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剣と魔法の義経記  作者: 久手史郎
第三章 朝日将軍
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第二十一話 再び魔王があらわれた その3

平家が越前に攻めてきた。

その数10万


平家の大軍が越前に侵攻した。

大将は以仁王や源三位頼朝を破った一人 小松維盛

その維盛を補佐するため斎藤別当実盛という老将が随行していた。



これを聞いた、根井は神宮十郎に相談した。

「ど、ど、どうする?」

神宮十郎はぼさぼさ頭を掻きながら

「どうするも何もないですよ。10万に勝てると思いますか?」

と聞いた。

「そりゃ無理だ」

根井は素直だった。

「それなら撤退です。ここで兵を消耗するわけにはいかないでしょう」


神宮十郎は”だからあの時追撃しておけばよかったのに”という言葉を懸命に飲み込んだ。

今、それを言っても何にもならない。


それよりも今大事なことは別にある。

各個撃破で兵を減らうことを避けなければいけない。

そのため撤退を勧めた。


根井は同意した。しかし懸念もあった。

平家が素直に撤退させてくれるかという心配だ。


「そこは任せてくれるか?」

「わりぃ。頼む!」

根井は先ほどの勝利で神宮十郎のことを信頼していた。何も考えることもなく神宮十郎に任せて先に撤退した。


神宮十郎は猛将ではないが弁舌巧者だ。

無事撤退するための策を用いた。


平家にスパイを送った。

そしてそのスパイに

「木曽義仲軍は前回の戦に味をしめ、背後から兵糧を狙ってくる」

という噂を流させた。


10万の大軍だ。

兵糧を失ったら大変なことになる。

平家の動きは鈍った。







平家軍の大将 小松維盛は補佐役の斎藤別当実盛にアドバイスを求めた。

小松維盛は義円との戦いでの勝利で自信をもったか、大将の風格が似合うようになっていた。

「この変な噂の事じゃな?」

斎藤別当実盛が確認した。

「ええ、明らかに流言の類が流れています。かといって無視して進軍し、本当のことだったらと兵糧を奪われます。そこで悩んでいるのです。ちなみに斎藤様ならどのようにされますか?」

「ほう、これが流言と見抜いたか」

斎藤別当実盛はカカカと笑った。


小松維盛は以前、火炎将軍重衡から「敵の気持ちになればわかる」と注意を受けた。

そのアドバイスを思い出し、今流れている噂が、敵の流言ではないかと推察した。


自分が敵だったら、この10万とはまともに戦えないと考える。となると、欲しいのは安全な撤退だ。そのために流言を流すことは十分に考えられた。


「これは流言でしょう」

小松維盛はちょっとムキになった。

揶揄われたと思ったのだ。

彼は頬を膨らましていた。


その維盛を見て斎藤別当実盛は微笑んだ。彼は若人が好きなのだ。

「すまん、すまん。えーっと儂じゃったらどうするかじゃったか。そうじゃのう、流言だった場合。儂らが兵糧の心配をして何もしなかったらどうなるかのう?」

「敵がにげます」

何を当たり前のことを言ってるんだ。という目で維盛は斎藤別当実盛を見た。

その維盛を見て斎藤は微笑む

「そうじゃのう。では、儂らが流言だと思って攻めたとして、本当に兵糧を狙ってきたらどうなるかのう?」

「それは……兵糧がなくなるならば撤退するしかなくなります」

「そうじゃな。さて敵が逃げるのと、儂らが兵糧を失い撤退するのではどちらが良いかのう」

「どちらも良くはありませんが、兵糧を失うのは困ります」

「そうじゃ。それが正解じゃ。流言であろうがなかろうが兵糧を守るだけじゃよ」

「しかし、それでは敵が逃げます」

「それは欲じゃ。兵糧は失いたくない。でも敵も逃がしたくない。これは欲じゃよ。一番無難なのはどっちじゃ」

「……兵糧を守る方……」

維盛はちょっとふてくされて言った。

「そうじゃ。それに敵が逃げたとて何か問題があるかの? こちらは10万じゃよ」

「……問題はないです」

維盛は不貞腐れていた。

「そうじゃ。それでよいのじゃ」

齊藤はカカカとわらった。


平家の大軍は動かなかった

根井や神宮十郎は無事に木曽義仲の元へ戻ることができた。

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こちらも連載中です。よろしければ見ていただけると嬉しいです

■機動小隊レンジャーワン https://ncode.syosetu.com/n8156lf/


【あとがき】

福井といえば蕎麦だと思っている筆者です。

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