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剣と魔法の義経記  作者: 久手史郎
第三章 朝日将軍
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第二十三話 はおう は しんでしまった その3

クロウから調査を命じられた駿河と片岡八郎サイドです

駿河と片岡八郎は北条時政の屋敷に忍び込んだ。

仮に源頼朝が片岡家滅亡に関与していない場合、実行犯は誰だということになる。駿河と片岡八郎は話し合い、一つの仮説を立てた。


源頼朝の勢力をつくるため彼の部下が画策したと考えた。


源頼朝の部下として第一に名前があがるのは北条時政だ。

彼の娘は源頼朝の彼女でもあった。

娘の彼氏を引き立てようとして、実行しようとした可能は高い。


第一容疑者の一人だ。


彼を調査したところ、誰も共をつれずに定期的にいくところがあることがわかった。

北条時政のこの行動だけが不明だ。

まずはこの行動が何なのかを明らかにしようと思った。


これがダメなら不在時を狙って書類を探すことになる。その書類に片岡家のことが記載されていれば、それが証拠だ。


駿河は片岡八郎に隠密の業を教えながら北条時政が定期的に行く場所に忍び込んだ。

そこは廃寺の一つだ。


北条時政がその廃寺に入ると一人の人物が現れた。


駿河と片岡八郎は驚いた。

その人物は今までいなかったからだ。

闇から湧いて出たかかのように見えた。


亡霊戦士(エインヘリャル)か)

駿河は驚いた。高レベルのモンスターだ。高名な戦士が亡霊となるとこのモンスターになると言われている。死神ともいわれるモンスターだ。


片岡八郎は別なことで驚いた。

(あいつは片岡家を襲った奴じゃないか!)

片岡春は幼かったから、匿われていたから襲撃者の顔は知らない。

しかし、片岡八郎は知っていた。

忘れもしない仇敵の顔を

握り拳を強く、強く握りしめる。

やっと見つけたのだ。

実行犯を


その拳にそっと触れるものがいた。

駿河だ。


駿河はそっと撤収の合図をした。


隠密行動には無になることが必要だ。

しかし、仇を見つけて気を昂らせている片岡八郎にそれは無理だ。

それならば情報を得るために下手に欲張って、この場に居続けて、潜伏していることが露見するよりも今の情報だけでも持ち帰ったほうがいい。

駿河はそう判断した。


片岡八郎は感情的に反対しようとしたが、まだ冷静な部分もあった。

今の自分では隠密を全うするのは不可能だと自分自身が思った。

駿河が片岡八郎をつれていっても支障がないと判断したのもこの片岡八郎の性質による。


彼ら二人はそっと、その場を離れた。



亡霊戦士(エインヘリャル)の顔がわずかに動いた。


「どうした? 鎌田?」

廃寺にいた北条時政が亡霊戦士(エインヘリャル)に尋ねた。

北条時政は崇徳天から遣わされた亡霊戦士(エインヘリャル)に鎌田と名付けていた。

人前で亡霊戦士(エインヘリャル)と呼ぶわけにはいかないからだ。

便宜上の名前が必要だった。

名前は死神の鎌からとった。


「……何でもない。気の昂りを感じたが気のせいだった」

「あん? 誰かいたっていうのか?」

「……そう思ったが気のせいだった」

「やめてくれや。そういうのは。心臓に悪いぜ。ったくよう」

「……それより、魔王様からの助言だ」

「ほう、崇徳天のか? どんなんだ?」

「上総を殺せと言っている」

「なんだとっ」

「驚くことはない。元々その予定ではないか」

「そうだがよ。 相手は老いたとはいえ勇者の一人だぞ。相応の準備が必要だぜ」

「不要だ。その勇者の一人が味方だ」

「千葉か」

「そうだ。それに私もいる。別な亡霊戦士(エインヘリャル)も動いている」

「千葉と亡霊戦士(エインヘリャル)2体ならやれるか」

「やらなければ、また悶々と過ごすことになる」

「そいつは困るな……千葉が味方し、上総がいなくなれば三勇者も戦力半減以下か」

「そうだ。北条殿の望みもかなう」

「ああそうだな。やるしかねぇか」

「そうだ」

「倒すのは私達で充分だ。それよりも北条殿は別な準備をしなければならない」

「別な準備だと?」

「上総亡き後、上総の軍を手中に収めなければいけない。これは亡霊戦士(エインヘリャル)である私にはできない。北条殿。あなたがやらなければならない」

「わかった。任せろ」

北条は獰猛な笑みを見せた。


その二人を一匹の妖狐(ウィルオウィスプ)が見ていた。


【モデル紹介】

■鎌田盛政

 本作の鎌田のモデルの一人

 源平盛衰記にのみ登場 義経四天王 一の谷の戦いで戦死


■鎌田光政

 本作の鎌田のモデルの一人

 源平盛衰記にのみ登場 鎌田盛政の弟 義経四天王 屋島の戦いで戦死


■鎌田正近

 本作の鎌田のモデルの一人

 義経記にのみ登場 幼い義経に源氏の出自を知らせ、義経の平家討伐への思いを目覚めさせた。


■役小角

第九話に登場

伝説的な修験者。修験道の開祖

葛城山などで修行し、鬼神を使役したという伝説を持つ。


■軽太子

第十話の後書きに登場

允恭天皇の皇太子 妹との禁断の恋で失脚。 古事記に彼のラブレターが書かれています。


【神霊・妖魔紹介】

■エインヘリャル

 北欧神話で戦死してヴァルハラに集められた戦士たち

 日々、戦いに明け暮れ、終末の日に巨人や怪物たちと戦う


■ウィルオウィスプ

青白い火の玉のような怪異で。

「鬼火」「狐火」「人魂」の一種。

ヨーロッパの伝承では、旅人を迷わせる妖精・精霊のような存在として語られることもある。


■大口真神

第八話登場

古くから日本で信仰される狼の神。特に武蔵・秩父地方などで信仰された


【お知らせ】

こちらも連載中です。よろしければ見ていただけると嬉しいです

■機動小隊レンジャーワン https://ncode.syosetu.com/n8156lf/


【あとがき】

鎌田盛政・光政兄弟は源平盛衰記のみ登場。鎌田正近は義経記のみ登場。

そんで全員、お父さんは鎌田政清。

さて鎌田家は何人兄弟なんでしょうか?


こんな作品ですが「面白かった」「続きが気になる」と思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。

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