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第十八日[観光トライアル]

矢「嗚呼、野菜は美味しいな」

雷「お前はある意味凄いよ……」

梨「……本当にな」


翌日の早朝。谷津冶に誘われ、珍しく早く起きた隆次は自販機の前に来ていた。

「……。」

ひそひそ ひそひそ

「………なぁ隆次…。」

「ん?どした?」

ひそひそ ヒソヒソ

「……あの噂ばら撒いたの…お前だろ?」

ヒソヒソ ヒソヒ素

「あの噂?」

ヒソヒソ ヒソh…

「さっきからヒソヒソうるせぇえええええ!!」

「キャー!変態ヤンキーが怒ったー!!」「逃げて逃げてー!」

ドタバタドタバタ…

「………何なんや…あいつら…」

「気にするな。人類とて必死だ。」

いきなり名似何が物陰から現れ、それだけ言って何処かへ歩いて行った。

「………何なんや、あいつ…」

「……今更だけどな。」

「さて、話を戻すが…『ヤンキーが女子校生を風呂に連れ込んだ』なんて噂流したのはお前か?」

「おう。勿論だ。」

隆次は悪びれもなくそう言った。

「やっぱりかぁあーーーい!!お前のせいで女子達にとことん変態呼ばわりされてんだぞ!!どうするぅ!?」

「いいじゃないか。面白い。」

「こっちは面白くねぇ!!第一これのどこが面白いんだ!?」

「人の不幸は蜜の味だZE!」

「言うと思ったぜ!その根性叩き直してやる!歯ぁ食いしばれぇえ!!」

そう言って谷津冶は拳を握りしめて隆次に掴みかかろうとした。

「喧嘩は良くないですよ?」

するとそこに女王 瑠美子が姿を現した。

「そうだぞ谷津冶」

隆次もそれに便乗した。

「くそぉ…」

谷津冶はここで止めなきゃ後々不利になると思い、握った拳を引っ込めた。

「…で、昨日風呂場に柳垣さんを連れ込んだってのは本当ですか?」

その隙を見て瑠美子がすかさず興味津々な様子で聞いた。

「…それ、俺が変態なヤンキーだって遠回しに言ってますよね?」

「どうなんですか!?」

「はい!確かに僕が連れ込んで…ねぇっすよ!?柳垣さんから来たんすよ!なのに何で俺が…」

「まだ抵抗するか…谷津冶…」

「何で俺が悪者扱いなんだよ?!」

「朝から大声で叫ばないでください。」

「……すんません」

「もういいです。後で聞きますから…」

「…ん?後?何かあったっけ?」

「雷堂君、旅のしおり忘れたんですか?」

「失くしたぜ!」

雷堂は爽やかに自白した。

「相変わらず、阿呆ですね…。この後は、首里城を見に行くんですよ。」

「マジで!?一回行って見たかったんだよな!」

隆次は少なからずテンションが上がった。

「何で?」

「広そうだから」

それだけかよ、と2人が思ったのは言うまでもなかった。

「あ、そうだ。昨日の風呂場での騒動で思い出したが、俺と蒲生は全くの無関係だ。全部ドゥーンの仕業ってことで宜しく。」

「…皆、分かってると思いますよ…それくらい。」

「………ならいいんだが…」

そして三人は各自の部屋に戻った。



そして朝食の時間になった。

「もぐもぐ…」

「ガツガツ!」

「ボリボリ…」

「「名似何お前何食ってんだよ!?」」

隆次と谷津冶がいきなり突っ込んだ。

「先輩方、食べながら突っ込むのは行儀が悪いですよ。」

「…んぐんぐ…悪りぃ。高上。」

「もぐもぐ…ごめんちゃい」

「それはともかくとして…名似何、何食ってんだよ…?」

「野菜スティック」

「…そんなボリボリ食べる物、朝食に出した覚えはありませんわよ…?」

「俺らもそう思ったから突っ込んでるんだよ…」

「野菜は大事だよ。」

名似何はそう言って再び野菜スティックを頬張り始めた。

「梨田君!これ食べて!」

「ん?おぉ、ありがとう柳垣さん。…って何?コレ。」

「今朝、ここの庭を散歩してて見つけたキノコ!」

「…嫌な予感…」

「はい!あーん…」

「うっ!!(これはマズイ!)」

谷津冶が男なら誰しもが羨むシチュエーションにあるにも関わらず、キノコを恐れて逃げていると…

「………爆発してしまえ。」

「隆次、そんな恐ろしい声出さないでくれ。逮捕されてもフォローできないから。」

「フルッフーーー!食事中じゃが、その願い叶えてやろう!」

「爺!爆発させるなら1人だけになさい!」

「心配は要らんよ、シルヴィー。ほれ、ポチッとな。」

エボンは手に持っていた小型のスイッチを押した。

すると谷津冶の椅子から煙が上がった。

「ななななんだ!?煙が出てるぞ?!おいエボンこれは一体…」

「フルッフー!恨むならそこの少年を恨むのじゃな。少年。」

「谷津冶…少しは痛い目を見るがいい!」

ドドドドドドドドドドドドド!!

谷津冶の椅子から轟音が鳴り出した。

「痛い目って…俺はいつでも痛い目に…!!」

「そろそろじゃな。また後での。少年。」

そして…


ちゅどぉおおおおおおおん!!!

「隆次ぃぃいいい!!!!!」


谷津冶は再び星になった…

「梨田くぅぅん!??」

「ふぅ、どうじゃ?少年。」

「あんた、いい仕事してるな。」

エボンと隆次の間に新たな絆が生まれた!

「…取り敢えず、天井の修理代は爺の自腹ですわよ?」

「……まぁ良かろう。(暫く開発はお預けじゃな)」

こうして一同は朝食を済ませた。



出発直前。

「皆、準備はいいね?」

最高責任者が一同に声をかけると同時にシャードゥー家自家用バスは発車した。

「…今回はおっちゃんも乗れたお…」

バスに乗り込む直前、シャドーはまた例の如く変態に乗車拒否を出そうとしたが、生徒の過半数より二回目は可哀想(面白くない)と止められた為、渋々承諾した。

合宿所から首里城までは片道1時間半とかなり時間を要する為、一同は談話や睡眠に励んでいた。

「…ったく…朝飯の時は酷い目にあったぜ…」

「梨田君…災難だったね。」

「あぁ…そだね…」

七割くらい貴女のせいだ、という責任転嫁を抑えて谷津冶は窓にもたれ掛かった。

「名似何ー。トランプしようぜ!」

「遠慮しておく。景色が見たいんだ。」

隆次が一つ前の席の名似何に声をかけた。因みに、名似何の隣には眠った小康が座っている。名似何曰く、静かな人の隣に座りたい気分だそうだ。

「むぅ…ツマンネ」

「でしたら私とスピードでもやりませんこと?」

そしていつも名似何が座っているはずの隆次の隣にはシャドーが座っていた。

「………何でお前ここなんだ?」

「ここに座れば丁度横一列でライトニングシャドー(以下略)がそろうからですわ」

隆次が右列窓側に座り、そこから左へシャドー、小鷹、そして左列窓側に蒲生と並んでいた。

「うむうむ!ライトニングシャドーゴッドホークスの絆をしっかり覚えていたシャドーには2ポイントあげよう!」

「光栄ですわ!」

「何に使うんだよ…」

「それより俺はいつになったら解放されるんだ…?」

小鷹が単語帳に目を落としながら呟いた。

「それでは、スピードやりますわよ!」

「ここでかよ…狭いし揺れるし…やりづらくない?」

「では…七並べ?」

「もっとやりづれぇ!」

「…2人とも仲がいいんだお…」

ドゥーンが隆次達の左斜め前の席から顔を出して茶化した。

「「黙れ変態。車から落とされて頭叩き割られたいか、頭叩き割られてから車から落とされたいか?」」

「ひ…ひぃ……」

「2人とも仲がいいですねぇー。」

と、左斜め後ろから女王 瑠美子が声をかけて来た。

「うるさい。お前は谷津冶と昨日の風呂場の話でもしてろ。」

「リュージ…よくそんな毅然とした態度でいられますわね…」

「…実は毅然としてるのは口だけなんだがな…」

隆次が冷汗をかきながら軽くカミングアウトしていると瑠美子が

「あぁ!思い出しました!梨田君、昨日風呂場で彼女に何をしたんですか?」

「だから何もないですって!柳垣も言ってやってくれ!」

「うん。それはもう…すっごく大胆に、激しく…くっついたり…突っ込んだり…頭がぼっーとするくらい…」

「ちょっ!何だその誤解を招く言い方は!?しかも最初からぼっーとしてたじゃないか!」

「なななな梨田君!一体彼女に何をしたんですか!?」

「ってか…完璧に犯罪だよね。」

話を聞いていた戸舘 美毅も追い打ちをかけた。

「いや!違うんです!誤解です!」

谷津冶が精一杯反論するも女王二人は聞く耳を持たない。

「…私の別荘で何て破廉恥なことを…」

「…柳垣、あいつワザと言ってるな。」

谷津冶達の一つ前の席で隆次とシャドーが呟いた。

「隆次!蒲生!頼む!何か言ってやってくれ!」

「白状しな。リア充。」

「アレストされちゃいなよ!YOU!」

「うぉおおおおい!!」

「……まぁ実の所、私が酔っ払ってどさくさに紛れて全裸で乱入しただけなんだけどね…」

そうこうしている内に柳垣がさりげなく白状した。

「何だ…それだけかー。」

「知り合いを警察に突き出す事にならなくて良かったですー。」

そう言って女王二人は大人しく戻った。

「………」

「諦めろ。どう足掻いてもお前はそういう扱いなんだ。」

「ちっくしょー!!………」

谷津冶は俯き、己の情けなさを呪った。

「………さて、リュージ?ジジ抜きでもやりますわよ。」

「…ジジ抜きは大抵カードが紛失する等のトラブルが起こるから嫌だ。」

「…じゃあ、ブラックジャックは?」

「………それいいね。誰かにディーラーを頼もう。高上以外で。」

「何で私だけ除外するんですか!?」

そうしてバスは首里城へ向かって行った。


 沖縄編、二日目に入りました!まずは首里城に向かう事になったTHE STEGOの一行

 彼らがどのような物を見てどのように感じるのか楽しんでいただければいいですね♪

 それでは、今日はこれで!

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