第三十三日[朝からキチガイ三昧]
雷「いつつ……」
矢「酷い目に遭ったよ」
梨「もう痛いのは勘弁だな」
雷・矢「いや、そりゃないわ……」
チュンチュン…
「ぬ……」
朝6:00家主の部屋にて
「…ふぁぁああ…よく寝たナ…」
ドタバタ
「?」
バタン!(扉が勢いよく開く音)
「お母様!大変ですわ!ペットが逃げました!!」
「……昨日の騒動で充分だと思うヨ?」
あれから、隆次だけでなく谷津冶と蒲生と幽霊に憑かれた様な名似何の四名は結局、シルヴィーの持つRPGによって散る羽目となった。
「…むむむ…そうですけど…」
「……まだ遊び足りないノ?」
「勿論!」
「……そう………シルヴィー?やりたい事があったら自力でやる、というのも大切な事ダヨ。」
「お母様…」
ジャンヌの言葉を聞き、シルヴィーは少し残念そうな表情を浮かべた。
「まぁ…少しだけなら手伝ってあげるから…ネ?」
「…分かりましたわ。」
シルヴィーは静かに部屋を出て行った。
「………あの子が自立する日はいつ来るのやら…」
…世話が焼ける娘程可愛いものは無いと心の中で呟くジャンヌであった。
同時刻幸薄の間にて
「…ぜぇ…はぁ…」
「是ぇ!破ぁ!」
「誰も厨二っぽくしろとは言ってない。」
息を切らして走り戻ってきた隆次がいた。
「……やっと逃げれた。」
「隆次お前、随分遅かったな。」
谷津冶がカーテンを開けながら隆次に言った。
「…一晩中鎖付き首輪の鎖を握られてた…。」
「……お前、Mだったのか…?」
「俺はNだ。お前とは違う。」
「僕はチャンピオンを超える!」「ノーマルのNだ!」
隆次と谷津冶と名似何が談笑していると
「フハハハハ!隆次!やっと囚われの身から抜け出したか!」
「馬鹿っ!もう少し声下げろ!」
「む、すまん。いや…先程我らが同胞シャドウに隆次の行方を聞かれてな…」
「…やっぱりか。」
リュゥゥゥゥジィィィィィィ!!
…という声が廊下に響いたのを聞き、隆次は青ざめた。
「…頼む!匿ってくれ!」
「ぇえ〜……いいよ?」
「流石谷津冶!そう言うと思ったぜ!」
「…とりあえず、お前はどこかに隠れてろ。後は何とかするから…」
…隆次隠れ中…
「もーいーかい?」
「まーだだよ」
「…そんな事してる余裕なんてないんだけどね…」
「もーいーよー」
隆次は現在押入れの中に隠れている…もっと他に良い隠れ場所は無かったのだろうか。
コンコン
「お邪魔しますわ!」
「おい、ちょっと待て。」
「…何ですの?ノックならしましたわよ?」
「そういう問題じゃねぇ…」
谷津冶はツッコミを諦めた。
「…?まぁいいですわ。こちらにリュージが来てません?」
「え?隆次?知らないな〜…」
「来てますわね…?」
「さぁ、何のことやら〜」
「(バカ野郎!来てるって言ってる様なもんじゃねぇか!?)」
隆次は谷津冶の隠し事の下手さをすっかり忘れていた。
「…じーっ…」
「……(汗)」
「…じぃーーっ…」
「………(大汗)」
「…じとぉーーーっ…」
「…………(涙)」
「…どこに、いるんですの?」
「…そこの押入れには居ないです…」
それが谷津冶の最後の抵抗であった。
「(やっぱりか…)」
「(…時間の問題だったか)」
しんみりと隆次と名似何は思った。
「…ならば調べさせて頂きますわ。」
「(ヤベっ!)」
「フハハハハハハ!待て!シャドウ!」
隆次が最後を覚悟した時、シルヴィーの前に蒲生が立ち塞がった。
「我が力を以って、ここは通さnガハァッ!!」
「ごめん遊ばせ〜」
シルヴィーは以前涅月にでも教わったのであろうやり方で、蒲生彦九郎を蹴り飛ばした。
…尤も、いつもは壁に埋まる筈なのだが今回は方向が違った上に、つい先程谷津冶がカーテンを開けると同時に窓も開けた為…
「が、蒲生ぉぉおおおおお!!」
「ちょ、ここ三階!」
「木と花壇があるので大丈夫ですわ。」
「(あいつ最近ますます扱い酷くなってきたな…)」
何故、隆次が押入れの中に閉じ籠っているにも関わらず蒲生が窓から落ちたと分かったか、についての言及は避ける。
「さて、そこにいるのは分かってますわよ?リュージ…」
「…(あれ?これバレてるんじゃ…?)」
そしてシルヴィーは改めて押入れに向かった。
「(今度こそオワタ…)」
「……龍神はん…」
隆次が天に向かって両手を大きく広げようとした時、すぐ側から幽霊の囁きが聞こえてきた。
「……ウチに名案があるさかい、ちょう体貸してくれまへん…?」
「…名案…?(他に打開策が無いならいっそこいつに任せてみるか…)」
隆次は科菜の提案を囁き声で承諾した。
「…ほな憑かせて貰いまっせ〜」
スゥ…
「…はぅあ!」
「……今完璧に声が聞こえましたわね…。やっぱりここにいたんですのね!」
そしてシルヴィーが勢いよく押入れを開けた!
「シルヴィー!!!」
「お、お母様!?」
それと同時にジャンヌが勢いよくドアを開けて入ってきた。
「友人を窓から蹴り飛ばすって、貴女何考えてるノ!?」
「…え、いえこれは…その…」
「…何や?」
押入れは全開である。隆次の姿も容易に確認できる。
しかし、シルヴィーは突然現れたジャンヌの怒号にただ身を竦ませていた。
「……何や、スルーされてるな…ウチ…(でも、これ意外とええチャンスやな…)」
隆次(科菜)は目の前で固まるシルヴィーを見て、作戦の実行に移った。
「もしも彼が取り返しのつかない怪我でもしてたらどうするノ!?」
「どうするぅ!!?」
「ご…ごめんなさい!」
「ちょう、あんさん?」
「…え?」
《無視すんなゴラァアアア!!》
ドガッ!!
「ごふっ!」
…とあるコーポレーションの社長並みのタックルを腹に受け、シルヴィーは成す術も無く壁まで飛ばされた。
「一度やって見たかったんよ!ほななー!銀ちゃん!!」
「あ?ちょっとリュージ君…?!」
幽霊が憑いた隆次は普段の1.2倍速で走り去って行った。
「………」
「………」
目の前の光景を名似何と谷津冶はただ見ている事しか出来なかった。
「いや〜ホンマオモロかったわ〜中々の緊張感!」
「ぜぇ…ぜぇ…」
広間にて。
隆次はジュース片手に息を整えていた。
「いやー、龍神はんにもみせてやりたかったわ。銀ちゃんのあの顔。」
「はぁ…はぁ…後から…どんな目に遭うか…見当もつかん…」
「…まぁ、そこは気合いや。気合いで乗り越えるんや。」
「まぁ、今日最終日だから良いか…」
「……あぁ〜、せやな…」
科菜は若干切なそうに返した。
「…お前はどうするんだ?ついて来るのか?」
「ん〜…どうしよな〜…。銀ちゃんと相談してみるわ…」
「そうか。」
それだけ言って隆次は庭へ歩いて行った。
「…ここも気に入ってるんやけどね……やっぱ…沢山いてる方が楽しいわ…」
科菜は染み染み呟いた。
「やれやれだったぜ…」
「まったくだよ…」
その頃谷津冶と名似何は幸薄の間を離れ、テキトーな場所を歩いていた。
「…遂に隆次が女の子にまで暴力を振るう様になるとはな…」
「あ〜…あれね。」
「いつかはやるんじゃないかとは思っていたさ…」
「…そうか。」
「しかもタックル!…遂に犯罪者だな…隆次。」
「そこまで行くか…」
「そりゃあ…懐にダイブ!しちゃったんだぜ?」
「懐にダイブ!か…そう言えばそうだね。」
「…いや、よく考えてみると隆次がアグレッシブになったという線も考えられるな…」
「そうかい。」
因みに、名似何は誰の仕業かを知っている。
「私はトイレに行って来る。」
「じゃあ座って待ってる。」
「シルヴィー?これを機にもう少し自重するんだヨ?」
「はい…。」
ジャンヌの説教が終わった頃には、既に皆が起きて来る位の時間になっていた。
「…次からはもっとお淑やかに…イイネ?」
「はい…。」
「それじゃあ、行きなさい。」
「はい…。」
シルヴィーは重い足取りで歩いて行った。
「……やれやれ…」
…世話が焼ける娘程可愛いものは無いと再び心の中で呟くジャンヌであった。
「…リュージ…後で覚えてなさいよ…」
暫くしてシルヴィーは静かな炎を燃やした。
「ふぅ…ってあれ?」
名似何がトイレから戻ってくるとそこに谷津冶はいなかった。
「……どこへ行ったのだろう…」
それだけ呟いて、名似何は携帯電話を弄り始めた。
ドドドドドドドタドタドタ
「待つんだぉおおおおおおおおおおおお!!」
「ドゥーンさん!落ち着いて!」
「許さないんだぉおおおおおおおおおおおおお!!」
その頃別の場所では谷津冶が怒り狂ったドゥーンに追いかけられていた。
「何で俺までぇえええ!!?」
「……何で私も…?」
ついでに隆次と葉子も追いかけられていた。
「…完璧にとばっちりじゃないですか…」
その様子を、不幸ではあるが体力が無いTHE STEGOのロr「いい加減にしてください。」……ツッコミ担当の未来が傍観していた。
とうとう沖縄編が最終日になりました!
色々と長々となりましたが、最終日は彼らはまだまだ張り切るのでお楽しみに!




