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第三十二日[余興こそ本番であって余興のない本番などボワワワワン]

梨「代供?」

矢「余興」

雷「Just do it!」




 合宿三日目の夜




 各々のやるべき事を済ませた名似何、谷津冶、ドゥーン、エボン、鳥柄、蒲生、小鷹、小康は大広間に呼び出され全員円テーブルに腰掛けたまま待機していた





 ピンポンパンポーン!

 【注釈】

 ちなみにパーティーとして雰囲気立たせるために男性陣はスーツ、女性陣はドレスをシルヴィのお家から貸してもらい全員着用しているので悪しからず

 【注釈終了】

 ピンポンパンポーン!





 「それなりに広いとは予想していましたが、まさかここまで広いとは思っていませんでした……」

 部屋の内装を見渡しながら唖然とする鳥柄に対して隣に座るヤクザと見間違えかねない出で立ちをした谷津冶はもう慣れたと言わんばかりの顔つきでコップを眺めている

 「まあな〜こんな広い屋敷をうろつくのなんて生まれて二回目だから慣れたって言っちゃあ慣れたな。」

 何やら引っかかる発言をしたように聞こえたがここは敢えて聞き流し鳥柄は目の前で行われている谷津冶の奇行に目を向けた

 「…さっきから何をしているんですか?」

 怪訝な目つきで眺められている事に気づき谷津冶は慌てて弁解を述べる

 「いや!違うんだ!ただ食器の透明度がさすがに違うなって思って」

 「へぇーーそうですか」

 「いやそれ納得しとらへんやろ!完全に棒読みやろ!?」

 「全く、煩いよ谷津冶。食事前は優雅に振る舞うべきだ。」

 「俺は、ただ寝るだけだ!」

 小康が深い眠りにつく一方二人の向かい側に座る名似何が注意をする形で会話に加わる

 「いや……すまん」

 何か反論しようとした谷津冶は何故か途中で素直に謝ってしまった

 そんな様子を妙に感じたのか、名似何の隣に座っている蒲生がお得意の劇場を始め出す

 「フハハハハ!どうしたぁ因果の王よ!塩らしいなど貴様らしくもない、なぁ?」

 「ちなみに因果の王ってどんな意味なんだ?」

 「そんなものは、ない!」

 いつもの調子の蒲生に対して彼の右隣に腰掛ける完全な色男小鷹は淡々としたものだった

 「お前はどこにいても変わらないんだな……」

 「フハハハハ!そうかぁ?俺は沖縄だからこその振る舞い方を実践したのだが、気づかなかったかぁ?」

 「「マジで!?」」

 「あれ?気づかなかったの二人共?」

 驚嘆する二人と既にケータイをいじりだした一人を眺めながら鳥柄は一つの疑問を抱いた

 (この人達、受験生だよな………?)

 「そういや、隆次は?さっきから見かけてねえな。」

 いきなり話題を変えた谷津冶が周りを見渡すが、そこには確かに雷堂隆次の姿はなかった

 「フルッフー!」

 「……なんだよ、エボン?」

 突然奇声を上げたエボンに嫌そうな顔をしながらも谷津冶はお約束を守るために敢えて尋ねた

 「あやつの事なら心配ないぞい。我が身内がしっかりしつけておるからのう」

 「しつけ?何だそりゃ?」

 一人周りから取り残されている谷津冶が?マークを頭の上に浮かべていると携帯をいじっていた名似何が

 「あれ、谷津冶は知らなかったの?隆次は今この家に雇われてるんだよ」

 「雇われてる!?」

 「しかも500円分ね」

 「500円って少なくね!?」

 「まあ妥当じゃろ」

 「いやいやいや!500円でペットって!」

 笑いを堪えながらテーブルを叩く谷津冶を呆れ果てた様子の名似何が携帯を閉じる

 「そういえば先程何やら大きな物音が聞こえたのだが、何か知っているか?」

 「ギクッ!」

 「いや、おっちゃんは知らないお」

 「右に同じく」

 「俺もだ」

 「フハハハハ!俺だ!俺がやった!」

 「成る程。蒲生も知らない、か。」

 蒲生の激白ショーが始まると思いきや、名似何は華麗に受け流し再び自分の携帯を開き何かを打ち込む

 「あ!谷津冶、君は何か知らないか?」

 「えぇ!?いや何も知らねえし!」

 「この人がやりました」







 「犯人は、お前だ!」

 「んなもん分かっとるわ!つーか目の前に証人おるがな!ホンマにコ○ン君顔負けの推理劇やで!」

 「で、なんであんな大きな音が出たのだい?」

 容疑者(谷津冶)の見苦しい言い訳を無かったかのように詰問が始まる

 「……言わなあかん?」

 「興味本位だが、気にはなるね」

 「偶然ね?偶然壁に拳が当たっちゃったんだよ。その時にさ、その又偶然壁が脆かったみたいで少しひびが入っちゃったんだよ」

 「ほう、つまり君の馬鹿力が壁を壊したと」

 「いや壊してないよ!?それに」

 「完全に空洞が出来てました」

 「なんで言っちゃうんだよ鳥柄君!?」

 言い訳ですら遮られた谷津冶はあわてふためく

 「と、とにかく!壁はキチンとジャンヌさんに謝ってから直したから問題はないはずだ!」

 「ふーん。どうだい?鳥柄君、彼の供述は正しいかな?」

 「半分ですね。」

 「うぉい!?ちょっと待ってくれよ!」

 《えぇーテステス。マイクテストマイクテスト》

 谷津冶が文句を言う前に部屋の中心部に立った最高責任者がマイクテストを始める

 《皆さん、今日はお疲れ様でした!合宿も今日で三日目、明日は夕方の便で本島に発ちます。ですので思い出作りのためにこれから明日までの夕方までは各自自由時間にしたいと思います!》

 オォーーーー!

 パチパチパチパチ!

 溢れんばかりの拍手に一礼をすると最後に一言最高責任者が音頭を取る

 《では、本日の夕食を頂くとしましょう!》

 いただきまーーーす!

 その一言によって腹をすかせた獣達が手元にある料理を手をつけようとしたが、スグに小鷹が手を挙げる

 「女子はどうかしたんですか?」

 小鷹が言った通り、部屋には女子がいなかった

 「そういやいねーな」

 「まあ化粧でもしてるんじゃないの〜?」

 「これでドレスでも着て来たら面白いんだがな」

 ザワザワザワザワ

 各自が自分の予想などを出し論議が始まる

 「それなら大丈夫だヨ!」

 突如開かれた扉から漆黒のドレスに身を包んだジャンヌが現れる

 「一体何が大丈夫なんですか?」

 名似何が尋ねるとジャンヌは右手の親指を突き立て元気に答える

 「どうせパーティーなんだから彼女達にはドレスを着てもらったヨ!」

 「良かったな、蒲生。君の予想が綺麗に当たったぞ」

 「我が千里眼にぃ!不可能ぅはぁ!なしぃぃぃ!」

 自分の予想が当たった事を紛らわしい表現でアピールする蒲生を皆が暖かい目で見つめていると

 「それじゃあ入ってもらうヨ〜」

 ぞろぞろぞろぞろ

 「おぉっ!」

 「ふ〜ん〜」

 「………!」

 「そーなんだ!」

 「……zzzz」

 「おっおっお!」

 現れた八人の女性陣はそれぞれ違う色のドレスに身を包んでいた

 涅月は高そうなきらびやかに光るイヤリングを身につけた上で色合いを薄ベージュ色をベースに周りを小麦色の花飾りに包まれたロングドレスを

 高上は首からブリリアントグリーンのネックレスを下げ、緑色をベースに腰から膝にかけてヒラヒラのレースがかかったワンピースタイプを

 シルヴィはまさに情熱を表しているかのようなワインレッドを中心にした配色で胸元を大胆に魅せるように出来ているドレスを着用した上で両手から肘にかけて黒色の手袋を身につけている

 アスカは自身の黒髪を魅力を最大限に生かすために髪を結い上げた状態で眩しさを覚えるほどの銀色のチャイナドレスを

 瑠美子と美毅は互いにシンメトリックになるように髪形も鏡合わせに見えるポニーテールにまとめ、それぞれ青と赤の流れる川のような模様のフリルを装飾にしたドレスを一着ずつ

 八人の中で最も最年少である花代はさすがに化粧まではしていなかったが、髪には半透明の星形の髪飾りを、首から下は薄紅色のワンピースを身につけ周りの中で言うといわゆる高上に近い風貌をしていた

 各々、周りから感嘆の声を上げさせる程であり、また花代のエスコートに先程までいなかった楠男がシルヴィのエスコートに頭に犬の着ぐるみを被ったまま下にタキシードを身につけるあからさまに判別可能な人物Xがそれぞれ付いている

 《それでは、皆さん!テーブルに座って下さい》

 責任者の誘導によって女性陣は次々に席に座っていく


 ある者は

 「ふむ。どうだマイハズバンド?昔を思い出したか?」

 「最高だお!むふー」

 変態度マックスの反応を示せば



 またある者は

 「涅月も高上もよく似合ってるぞ」

 「私は興味はなかったんだがな」

 「ありがとうございます!」

 色男らしく素直に褒め讃えたり



 さらに興味がない者は

 「…………zzz」

 「まあ似合ってるんじゃな〜い?君も、そう思うだろう?特に腹部の上辺りとか、ねぇ?」

 「……………(コク!)」

 「もっと褒めたたえてもよろしくてよ!」

 意味ありげな笑みで喋れない者に話題を振り愉しむ


 そして達観する少年は

 「姉さん、似合ってますね。」

 「似合ってますってどういうことなの、鳥柄君?」

 「兄さん、お疲れ様です。」

 「………おにぎり」

 「すぐに用意してもらいますから大丈夫ですよ。」

 「ねえ鳥柄君、質問に答えてよ。ねえ」

 「素敵だということです。」

 自分より歳が上の姉や兄の面倒をため息をつきながら見る


 最後に鈍感なMIBもどきは

 「どう?試しに張り切ってみたけど、似合ってる?」

 まさに純白とも言うべき真っ白なドレスに身を包んだ柳垣はどこから持ってきたのか、髪の色をかつらで金髪に変え肌も真っ白にしていた

 それに対して谷津冶は脱帽した様子で一人傍らに立つ柳垣を見上げながら

 「あぁ、ええんちゃう?」

 と、曖昧に答える

 その反応を見た柳垣は満面の笑顔で顔を近づける

 「ふ〜ん。こういうのがい〜んだ〜?」

 「いや!お前、顔近づ」

 「だから、何?」

 ピキーン!

 「ッ!……おいおい、んでこんなトコまで似てんだよ」

 睨みつけられ何かを思い出したかのような表情をした谷津冶は苦笑いになりながらも近づく柳垣に必死に抗っていると


 《えーそれでは、皆さんが席に着いたところでパーティーの余興に入ろうと思います!》

 最高責任者のマイク音声が室内に響き渡る

 「柳垣、席に着いた方がいいんじゃないか?」

 恐る恐る言うと柳垣は口を膨らまし

 「………分かった」

 とだけ告げて席に着く

 (た、助かったぜ…)

 そう思う間もなく最高責任者がパーティーグッズを身につけ、再びマイクを手に取る

 《それでは、早速余興に入りたいと思います!1番バッターは》

 ビシッ!

 最高責任者が手元にあるカードを読み上げる前に謎の人物Xが手を挙げる

 「あなたの見せ場ですわよ。しっかり働きなさい」

 傍らで座るシルヴィに念を押されXは

 「…………(コク!)」

 勢いよく頷きシルヴィから離れて壇上に向かう




 かと思いきや

 「ん、何だ?俺とこいつに何か用か?」

 「…………(コク!)」

 Xは小鷹と蒲生に手招きし、そのまま壇上に向かう

 「何なんだよ、一体」

 「フハハハハ!」

 二人もおとなしく着いて行く


 「名似何、あいつって」

 谷津冶が笑いを堪えながら指差すと

 「ああ、隆次に間違いないね」

 名似何は深々とため息をつき見なかった事にする


 そんなこんなしている内にいつのまにか小鷹と蒲生を引き連れ壇上に上がったX、もとい雷堂隆次は着ぐるみを取り素顔をさらけ出し小鷹や蒲生と共にポーズを取る

 「待たせたな!真打ちの登場だぜ!」

 シーンーーー!

 開始早々出鼻が折れた

 「………隆次」

 シルヴィは結果が分かったかのように手元にあるRPGを構える

 「ま、待て!もう少し猶予をくれ!?爆破オチにはまだ尺が足りないはずだ!」

 「問答無用、ですわ!」

 あわてふためき何とか照準を合わされないように必死に逃げ回る隆次を皆が声を立てる笑う

 それを見ていた名似何のところでは

 「なあなあヤチュミは〜ん。ちょっとだけ身体貸してくれへ〜ん?」

 「別にいいけど、理由は何かあるのかい?」

 理由を尋ねると科菜は嬉しそうに笑う

 「だってパーティーやで!楽しまな損やろ。」

 「それが私の身体に入るのとどう関係しているのか、よく判らないがまあいいだろう。」

 「よっしゃー!なら、逝くで!」

 了承の意を取った科菜は空中から名似何の身体に勢いよく飛び込む

 ズギューーーーン!

 「ふー、やっぱ生身の身体はええわ!」

 「おい、名似何。どうかしたか?」

 科菜が入っているとは全く気付かずに迂闊に谷津冶が名似何のこのこと近づくと

 「ちょーどえーわ。にーちゃん、ちょっとうちと遊ばへんか?」

 「遊ぶ?別にいいけど、名似何がそんな事言うなんて珍しいな。」

 「ほな、行くで!」

 「応!ってどこに行くんだよ!?」

 「決まってるやろ!あそこや。」

 そう言って名似何もとい科菜が指差したのは先程から騒がしい壇上

 「ちょっ!?落ち着けって!おい柳垣、お前からも何か」

 しかし柳垣はいない

 「畜生!」

 こうして、名似何改めて科菜の好奇心を満たすために梨田谷津冶は連れていかれる事になるのであった





 「兄さん、美味しいですか?」

 「………うん!」

 ジャンヌに頼み普通のおにぎりを作ってもらった鳥柄はベランダに出ておにぎりを頬張る兄、楠男と共に景色を眺めていた

 「綺麗ですね。まるで夢の中のようだ。」

 「ふ〜ん、なかなかロマンチストなんだね?」

 「っ!………貴女ですか。」

 急いで振り返ると、純白のドレスに身を包んだ柳垣真夕が目の前に直立していた

 「今、少しいいかな?」

 「………いいですよ。兄さん、すみません。先に戻ってもらっていてもいいですか?」

 「………うん。」

 是が非でも時間を空けろと言わんがばかりの不敵な笑みに寒気を覚えた鳥柄は腹を括り楠男を先に屋内に戻らせる



 「それで、話とは?」

 鳥柄は兄を見送ると背後の柳垣に向き合う

 「今朝、君が言った件についてお願いがあって。」

 「誰にも話してませんよ。っていうか話しません」

 「何故?」

 「貴女の過去についての興味が喪失しました。だからもう話さない、それだけです。」

 まさかの返答に柳垣も驚く

 「いきなりだね。何か心境の変化でもあったの?」

 「いいえ、特には。ただ、素顔を晒してしまった貴女に対するこれ以上の仕返しが思いつかない、それだけですよ。」

 鳥柄はそのまま夜空を見つめる

 そんな様子を眺め

 「可愛くないね。私は別にあの色も好きなんだけどな〜」

 柳垣はわざとらしく髪を撫で下ろす

 「あとバレバレな化粧も止めた方がいいですよ。そちらの方が断然綺麗に見えます。」

 「そりゃアリガと、考えとくね。でもさー、君ももう少し子供らしさがあってもいいんじゃない?」

 「大きなお世話です。」

 「ハハハ!それもそうだね、それじゃ戻るよ。」

 柳垣が戻ろうとすると

 「……一つ、一つだけ答えてもらってもいいですか?」

 「………何?」

 「あの人って馬鹿なんですか?それともただのお人よしなんでしょうか?」

 「さあ。どっちだと思う?」

 柳垣が質問に質問で返す

 「僕には、ただのお馬鹿さんにしか見えませんでした。」

 その答えを聞くと、柳垣はまた笑みを浮かべ今度こそ踵を返して歩き出す

 「それで合ってると思うよ!少なくとも、私はあの人をただのお人よしだなんて思っていないから。」

 そう告げると柳垣は室内に戻って行った




 「今日は沢山の事があったな」

 一人になった鳥柄は手すりを掴む

 「楽しかったのかな?それともつまんなかったのかな?」

 まるで自問自答するかのように呟く

 室内をガラス越しに覗くと中では

 「ほらほら行くでー!」

 「名似何!?落ち着けって!!」

 「フハハハハ!本日の我が裁断は不問なりぃぃぃ!」

 「待てシャドー!まだとっておきのギャグが」

 「もう遅いですわよ!」

 「梨田くーーん!!」

 「お前ら、元気だな」


 自分より年上の少年少女が走り回っている光景を眺め鳥柄はふと笑みをこぼす

 「全員キチガイだらけだ」

 さあさ、少し遅くなってしまいました!申し訳ない!少し時間がかかってしまいますた

しかし時間をかけた分だけ内容はそれなりにしっかり出来たかな?って思いました

今回の内容についてですが、少しずつ柳垣の設定を考えないとな、と思ったのでちょっと書いてみちゃいました!てへペロ

今後もほんの少しずつ話していこうかなと思いますので少々お待ちを!

それでは、また!

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