第十五日[ボーイズアンドガール]
梨「隆次って意外とうぶなんだな」
矢「素直なのはいい事だね」
雷「……これ以上俺をイジらないでくれ」
谷津冶達が沖縄に到着する少し前。
一同は一足早く沖縄へ到着していた。
「久々の飛行機だったぜ。」
「隆次のトランプが大助かりだったね。」
「はーはっはっはっ!ここが沖縄か!魔を喰らう獅子達が俺を待っている!!早く行かねば!」
「うるせぇよ…寝起きなんだからもっと静かに喋ろよ…」
「…酔った…」
現最高責任者やドゥーンに引き連れられ隆次、名似何、蒲生、小鷹、小康、美毅、瑠美子、高上、涅月、シャドーの10人が那覇空港に到着した。
「シルヴィーさん、迎えの車とかはあるの?」
現最高責任者がシャドーに声をかけた。
「勿論ですわ。あと…20分くらいで来るみたいですわね。」
「20分!?長ぇ…」「今電話したばかりですもの…」
「じゃあ、お土産でも買いませんか?」
「…まだ早いと思う。」
「おきなわぁー!!」
「おきなわです〜!」
「あ、2人とも待つんだお!この後、レクリエーションがあるんだお。」
「レクリエーション?普通に観光した方がいいって絶対!」
「いや、でも…」
「そうですよ!私は2人で観光したいです!というわけでまた晩御飯に会いましょう。」
「ちょっ!まっ!…はぁ…」
流石のドゥーンも女王2人の唯我独尊を止める事は出来なかった。
「…あの女王2人は放置しておこう…ところで、小康はどこいったんだ?」
隆次は名似何に尋ねた。
「小康?さぁ…どっかその辺で寝てるんじゃない?」
「まさかそんな訳……。」
…隆次が見た先に、設置型灰皿の上で座って寝ている小康がいた。
「あいつ…ああまでして寝たいのか…?」
「ここは暖かいですからね…」
「あのまま放置してもいいくらいだな…」
「タバコの匂いが暫く取れなさそうだね。」
隆次、高上、涅月、名似何がただでさえ暖かい気温の中で生温かい視線を投げかけた。
それから各自暫く談話していると
「あ、来ましたわ!」
「シャドーの迎えか!?」
「…ハハハ…やっとこの灼熱地獄から逃れる事が出来るのか!?」
「元気ねぇな〜蒲生…」
「クーラー効いてますか!?」
「勿論ですわ。狭くて申し訳ないのですが…」
すると、一台の観光バスがシャドー達の前に止まった。
「……シルヴィーさん。」
「はい?何です?」
「まさか…これが迎えなのかお?」
「黙りなさい変態DQN歩行物体。私に声を掛けようなんておこがましいにも程がありますわ。」
「何でそんなに言われなきゃならないんだお!?相変わらずムカつくボンボンなんだお!」
ドゥーンは珍しく怒りの色を表した。
「誰もが認めるこのDQN野郎は放って置いて、この観光バスは自家用車なのか?」
「ええ。お母様が一台あると便利だって言って買ってきたものですわ。」
「買えるもんなんだな…。」
一同(1人イギリス人を除く)がシャードゥー家の経済力に呆気に取られる中、現最高責任者を筆頭にシャードゥー家自家用バスに乗り込んだ。
そして一同(1人イギリス人を除く)が乗り終わった。
「…ちょっと待つんだお。何でおっちゃんだけ乗れないんだお?」
「汚れた物を自分のバスに乗せるわけがないでしょう?」
「誰が汚物だお!ってちょっと!勝手に発車するんじゃないお!リュージ!何か言ってやるんだお!」
「面白いから放置。」
「嘘おおおおぉぉぉぉ……」
こうしてTHE STEGO夏期特別合宿地へとバスは向かった。1人のイギリス人を残して…。
バス車内にて
「それじゃ、レクリエーションの内容を今から言います。まず2人1組になって、敷地内に隠されているチェックポイント4つを見つけて置いてあるスタンプを押して行く…所謂スタンプラリーだね。」
現最高(以下省略)がルール説明をしていた。
「はい!何か賞品とかあるんですか?」
「大丈夫蒲生君。心配しなくてもちゃんとあるよ。」
「マジで!?あのケチ臭い事で有名なTHE STEGOが!?」
「…雷堂君だけ賞品無しにするよ?」
「すんません…」
「分かればよろしい。では改めて…このスタンプラリーを1番早くクリアしたチームには…」
「…チームには?」
「なんと!晩御飯に伊勢海老が付きます!」
「沖縄関係ねぇ!!?」
「…ってのは冗談で、本当は晩御飯に沖縄料理2品が追加されます。何かは内緒です。」
「チラガーとかミミガーとかでしょうか…?」
「チャンプルー系じゃね?」
皆が沖縄料理について話し合っている内に、バスはレクリエーションの舞台へ到着した。
「では各自2人1組になってからスタート!」
現最(ryの声によってレクリエーションが始まった。
「…そういえば私これと言って特に仲が良い方がいませんわね…」
皆がペアを作って行く中、シャドーは1人その光景を見ながら呟いた。
「…リュージかヤチュミ(矢手弓)でも誘って…」
「名似何ー。組もうぜー。」
「ああ、いいよ。」
「ぬぁ!?」
シャドーは誘おうとした瞬間に希望を失った。
「…ホーク(小鷹)はG(蒲生)ともう組んでますし…残るはヤスだけ…」
「小康君、参加しないの?」
「俺は!今!沖縄という新しいステージで眠る事に忙しいんです!というわけでお休み、ぐう…zzz」
シャドーが小康を見た瞬間、小康は眠りについた。
「…。」
またしてもシャドーは誘おうとした瞬間に希望を失った。
「…シルヴィーさん…」
「…リュージとヤチュミと3人でいいですわね?」
「う、うん…」
もっと友達を作っておくべきだったと後悔するシャドーであった。
「まず1つは……海だね。」
「ざっくりだな…」
「ですがプライベートビーチは一つしかありませんわよ。」
「逆に二つ以上あったらすごいと思う。」
名似何、隆次、シャドーの3人はまず1番近くのチェックポイントへ向かっていた。
「確か水着持参だっけ?」
「俺はTシャツも持ってきた。潮風で肌が荒れるからな…」
「海のTシャツといえば海人ですわね。」
「…あれは海人って読むんだよ…」
「取り敢えず、着いたようだね。ってうわ…綺麗な海だね…」
「本当だな…若干緑っぽいな。」
「『お前程ではないがな』って最後に言えば口説き文句ですわね。」
「やっぱりお前の日本語は若干偏ってるな」
「ふふっ、今更ですわ」
「取り敢えず、折角海に来たんだから水着に着替えない?」
「おっけーぽっきー」
「ぽっきーですわ!」
暫くして
「名似何、着替えるの早ぇよ。」
「向こうに自販機があったからね。今から買ってくるけどついでに何か欲しい?」
「何でも」
「ふふふ…その言葉、よ〜く覚えておけよ…?」
それだけ言って名似何は自販機へ向かった。
「…しまったな…」
「海に来て早々何を後悔してるんですの?」
「ああ、実は矢…て…ゅ…」
「?」
隆次が振り向いた先には、真紅のビキニの上に花柄のパレオを巻いたシャドーの姿があった。
「どうです?似合ってますでしょう?」
「…………………….(こくり)」
隆次は赤らめた顔を背けながら無言で頷いた。それを見てシャドーは若干面白がった。
「ところでヤチュミは?」
「…ジュース買いに行った。」
「買って来たよー。」
「早っ!?」
「だって近かったんだ…も…ん?」
「ヤチュミ私の分…ってどうかしました?」
「……誰?」
「そこまで言うか!?」
やっぱり名似何はただ者では無いと思う隆次であった。
「やっぱり一泳ぎした後はスッキリしますわね。」
そして三人は一つ目のチェックポイントを後にし、次へと向かった。
「……。」
「どうしたんだい?隆次。」
「……大きかった。」
「そうか。私はあまり色事には興味が湧かないのでね。」
「…聞こえてますわよ…」
「すすすすすすまん。」
「私は何も悪く無い。それより野菜ジュースが飲みたい。」
「ホント自由だなお前…」
次のチェックポイントを探して森の中を歩いていると
「あ、ハブですわ。」
「「な、なんだってー!!」」
ハブA、ハブBが現れた!
「無論たたかうコマンドですわ!」
「無論にげるコマンドだ!!」
「無論どうぐコマンドで…」
「「何使うんだよ(ですの)!?」」
そうこうしているとハブ2匹は何処かへ行ってしまった。
「怪我もしてないのにエリクサーなんて…ってあら?逃げたようですわね。」
「反魂香は死んでから…ってそうだな。良かった良かった。」
「じゃあ気を取り直して進もう。」
三人が進もうとした瞬間
「おや?雷堂じゃないか?」
「お、蒲生じゃん。ついでにリア充。」
「なんだ雷堂か。そしてシルヴィーも一緒か。」
「おーい。私を忘れるでない。」
「ところで蒲生達はスタンプ幾つ押した?」
「ふふふ…聞いて驚け!」
「見て笑え」
名似何は素早く付け足した。
「我ら閻魔大王様…って何でやねん!…改めて、実はもう3個も押したのだ!ワーハッハッハッハッ!!」蒲生が声高らかに言った。
「マジか!早いな………頂戴?」
「嫌だ。」小鷹が即答した。
「お願いだからさ〜。な?」
小鷹がダメならと思い、隆次は蒲生を見た。
「うーん…じゃあそれに見合う価値の物をくれたらいいよ。」
「おい蒲生!?」
「大丈夫だ。あの雷堂と矢手弓が晩御飯の品2つに敵うような物を簡単に渡す筈がない。」
「それもそうか…」
2人が小声で話していると隆次が
「…本当は使いたくなかったが仕方が無い。手間を大幅に省く為だ。」
と言いながら一枚の写真を裏返して懐から取り出した。
「何だい、それは?」
「実はだな……こいつはシャドーの水着姿の写真だ!」
「「「何ぃ!!?」」」
「つい先程、俺ら3人で海に行ってたんだよ。その時に…な。」
「リュリュリュリュージぃ!!いつの間にそんな物を!!?」
「雷堂お前!色々マズイだろ!」
「ふふふ…(まさかハッタリがここまで効くとは…)」
「雷堂…」
隆次が心の中で驚いていると蒲生がゆっくり隆次の肩を掴んだ。
「スタンプ全部あげるから一枚くれ!!」
そして凄い剣幕で詰め寄った。
「ちょちょっと待て。」
「おう!」
蒲生は無駄にキラキラしていた。
そして隆次はシャドーと名似何に小声で伝えた。
「悪かったなシャドー。今のはハッタリだ。取り敢えず、スタンプの用紙を交換した瞬間に全力で逃げるぞ。」
「ハッタリでしたの…びっくりしましたわ…。撮りたければいつでも言ってくだされば良いのに…。」
「出た。悪党隆次の詐欺術(笑)」
「うるせー。じゃあ行くぞ。」
「待たせたな!じゃあ先にスタンプ用紙を交換してもらおうか。」
「おうとも」そして用紙の交換が……今終わった。
「走れぇええ!!!!」
ピューーーーン…………
そして後には呆気にとられた蒲生と小鷹とその様子を見ていたハブ二匹だけが残っていた。
「意外とうまく行ったね。流石隆次。」
「俺もうまく行くとは思わなかった。」
3個のスタンプが押された用紙をまんまと奪って逃げた3人は森を抜けた先にあるさとうきび畑の近くまでやって来た。
「はぁはぁ……もう少しで我が家の別荘ですわね。」
「ん?そうなのか?じゃあゴールまで後少しだな。」
「隆次。スタンプ4個集めてからシルヴィーの別荘だよ。」
「……あと1個どこだーー!!」
隆次が大きく叫んだ。
「おい!隆次!名似何!」「え?」「何?」
すると、さとうきび畑の中から
「谷津冶!?」
「お前退院したのか!?」
「おう!今じゃピンピンしてるぜ。」
「梨田くん?誰かいるの?って雷堂君に矢手弓君じゃん!シルヴィちゃんまで!」
「あら、マユ!2人きりのビーチはどうでしたの?」
「良かったよ!…途中邪魔が入ったけど。」
「……お前もう一回爆発しろ」
「まだ入院してても良かったかもね」
「…お前ら何て事言うんだ。」
「どうせ柳垣の水着姿でも見て顔真っ赤にして照れてたんだろ!?このリア充め!」
「そそ、そんなわけねぇだろ!」
「…取り敢えず、今のだけ聞きますと貴方もリア充になりますわよ?リュージ。」
「……………しまった……。」
「ん?どういう事だ隆次?詳しく説明してもらおうじゃないか?」
シャドーがにやけながら突っ込み、隆次が顔を青くし、谷津冶が面白そうに詰め寄った。
「…今日の雷堂君は何か変だね。いつもと違うベクトルで。」
「珍しく隆次が谷津冶に責められてるねー。」
「だねー。あ、そうだ。来る途中にハンコみたいなの拾ったんだけど…要る?」
「……要る。」
柳垣からハンコを受け取ると名似何はスタンプ用紙に最後のハンコを押した。
「おーい。先にゴール行ってるよー。」
「お、おい!名似何!助けてくれ!」「待ーてーよ!んん?隆次、何が『しまった』なんだよ?教えろよ!」
「ふふふ…(にやにや)」
名似何は隆次のSOSを無視し、ゴールへと向かった。
「梨田くーん。スタッフの人に到着の報告して来るね。」
「りょーかーい。俺は隆次に日頃のお返しをしてるぜ。」
「離せ谷津冶!シャドー!頼む!助けてくれ!!」
「他人の不幸は蜜の味ですわ!」
こうしてレクリエーションは幕を下ろした。
因みに、残りの2チームも無事に帰って来た。
その夜。
「はぁ…はぁ…走って来たのは良いものの、ここはどこだお?」
1人の変態イギリス人が汗だくになって森を彷徨っていた。
「住所も聞いてなかったから凄く時間がかかってしまったお…っとおおっと!?」
ビタン!!
「痛つつ…こけたお…足場が悪過ぎなんだお…」
転んだ変態が顔を上げたその時
『シャーーーーー!!』
「…ひ、ひぃやぁああああああ!!ハブだおおおおおお!!」
この後、晩飯を食べていた生徒達によって無事保護されました。
シャードゥーさんは意外と大きいんですね…
さて!下世話な話はここまでにして、沖縄編はどんどん面白い展開になってきました♪書く側としてはこのキャラのこんな一面を書いてみたい、など生意気にも色々考えておりますのでお楽しみに
それでは!さよなら、さよなら、さよなら




