれほどでもないって言ったんじゃない」


「まあ、そうだけどよ。それでもいろいろ動きはあるようだぜ」

「例えば?」


「大きく二つだな。一つは甲斐の武田と蒲殿の一党。 もう一つが源頼朝の一党。坂東武者でも骨のある奴らはその二つの勢力に集まっているらしいぜ」


「へえ。吉次の言うとおりね」


「吉次? 誰よ? それ」


「なんていえばいいの?」

静は皆鶴姫の方を向く。

「ええっと。商人の方です。商売でいろいろ地方を周っていまして、様々な情報を教えてくださるのです」

話を振られた皆鶴姫は慌てて答える。

「今、うちらが旅してるのもその吉次がくれた情報がきっかけ。陵介。クロウの野望はわかるでしょう?」

「嫌というほど聞かされたよ。天下の覇王になるんだろ?」


「そう。そのためにどこを本拠にしようかという話になってね。情報通の吉次と打ち合わせしてね。奥州大陸に向かうことにしたの」


「奥州大陸か。遠いな」

陵介が遠い目をする。


「フン。気に入らないな」

クロウが陵介を睨む。


「あん? どうしたよ? 酔っぱらったか?」

陵介が睨み返す。


急に不穏な雰囲気になった。

皆鶴姫がオロオロし、仲裁しようと腰を上げようとする。

静が皆鶴姫の肩を叩き、首で“黙って話を聞こう”とジェスチャーをした。

いたしかたなく皆鶴姫は成り行きを見守る。


「陵介。お前の態度が気に入らねぇ」


「喧嘩売ってんのか? どこが気に入らねぇってんだ」


「陵介。俺は奥州大陸に向かっている」


「おう。その話は聞いたぜ」


「その途中、なぜ陵介のところに寄ったと思ってる」


「あん? 知るかよ」


「陵介。お前を誘いに来た」


クロウはまっすぐ陵介を見た。

陵介はその目をみて戸惑った。


その陵介を見てクロウは眉を顰める。


「陵介。お前はすげえ奴だった。魔法もろくに使えやしねぇのに、魔法が使える俺に何度も挑んできやがる。諦めるということを知らねぇ奴だった。正直、恐ろしい奴だと思った。これほど根性座っている奴を俺は見たことがねぇ」


「クロウ?」


「また、スゲェー優しい奴だった。平家の主力武将たちがいるなかで大立ち回りをして皆鶴姫を救った。よほど覚悟がねぇとできねぇよ。あんな真似。俺はこそこそと見えないところから魔法を撃つ奇襲ぐらいしかできなかったのにな。正々堂々、自分よりも実力が明らかに上回る相手に怯むことなく挑み。見事皆鶴姫を救った。こんな偉丈夫。どこを探してもいねぇよ」


「クロウ……」

陵介は当惑している。

クロウは誉め言葉を並べながら怒っていた。


「ところがだ。さっきから日和ったことばかり言いやがって」


「……」


「”骨のあるやつらは集まっている”だぁ? 俺が知っている中で陵介が一番、骨がある。その陵介が何もなさず、この家にいるってのはどういう了見だ。俺の知っている陵介はこんな奴じゃぁねぇ」


陵介はクロウからの怒りの視線を受けて、口を真一文字にひいた。

その心情はうかがい知れない。


クロウからの一方的な、身勝手ともいえる要求に怒ったのか?

クロウの評価の高さに驚き、何か感じることがあったのか?

クロウの指摘に何か思うことがあったのか?


あるいはそのすべての思いが混ざっているのか―。


「ありがとうよ」

陵介はしばらくの沈黙の後、そう言った。

その顔は能面のように無表情だ。


「俺の評価、確かに受け取った」

陵介は言葉を続ける。

その言葉を聞いてもクロウは怒りを隠さずにいる。


そして一つの手紙を懐から出すとクロウに投げた。


読めということだろう。


クロウはその手紙を拾い広げる。そして眉を寄せた。


そして皆鶴姫に手紙を渡した。


皆鶴姫はけげんな顔をしたが、その手紙を一読して …………顔色を変える。

その様子を疑問に思った静が無遠慮に皆鶴姫の肩越しに手紙を見て驚きの声をあげた。

「何これ?」

静は陵介と手紙を交互に見る。


「見たとおりだ。厄介な奴に目をつけられたようだぜ。皆鶴姫」

陵介は能面のまま淡々と伝える。


手紙は手配書だった。

手配の対象は皆鶴姫。手配しているのが平敦盛だ。

容姿まで事細かに記載している。邪魔するものは斬っても良いとまで書かれていた。

 

誰の目にも平敦盛が皆鶴姫に執心しているのがわかる手紙だ。


「うげっ。気持ち悪っ」

静が嫌悪感を露にする。

権力を持ったストーカーが皆鶴姫を狙っていると感じたのだ。


当の本人。皆鶴姫はこのキモチワルイ手紙を見せられて当惑している。

陵介の意図がわからないのだ。


「で?」

それはクロウも同じだ。だから直球で陵介に尋ねた。

クロウは自らよく宣言するが気が短い。

意図を直球で教えてもらったほうが助かる。


「クロウ……そうだったな。お前には簡単に伝えたほうがよさそうだ。クロウ、お前の俺の評価はありがてぇ。男子としてそこまで言われたら心が動く。それを踏まえてだ、クロウ。お前に伝えることがある」


「何だ?」


「俺も驚いたことによ。俺にも立場ってもんがあるらしい」


「…………」


「俺の兄弟は平家に仕えている。親もな。だから俺の立場は……わかるだろ?」

陵介の言葉にクロウが今度は無表情になった。


「いやあ、笑えるぜ。ただのガキ大将でしかない俺にも立場がある。いや”家”の立場っていうことか? 俺自身、笑ったぜ。俺自身”家”にとらわれるとは思ってもみなかった。そんでだ。そんな立場の俺にその手紙が回ってきた。じゃあ、俺はどうすりゃいい?」


クロウや静。皆鶴姫はその陵介の問いに対して考えた。


陵介は能面の顔から泣き笑いの顔になっていた。


(平敦盛の皆鶴姫に対する執着も怖いけど、平家はやはり覇王になっただけある油断できない。おそらく陵介の身元はバレている。それで陵介の元に皆鶴姫が行く可能性を考え、皆鶴姫を手に入れるよう手をうった。それがあの手紙)


静は素早く思案をまとめる。


(その手紙は陵介への脅しだね。平家相手に大立ち回りしたことは不問にするから皆鶴姫を捕まえて平敦盛の前に連れてこいという。陵介からすると”家族”をとるか? ”皆鶴姫”をとるか? という究極の選択を迫られていることになるわね)


陵介の兄弟が平家に仕えているのは不思議ではない。

時の権力者に仕えるのは当然だ。

そして、時の権力者に逆らったら本人どころか家族にも類が及ぶのも当然だ。


陵介の場合、皆鶴姫を助けるという目的があったにしろ、一度、平家に逆らっている。

それを理由に平家から何か言われても仕方がない状況だ。

そして、その事件を不問にするかわり皆鶴姫を捕まえろと言われたら陵介は家族を守るため断ることはできない。


静はここまで思案して、ふと気づいた。


(あれ、もしかして陵介の家に皆鶴姫を連れてきたのがまずかった? 陵介も捕らえる対象の皆鶴姫が訪ねてこなければ、究極の選択を迫られることはなかった? 私たちが訪ねてきたことで陵介は大変な立場になっている?)


静は陵介の苦悩に気づいた。

そして陵介の顔を見る。


それを見た陵介は静に対して頷く、そして執事を呼んだ。

執事は一振りの剣を携えていた。

それを陵介に渡す。


「お前は下がっていろ。いや……この家から脱出しろ」

陵介は剣を受け取ると若い執事にそう告げる。

「はっ」

執事はそう言って引き下がった。


その後、ゆっくりに陵介は剣を抜いた。


「それが答えか?」

クロウが陵介を見る。


「ああ、弟たちが大事だ。父母もな。俺には家族を守らなきゃならねぇ立場がある」

そういって剣先をクロウにむける。


陵介は皆鶴姫と家族を天秤にかけ家族をとった。

クロウはそう解釈した。


つまりはこれから皆鶴姫を捕まえるとうことだ。


クロウはゆっくり立ち上がり魔法剣を出す。

そして剣先をむける陵介に対して戦いに応じる姿勢をみせた。


「ああ……」

皆鶴姫は目に涙を浮かべて絶句している。

陵介がどれだけ悩んだか理解できるからだ。


その陵介は魔法剣を出したクロウに対して頷いた。

「そう……そうだ。それでいい。俺は”家”を守る。お前は”皆鶴姫”を守れ。俺には……もう・・・できないからな」


そういって陵介は一瞬、皆鶴姫を見た。

頭をわずかに下げた。


それは

言葉になっていなかったが

スマンと伝えていた。


「仲間を守る。当然だ」

クロウは陵介の言葉に頷いた。


「よし、いくぞぉ。オン・ケンダヤ・ソワカ!」

陵介は魔法を唱える。

体に炎をまとわせ身体能力をあげる。


その底上げされた身体能力に任せてクロウにきりかかる。


クロウは驚いたのか、慌ててその件を魔法剣で受けた。

「おい。家を燃やすつもりか」


クロウは鍔迫り合いの中、陵介に問う。


陵介が今、使った魔法は体に炎をまとわせ身体能力を向上させる魔法。

そんな魔法を木造家屋で使えば必然、火事になる。

実際に床や柱に引火していた。


「あのなぁ。お前相手に手加減できるかよ。それにな……俺にとっちゃ”家”は燃えちまったほうがいい」


「“家”を守るって言った奴のセリフじゃなぇな」

「うっせ!」


鍔迫り合いの中、陵介は力を込める。

クロウは驚いた。

押し込まれていたのだ。


思えば、クロウはその“素早さ”で鍔迫り合いになるどころか、攻撃を受けるということはあまりない。

回避型魔法剣士がクロウの戦闘スタイルだ。

そのためこのような状況になることはなかった。

特に陵介と喧嘩していたときは


そのため陵介の“力”を初めて受けた。

(マジかよ。俺より力は上か!)


思えば陵介もまた外来の魔王クマラの力を得ているのだ。

並の戦闘力ではない。

そのことをあらためてクロウは思い知った。


「おらーっ」

陵介がクロウの腹を蹴る。

強化の魔法を得ている陵介の蹴りだ。


クロウは鞠のように蹴り飛ばされ、吹き飛ばされた。

吹き飛ばされたクロウハ陵介の家の壁を突き破り、外に投げ出された。


「ははははっ。どうしたクロウ! さあ、昔みたいに喧嘩しようぜ!」

陵介が外に投げ出されたクロウを追ってゆっくり近づいてきた。


(力は陵介が上。なら、速度でかき回したいところだが……)

そこでクロウは自分の腹を意識する。

腹を蹴られたせいで呼吸が難しく、いつもの速度が出せないのだ。


かといって力で負けているのだ。

足をとめて戦うのは不利だろう。


パチ、パチ 火の粉が飛ぶ。

引火した火が本格的に屋敷を燃やし始める。


陵介は自分の屋敷が燃えているにも関わらず、一切気にせずクロウを正面にとらえている。

ただし、炎の明かりの陰になり、その表情はクロウからはみえない。


その姿はまるで迦楼羅炎を背後に従える不動明王だ。


「ふん。昔から勝ったこともない癖に。よく言う」

「あっ。テメェ。そんなこと言うか? マジになるぞ」

「何をいまさら、本気じゃねぇか」

「おう。 ……多分な。 テメェとの喧嘩はこれで最後になる」

「ああ」

「最後ぐらい本気でいこうぜっ!」

陵介が剣を振りかぶりとびかかる。


クロウは避けるために動こうとして腹がズキンと痛むのを感じた。

(陵介は本気できている。それなら、この程度の痛みで泣き言いうのは失礼だろ!)


クロウは痛みを無視して横にひらりと躱す。

そのままの動きで一回転して魔法剣を振るう。


「そうだ。クロウはそうじゃなきゃよ。だけどな……」

陵介はその動きを読んでいた。

剣筋を変化させ魔法剣を受ける。


回転の動きをしているクロウとどっしり地に足をつけている陵介。

どちらが力を剣に乗せることができるかは明白だ。

陵介が魔法剣を弾き、クロウの態勢が崩れる。


そこに陵介がタックル。

クロウが再び吹き飛ばされる。


一方、燃え広がる家屋から脱出した皆鶴姫が呟く。

「まずいです」

「え?」

皆鶴姫とともに脱出した静が問い返す。

「陵介殿はクロウ殿の戦いを熟知しているようです。見事にクロウ殿がやろうとしていることを潰して、ご自身が有利な戦い方。つまり力比べに持ち込んでいます。このままではクロウ殿は負けます」

皆鶴姫が危惧を伝える。


静はその皆鶴姫の言葉を聞き、クロウと陵介の戦いを見る。

「そだねー。喧嘩なら初の陵介の勝利となるかな?」

「・・・っ」

「でもね。喧嘩じゃなかったらクロウは勝つよ。特にこの戦いは負けられない。負けたら皆鶴姫。あんたは捕らえられ平敦盛のところに連れていかれるからね」

静は確信を持った目で戦う二人を見た。



「どうした。クロウ。俺が勝っちまうぜ?」

陵介が剣を構えゆっくり吹き飛ばしたクロウに近づく。

「ふん。腕を上げたな陵介」

「阿呆。感心している場合か? 俺は“家”を守るために戦っている。テメェは皆鶴姫を 仲間を守るために戦ってんだろう? 俺が勝てば皆鶴姫は捕らえられるんだぞ。平敦盛に何をされるかわからねぇよな。それはわかってるんだろ?」

「・・・っ」

「クロウ。テメェさっき“俺の知っている陵介はこんな奴じゃぁねぇ”って言ってたよな」

「ああ」

「同じ言葉を返すぜ。“俺の知っているクロウはこんな奴じゃぁねぇ” 仲間を守って見せろっ!」

「当然!」

クロウが言うと同時に魔法剣から緑に光る短いレーザーが無数に発射された。

シャワーのようなレーザーが陵介の体を貫く。

“神”である護法童子弁慶さえも倒した技だ。

人の身である陵介では防げない。


はずだった。


陵介の強化魔法はその身を炎に包む。

その炎が鎧となりクロウが放ったレーザーを防いだ。

いや、炎で飲み込んだ。


「ぐああああっ」

全てを防いだわけではない。

ダメージは与えた。


しかし、このレーザーによる遠距離攻撃も陵介を倒すには届かなかった。


「クロウ。テメェ痛ぇじゃねぇか!」

陵介はレーザーによる攻撃が止むと同時に吠えた。

そしてクロウに向わんと剣を構える。


しかし、そこにクロウはいない。


「えっ どこに……」

と戸惑う陵介。


その陵介の背中に痛撃が走る。

感覚で分かった。

斬られたのだ。


陵介は首だけを後ろにむけると、そこにはクロウがいた。

さきほどのレーザー攻撃を目くらましに使い、背後に回ったのだ。


「見事だ。さすがクロウ」

陵介は倒れた。


「当然だ」

クロウは息をきらしながら答える。

クロウをしても今回の“喧嘩”はギリギリだった。

「俺がテメェに負けるわけがない」

「くそったれ。ムカつくな。……それにしても甘いな」

「あん?」

「背後に回ったとき、俺の首を刎ねることもできたはずだぜ」

「あん? 俺がテメェとやったのは“喧嘩”だぜ」

「喧嘩か?」

「ああ、喧嘩だ」



「本当に甘い」

不意に別な方向から声がした。

声がしたほうを見ると若い執事の男に口を押えられ捕らえられた皆鶴姫がいた。

皆鶴姫の隣にいたはずの静は昏倒させられたのか地に付していた。



【お知らせ】

こちらも連載中です。よろしければ見ていただけると嬉しいです

■機動小隊レンジャーワン https://ncode.syosetu.com/n8156lf/


【お願い】

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。

「面白かった」「続きが気になる」と思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ