第二十二話 Crossroads of Destiny その2
平家に狙われた武田視点です。
「どうしたもんずら?」
甲斐国の武田信義は平家の大軍が東進したと聞いて頭を抱えた。
彼の元に蒲殿という男がいた。
蒲殿は源頼朝の弟。義円、クロウの兄にあたる。
源頼朝、クロウと同じく覇王と戦った男の遺児の一人だ。
その蒲殿がいたからなのか、甲斐の武田が強兵として有名だったからなのか、理由は分からないが彼らの元に以仁王の令旨が届いた。
「いいじゃんけ! おれも男として認められたってことずら」
彼は喜び挙兵した。
蒲殿も賛成した。
ただ、武田信義は現実家でもあった。
(俺、単独で覇王と戦うのは無理ずら)
と現実を見ていた。
彼が考えたのは” 合従”の策だ。
” 合従”とは古代中国の戦国時代に強大な秦に対抗するためにとられた策だ。
各国で手をとりあって秦に対抗しようね。という策だ。
武田信義は単独で平家と戦うのではなく、信濃国の木曽義仲、近江国の甲斐入道、尾張三河の義円、坂東の源頼朝と同盟を組み、一丸となって平家と対抗するということはできないかと考えた。
しかし上手くいかない。
信濃国の木曽義仲は隣近所だが、武田が信濃国に侵攻しないとわかると単独で越後国の城助職と戦い越後、越中、加賀、越前と切り取っていった。
近江国の甲斐入道にも”一緒に戦おう”と手紙を出したが振られた。
甲斐入道は単独で都を攻め返り討ちにあった。
皆、それぞれ独力で平家と戦おうとしていた。
(それじゃ無理じゃんけ)
武田信義は困った。今のままでは自分も含めて各個撃破されておしまいなのだ。
かといって平家に降参するのも以仁王の令旨を貰った責任として違うだろうと思っていた。
思考が八方ふさがり、堂々巡りとなった日々が続いていたが、吉報が舞い込んだ。
坂東の源頼朝が三人の勇者の支援を受けて再起したという。
三人の勇者とは
相模国南部の王 三浦
上総国の王 上総
下総国の王 千葉
彼等のことだ。
かつて都を混乱に陥れたという傾国の魔王 玉藻御前を倒したと言われている戦士達だ。
魔王を倒した彼らを人々は勇者と呼んだ。
彼等は現在、坂東平野に国を開いて、そこの国王になっていた。
坂東平野の中ではとびぬけて高い兵力と実力をもっていた。
その彼らが伊藤・大庭との戦いで敗走した源頼朝を救い、彼を盟主として坂東を制圧したらしい。
その勢いは強力で、源頼朝を破った伊藤も大庭も戦わずして撤退した。
まさに三勇者の力はまだまだ現役だと見せつけた。
「これならいけそうじゃん」
武田信義は坂東の源頼朝と合同で平家と対抗するという方針に活路を見出した。
現在の源頼朝軍は、実質的に三勇者の軍だ。
かえってやりやすいとも思った。
武田信義は蒲殿に坂東平野に同盟の使者としていってもらうようお願いした。
蒲殿もここで坂東勢力と力を合わせなければ滅亡するということを知っている。快諾して坂東平野に向かった。
彼は源頼朝の弟だ。きっとうまくいくだろう。
同時に武田信義は甲斐国から軍勢を率いて南下。駿河国に進攻した。
駿河国は武田信義の本拠地 甲斐国の南。源頼朝の本拠地 坂東平野の西にあり、合流地点としてベストな場所だった。
この国を抑え、坂東勢と合流しやすくしたいと考えたのだ。
この武田信義の駿河国攻めは大きな抵抗もなく成功した。
坂東平野の伊藤・大庭もそうだが、駿河の平家勢力は個別に抵抗するよりも、東進してくる小松維盛の7万の軍と合流することを目指した。各個撃破されることを嫌ったのだ。
それだけ三勇者の名声と影響力は大きいのだ。
やがて、使者の蒲殿が戻ってきた。交渉は成功。合同で平家と対抗するという約束を取り付けてきた。
「これで勝負は決まったずら」
武田信義は” 合従”の策が間に合ったことを喜んだ。
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【あとがき】
山梨大好きです。勝沼のブドウも ほうとうも 天然水も。
ちなみに今回の武田信義様は仕事で甲府に行ったときにお会いした知人をモデルにしております。
富士の湧き水もその方から教えていただきました。
話変わって筆者が行ったときにはなかったのですが、勝沼ぶどう駅でワインが試飲できるらしいですね。
もう一度いきたいな。
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