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剣と魔法の義経記  作者: 久手史郎
第三章 朝日将軍
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第二十二話 Crossroads of Destiny その8

クロウと愉快な仲間たちサイドです。

クロウ達は富士川に到着した。

時は夜。


源頼朝に合流するために、この地を目指したクロウ一行は、まだ戦端が開かれていないことに安堵した。

目の前には富士川を挟んで平家軍と源頼朝軍がいた。


「これが合戦ですか」

亀井が喉をならした。

野盗同士の戦いやモンスターを刈る戦いをしたことはあったが万を超える軍勢同士の戦は誰もが初めてだ。


「楽しみじゃないか」

「ええ、私の剣がどこまで通用するか早く試したいですね」

与一と皆鶴姫が不敵に笑う。


クロウはそんな二人を見て、笑みを浮かべた。

万を超える軍勢を見て、そんな言葉がでる二人を呆れつつも頼もしく思った。


「先に敵に突撃するのはやめてくださいよ。まずは源頼朝殿に挨拶が先ですからねぇ」

吉次がくぎを刺す。


特に与一は何をするかわからない。


「夜に訪ねるのは非常識だから、いったん、野営して朝挨拶に行きましょ」

静がそういって野営の準備をはじめる。

片岡兄妹や喜平太達少年少女も野営の準備をした。

「待ってください」

佐藤継信が声をかけた。

「どうした?」

クロウが尋ねる。

「平家軍の様子が変です」

クロウ達の中で唯一、軍隊指揮のスキルをもつ佐藤継信の言葉をクロウは重視した。

「何がおかしい?」

「平家軍が後ろから撤退しています」

確かに退却していた。

「これはなんだ? 一戦もせずに退却するっていうことがあるのか?」

クロウは首をひねる

「食料が尽きたならありうる話なのですが……あまりにも整然としすぎています」

佐藤継信が懸念点を示した。

クロウは納得した。これほど大規模な戦はしたことがないが、撤退となれば隊列が乱れたり、荷物を放り投げたり、我先に逃げたりするだろう。

しかし、平家軍は撤退しつつも振り返ったり、大将であろう馬上の男を何度も確認したりしていた。


「何かの罠かもしれないな。撤退しつつ敵をひきこむとかな」

伊勢三郎が言った。

野盗時代によくやった手だ。

伊勢三郎が囮となって敵を引き込み、そこを亀井が狙撃。駿河が背後を襲う。彼らの必勝パターンだ。平家軍の動きはそれに似ていた。


「可能性あるぞ」

残夢が言った。彼は自然と一体化する仙人だ。

人とは別の目がある。

その目から見ても、平家軍の動きは不自然だ。


「クロウ殿」

佐藤継信が言った。

「なんだ?」

「少し、悪戯してもよろしいですか?」

そう言った佐藤継信の顔は夜陰に隠れて見えない。

「悪戯?」

クロウは興味を持った。与一も目をキラリンとさせた。

「私も伊勢殿と同じく偽装撤退だと思います。そこで、少し悪戯して、偽装撤退を本当の撤退にしてみたくなりました」


佐藤継信にはこういうところがあった。ちょっとした策を投下して、四方にとってもっともベストな結果を導き出すのだ。

クロウも奥州大陸時代にこの佐藤継信のいう“悪戯”に翻弄され、危く神域に封じられそうになったこともあった。


佐藤継信は策の詳細をみんなに伝えた。


「おもしれぇ」

クロウは即、実行することにした。

【お知らせ】

こちらも連載中です。よろしければ見ていただけると嬉しいです

■機動小隊レンジャーワン https://ncode.syosetu.com/n8156lf/


【あとがき】

さとう つぐのぶ

▶コマンド 「いたずら」


「さとう は いたずら を しかけた」


こんな作品ですが「面白かった」「続きが気になる」と思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。

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