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剣と魔法の義経記  作者: 久手史郎
第三章 朝日将軍
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第二十二話 Crossroads of Destiny その1

近江国に甲斐入道という男がいる。

この男も以仁王の令旨を受け取り挙兵した。


入道の名前通り寺社に縁がある。

そのため彼の挙兵で集まったのは戦士ではなく僧兵だ。


特にその中心となったのは義円や浄妙が所属していた三井寺だ。

三井寺の僧兵たちが甲斐入道に味方した。


甲斐入道のいる近江国は都に近い。

西進すると都に着く。


彼は近江国で勢力を拡大するよりも都にチェックメイトをかけるほうを選んだ。

彼に味方したのが戦士や領主ではなく、僧兵というのが関係していた。

近江国の領主や戦士の支持を得られなかったので、そこで勢力をつくるというのが難しかったのだ。


そこで都を直接狙った。

具体的には都の東の軍事拠点 六波羅だ。


この六波羅の近くに法皇が幽閉されていた。

その法皇奪還作戦を考えたのだ。


彼らは人数が少ない。

つまり正面から戦うことはできない。作戦は奇襲がメインとなった。


敵拠点を攻める奇襲といえば夜襲が定番だ。


甲斐入道達 僧兵軍団は夜、六波羅にむかった。


目の前に一人の戦士がいた。

平家のブランドカラーである赤い鎧をきていた。

つまり甲斐入道にとって敵ということだ。


「何者だ」

甲斐入道は走りながら確認した。

一応、確認したが赤い鎧を着ているのなら敵だ。

夜襲を成功させるためには早々に始末する必要があった。


甲斐入道と僧兵たちは数に任せて、一人の武者に殺到した。


「愚か者! この、菊王丸を知らぬか! ―南無王城鎮守諸大明神―」

菊王丸を名乗る平家の戦士が魔法を唱える。


彼の右腕から直径3mはある極太レーザーが発射された。


この極太レーザーを範囲にいた僧兵はすべて倒れた。

残された僧兵も、恐慌をきたし逃げた。

勘の良い甲斐入道は素早く横に躱した九死に一生を得たが、同じく逃げた。

(一撃で軍を消すような化け物と戦ってられるか!)


甲斐入道は見栄も外聞もなく駆けた。


甲斐入道達逃げた先に軍勢がいた。

全て赤。

平家の軍勢だ。


既に彼らは囲まれていた。

甲斐入道達の顔が絶望に染まる。


「私たちと戦いにきたのでしょう? 逃げるのは無粋ですよ。さあ永遠に戦いましょう。―千本桜―」

平家の軍勢の中から大将が現れた。

平知盛だ。

彼は魔法を唱えた。


甲斐入道の背後からピンクの花びらが雲のように現れた。

そのピンクの花びらの正体は死者の魂。

先ほど、菊王丸に一撃で倒された僧兵たちの魂だ。


その魂がピンクの花びらの形となって、生き残った甲斐入道達を襲った。

その花びらは鋭利な刃物と同じだ。

生き残った甲斐入道達も切り刻まれ、ただの肉塊となった。

近江国、甲斐入道の挙兵も失敗に終わった。


この勝利は平家の強さをあらためて世に示した。


南都では以仁王・源三位頼政が平知盛に敗れた。

坂東平野では源頼朝が伊東・大庭という地元勢力に敗れた

尾張三河では義円・新宮十郎が火炎将軍重衡と小松維盛に敗れた。

火打城では木曽義仲が斎藤別当実盛と小松維盛に敗れた。


そして近江国で甲斐入道が平知盛と菊王丸に敗れた。


以仁王の令旨を受けて挙兵した勢力の大半が覇王と戦うステージに行く前に敗退した。


残るは甲斐国の武田信義だけだ。

有名な武田信玄の” ひいひいひいひいひいひいひいひいひいひいひいひいひいおじいちゃん”だ。


平家の諸将は武田さえ潰せば、以仁王の令旨から始まったこの戦いも終わる(ゲームクリア)と考えた。


そのため武田討伐軍が組まれた。

その数、7万。

甲斐国だけでなく坂東平定も視野に入れた兵力だ。


大将は小松維盛だ。

今までの戦での実績が評価されたのだ。

補佐役には斎藤別当実盛がつく。


北で木曽義仲・新宮十郎を破った彼らが、今度は東に向かう。

【お知らせ】

こちらも連載中です。よろしければ見ていただけると嬉しいです

■機動小隊レンジャーワン https://ncode.syosetu.com/n8156lf/


【あとがき】

この源氏全敗の状況を書きたかったがために富士川の戦い前後の時系列をいじっている作品です。

ご承知おきください。


・・・いろんな源平合戦関係の作品読みましたが・・・平家が勝っている描写が少ないというフラストレーションを本作品で晴らしております。(私情)



こんな作品ですが「面白かった」「続きが気になる」と思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。

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