表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣と魔法の義経記  作者: 久手史郎
第一章 英雄集結
20/46

第六話 エンカウント:盗賊があらわれた その4

四度あることは五度目もあるらしい。

今度の賊はさらに規模が大きい。

400名弱はいた。

もはや一つの軍団だ。


「ねえ、クロウあの軍団乗っ取っちゃったら? 手っ取り早くない?」

静が大胆な提案をする。


「馬鹿を言え」

クロウはその提案を蹴った。

「なんでよ」

静が抗議する。

「前の戦で連れ去られかけたのを忘れたのか? 賊なんぞ味方にしたら安心して寝れねぇ」

クロウは忌々し気に言葉を吐き捨てた。

「ふーん」

静はクロウの否定が自分の身を案じてのことだったのでほんのちょっぴり機嫌が良くなった。

「なんだよ」

「なによ」


ここで吉次が咳払いする。

「度胸があるのはいいことなのですが4対400なんですよねぇ。もう少し緊張感持てませんかねぇ」


「有象無象の400など問題ありません」

皆鶴姫が剣を抜く。


「ふう、何と言いますか。ここは黄色い悲鳴を出して絶望感に怯える場面だと思うのですがねぇ」

吉次は呆れている。


「この程度で怯んでどうする。覇王になるんだぜ、俺は」

クロウは魔法剣を発動させる。

静も降神魔法で加茂大明神を降ろす。

戦闘準備はOKだ。


400の盗賊(ゴブリン)の中から一人の老武者が現れた。

まるで戦場の一騎打ちのシーンだ。


「お主らか! 由利太郎と藤沢入道を倒したものは」

老武者が叫ぶ。


「「???」」

クロウと皆鶴姫は首を傾げた。

由利太郎の名前も藤沢入道の名前も記憶にない。


「クロウ。ほら前に前後に挟撃を狙った盗賊ゴブリンがいたでしょ?」

「その盗賊ゴブリンの棟梁ですねぇ。ご記憶にございませんか?」

静と吉次が説明するがクロウ達は首をひねっている。彼らにとっては有象無象に過ぎない。


「覚えていないのか? 彼らも儂ほどではないものの、盗賊ゴブリンの頭だったのだがな。……まあいい、儂の名は熊坂長範。この一党を率いておる。儂はな強い者を好む。由利太郎や藤沢入道を倒した者なら強さに問題なかろう。どうだ、儂らの仲間にならねぇか?」


クロウは思案する。


仲間になるのは論外だ。

静や皆鶴姫の安全が担保されない。

また、戦力としても疑問だ。数だけは多いが由利さん、藤沢さん程度ならいてもいなくても変わらない。


ただ、一つ興味があった。

由利さん、藤沢さんもそうだが盗賊ゴブリン団にしては規模が大きい。

なぜ、このような規模となったのかは知りたい。


そしてクロウを勧誘しているところからさらに増やそうとしていることもわかる。

規模を大きくしているということは野心があるということだ。


どんな野心をもっているのかは知りたい。

そう思い、クロウは話に応じることにした。


「理由は?」

クロウはいつも効率重視だ。

質問は直球だ。


「理由?」

老武者が問い返す。 

「俺たちを強いと知って勧誘する理由だ。盗賊ゴブリンってのは奪うだけだろう? こんな勧誘はしない」

「ふむ。儂らをそこらの日々が良ければよいという盗賊ゴブリンとは一緒にしないことだ。儂らには大義がある」

「大義? なんだそれは、悪いが俺は気が短い。簡単に話してもらえないか?」

「ふむ、なら簡単言おう。この国を獲ることよ。そのために強きものを集めている。どうだ儂の国盗りに参加せんか? いまなら国を獲った後、相応の立場を約束しようぞ」


「……強きものってのは俺の仲間を襲った由利さんとやらか?」

「うむ、彼も相応の強さだったのだがな。それを打ち破るとは見事だ。その強さを埋めさせておくのはもったいない。どうだ、儂の配下になれ。立場も約束しよう。金か? 女か? 町も略奪し放題だぞ。欲しいものをくれてやる」


静は焦った。

老武者の最後のセリフを聞いたクロウの機嫌が悪くなっていくのを肌で感じたからだ。女性を物でも扱うかのような態度はクロウの逆鱗に触れる。そしてクロウは気が短い。

(戦闘開始ね。 今度は前回みたいなヘマをしないようにしないとね)


一方のクロウは目の前の老武者と覇王を比べていた。

クロウは5歳の時、一度だけ覇王に挑んだことがある。

今思えば、怨念の魔王崇徳天に運命を誘導されていたのだろう。

覇王は事実上の天下人。

厳重な警護で守られているはずだった。

近づくのも困難なはずだった。


ところが、何の偶然か一対一で相対してしまった。

そしてクロウは迷わず覇王に剣を向けた。


しかし―。


いかに戦闘能力が生まれながらに高く、魔王 崇徳天の加護を得ていたとしてもしょせんは5歳児だ。

覇王を倒すには実力が遠すぎた。


覇王はクロウをコテンパンに返り討ちにした後、

「その根性嫌いじゃねぇ。ただ、弱い。もっと肉食って、体を作ってから出直してこい」

と言って呵々大笑して去った。


その覇王と老武者を比べる。

力、覇気、理念どうみても覇王に劣る。

そうクロウは断じた。


「無理だな」

「何?」

「空手形をいくら出されても意味がないっていってるんだ。お前は国を獲ることはできねぇ。今、俺達に滅ぼされるからな」

「何だと小僧。下手に出ていれば……!」


老武者のセリフの途中。クロウが魔法剣から緑のレーザーを連発した。

静もそれに合わせ。サンダーアローを連発。


「来い! 弁慶!」

クロウは同時に護法童子 弁慶を召喚。

弁慶は呼び出されると同時に背中に背負っていた葛籠を肩に乗せ葛籠の口を盗賊ゴブリンに向ける。

「食らえ! 千本太刀!」

弁慶の合図とともに無数の太刀が葛籠から射出され盗賊ゴブリン達を襲う。


いきなりの遠距離殲滅攻撃に逃げ惑う400の盗賊ゴブリン達。

数をあっという間に減らしていく。


「静。弁慶はそのまま遠距離攻撃を継続。皆鶴姫、吉次はこの場を離れるな。向かってくる敵だけを倒せ」

「わかりました」

「承知」

皆鶴姫と吉次が応じる。


(そういえば、吉次はさっきの戦の俺の指示には従ったが返答しなかったな。今回、返答してくれたということはこの指示が間違っていないということか?)

クロウは一瞬、吉次を見て思ったが、頭を切り替えた。

今やることは吉次がどう考えているかではなく、目の前の盗賊ゴブリンの殲滅だ。


「おのれぃ! 小僧っ!」

あっという間に減った自身の軍勢。そのことに激高して老武者が突っ込んでくる。


クロウ達のファーストアタックで倒されないところを見ると由利さんや藤沢さんよりは戦闘力が高いようだ。


皆鶴姫・吉次が迎撃のため構える。


クロウはその二人を抑えた。

「俺が行く。南無八幡大菩薩 ―鷹-」

クロウは脚力強化の魔法を自身にかけて高く戦場を舞い上がる。


老武者から見ると皆鶴姫・吉次の背後から巨大な黒い鳥が飛翔したように見えた。

気づいたときにはその巨大な黒い鳥が目の前にいた。

それはクロウの姿だ。


慌てて老武将は迎撃しようと長刀を構えようとしたが体が意志通り動かなかった。

それはなぜか?

既にクロウの一撃ですでに首と胴が離れていたからだ。

「おのれ! この熊坂長範がここで倒れるというのか!」

「器じゃねぇ。退場の時間だ」

これが老武将の聞いた最後の言葉になった。


戦いの後、吉次がクロウに近づいた。

そして手を差し伸べる。

クロウがその手を取ろうとした瞬間、吉次はクロウを平手打ちした。


「なぜ、大将が前に出るのです!」

吉次は激おこだった。


それから、しばらく吉次の説教&帝王学講義が続いた。

【お知らせ】

こちらも連載中です。よろしければ見ていただけると嬉しいです

■機動小隊レンジャーワン https://ncode.syosetu.com/n8156lf/


【お願い】

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。


「面白かった」「続きが気になる」と思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。

一つ一つの反応が、作者のやる気に直結しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ