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剣と魔法の義経記  作者: 久手史郎
第二章 覇王包囲網
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第二十話 クエストを受けますか?:クロウの選択 その7

クロウ・静・吉次は難しい顔をした。

援軍にむかう先のことでだ。


どの勢力も覇王と戦う戦力を欲している。援軍にいけば歓迎されるだろう。

そこはあまり懸念していない。


それよりも問題は、実質的な選択肢が一つしかないということだ。


坂東平野の源頼朝


この一択なのだ。


単純に地理の問題だ。


奥州大陸の南に隣接しているが坂東平野なのだ。

北と東は海だ。

西には越後国があり城助職という男が治めている。この男は平家方だ。


つまり坂東平野の源頼朝しか選択肢がないのだ。


一見、自由にルートが選べると見せかけて、実際は一本道のゲームと同じなのだ。


しかし、源頼朝は片岡兄妹の領土を奪った男だ。

その男の元へ援軍に行くのは躊躇われた。


「越後国は平家方。そちらに向えば奥州大陸と越後国の戦争になるでしょう。それは避けたいです。他の勢力はいずれも遠い。であれば源頼朝へ援軍に行くことになるかと思いますが、何を悩まれています?」

事情を知らない佐藤継信が不思議そうにクロウ達を見た。


クロウ達は顔を見合わせた。

「あのね……」

静が口を開いたとき、部屋の襖があいた。


そこには片岡春がいた。

というか……クロウの一党が全員いた。

皆、聞き耳をたてていたらしい。


「気にすることないよ!」

片岡春はまっすぐクロウを見ていった。いや、叫んだという方があっているかもしれない。


クロウは眉を顰めた。


片岡春にとって源頼朝は親の仇だ。

文字通り不倶戴天の敵だ。


また、片岡春にとってクロウは魔王 崇徳天の攻撃を庇ってくれた命の恩人だ。

その恩のために親の仇を諦めるのは違うのではないかと思った。

だから片岡春の叫びに眉を顰めた。


「私達のことを気にすることないよ!」

片岡春が再び叫んだ。


「あのね……」

静が片岡春に対して、言葉を告げようとした。

が、それを片岡八郎が遮った。


「源頼朝はご存じの通り私達、兄弟の仇です。覇王や平家は法皇の所領を奪ったそうですが、源頼朝は私たちの父を殺し、私たちの所領を奪った。私達からすると覇王も源頼朝も違いはない」

片岡八郎がいつになく真剣な顔で伝えた。


「私たち兄弟にとってはどちらも、この世に生かしてはおけない奴らです」

片岡八郎が心情を吐露した。淡々と告げている分、恐ろしい迫力があった。


「ただし、私達は感情のまま特攻し玉砕する気もありません。そんなことをしたら片岡家は滅びる。犬死です。特に大事な家族である春をそのような目にあわせるわけにはいかない」

片岡八郎が春を見た。家族を大切にする兄の目だ。


「そこで問題になるのは覇王を倒せるのか? 源頼朝を倒せるのか? ということです」

片岡八郎はここで言葉を区切り、クロウを見た。


そして

「今の状況で源頼朝を倒せますか?」

質問を投げかけた。

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