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第十四話[サンサン太陽サマータイム!]

雷「夏だ!」

梨「海だ!」

矢「野菜ジュースだぁ〜!」

雷・梨「違うだろ!?」

 夏真っ盛り

 感動を覚えてしまうほど強い陽射しが照り付け地上のコンクリートが熱を帯びる中THE STEGOではいつもの面子隆次、名似何、戸館、高上の計四人がラウンジのテーブルに腰掛けていた



 「………暑い」

 そう呟いた隆次が少し離れたエアコンの操作パネルを恨めしく見つめるが画面上には何も浮き出てはいなかった

 「諦めよう隆次。エアコンが壊れてしまってはどうしようもないさ」

 隣の席に腰掛けている名似何は涼しげな顔で野菜ジュースを味わっている

 「でもよぉ……」

 納得しきれず再び食い下がろうとしたが

 「あぁもうやだ!アイス食ーべーたーいー!」

 それを遮るように別のテーブルに座る戸館がいつものように騒ぎ始めた

 「ねー雷堂!アイス買ってきてよー!」

 どうやら女王の本日の標的は隆次になったようだ

 「何で俺なんだよ……」

 「はーやーくー!」

 「だが断る!第一何故俺がお前に奢らなければいけないのか理由を述べろ」

 「私が食べたいから」

 (どんだけジャイアニストなんだよ)

 一同が心の中でつぶやいている所で現最高責任者が現れ嬉しそうに口火を切った

 「皆さん、朗報です」

 「クーラーが直ったんですか!」

 高上がそう聞くと今まで暑さでだらけていた人間達が一斉に目を光らせたが、返ってきたのはまた違う答えだった

 「明日から、夏合宿を行います!」

 「「「「はぁ!?」」」」

 四人が息を呑む中現最高責任者はまるでこれから起こる事を分かっているように笑みをこぼしていた





翌日、谷津冶が入院している病院ではエボンの奇妙な笑い声が響いていた

 「フルッフー!少年よ、ついにお主と別れの時が来てしまったな」

 「俺はこれから安心して眠れる夜が過ごせるようになるから一安心だ」

 「それにしても五日で骨折が治るなど聞いた事がないがのう」

 「体だけは丈夫なんだよ」

 「それは丈夫と済ませて良いのか分からぬのう。やはりどうだろう?我が実験に」

 「協力する訳ないやろが!命がいくつ有っても足りへんわ!」

 いつもの漫才のようなやり取りを交わしていると、突然病室に朝倉が駆け込んできた

 「梨田君、そろそろ時間よ」

 「はい。分かりました」

 荷物を背負い出ていこうとした谷津冶はエボンの前に立ち、向かい合う

 「じゃあな、エボン。」

 「フルッフー!出来れば再びまたスグに合間見えたいがのう」

 「勘弁してくれよ……」

 エボンの高らかな笑い声を背中に受けながらガックリ肩を落とし谷津冶は病室を後にした

・・・・・・・・・・・・ 「それでは、お大事に」

 「お世話になりました」

 「もう問題を起こさないようにね」

 「……肝に命じておきます」

 受付で朝倉達に挨拶をしまし出口に向かうと

 「遅ーい!いつまで待たせるんですか!」

 「……柳垣。どうしてここに?」

 外では大きな荷物を持った柳垣が待ち構えていた

 「はい!これ持って」

 「……この鞄は何だ?」

 柳垣から手渡されたのは大きなボストンバッグ。開いてみると中には衣類などの生活用品や勉強教材が入れられていた

 「梨田君の荷物だよ。それとこれも持って」

 次に手渡されたのは派手な色合いのキャリーバッグ肩に背負うとなかなかの重さだ


 「……めちゃくちゃ重いな。」

 そう言いつつも全く辛そうな顔をしていない丈夫男(谷津冶)を見る柳垣は何やら楽しそうな様子だ

 「乙女にはいろいろ必要な物があるからね」

 「今更乙女って……」

 「何か文句が?」

 「いえ、何も」

 蛇(真夕)に睨まれビビったチキン(谷津冶)は冷や汗をかいている最中ふとある事に気づいた

 「つーか、これって旅行に使う奴だよな。お前これからどこかに行くのか?」

 「ウ〜ン、半分正解かな。だって旅行に行くのは私ではなく、私達だもの」

 「はぁ?お前何言ってんだ?」

 「とーにーかーく!話は後でゆっくりと話すから今は私について来て!」

 そう言って柳垣はずんずんと歩き出し、襟を掴まれ逃げようがない谷津冶は引きずられていく事となった






 「ここどこだよ…」

 理由も分からず車に乗せられ海に連れて来られた谷津冶は渡された水着に着替え誰もいない砂浜で寝転んでいた

 「お待たせ〜どう、似合う?」

 水着姿の柳垣はその場で一回転してポーズをとる

 「は、はあ?馬鹿じゃねーの!」

 そう言いつつも凝視はしているのはどこのどいつだ

 「ところで、いつになったら説明してくれるんだ?」

 恥ずかしさを紛らわすために話を切り替えると

 「ウ〜ンあと二時間したらかな」

 「…帰らせてくれ」

 「もー、いちいち文句が多い。細かい事ばっかり気にしてるといつが誰かにヘッドショットされるかもしれないよ」

 「……………」

 「も〜う、分かった。ちゃんと説明する」

 「ありがとう。早速だが、ここはどこなんだ?」

 何か手かがりがないか周りを見ても見渡す限り砂浜しかない




 説明中




 説明が終わる頃には谷津冶は柳垣と共に座っていた

 「成る程、クーラーが壊れたから暑さから逃げるために避暑地で夏合宿をしようという話になりどこに行こうか話していたら、偶然シャドーが沖縄に別荘を持ってたから数日間お世話になる事になったのか」

 「解説乙」

 「しかもレクリエーションの実験の一環として参加者を二人一組に分け宿泊地に向かわせる方針になった。他のペアは?」

 「確か、雷堂と矢手弓のペアと、蒲生と小鷹のペアと、涅月と高上のペアの三つだったよ」

 「あの女王様達は?どうかしたのか?」

 「レクリエーションなんかどうでもいいから観光したいって言って町並みを見に行ったよ」

 「どんだけ唯我独尊なんだよ……って、は何だあれ?」

 「ヘイヘイヘイ!なんだよにーちゃん達カップルできゃきゃきゃうふふ楽しそうじゃねーか。俺らも交ぜちゃってくれよ」

 あからさまなヤンキー集団登場

 「こういう人達って案外どこにでもいるんだな」

 「まあそれを呼び寄せる梨田君もある意味凄いけどね」

 怒らせないように小声で話していたらヤンキー集団のリーダー格が絡んできた

 「おいおいなんだよ〜カップルでストロベリートークですかぁ〜?ストロベリっちゃってるんですかぁ〜あ゛ぁん!」

 言い掛かりが言い掛かりなだけにもはや苦笑しか込み上げてこない

 「よし、じゃあ俺らは失礼させてもらうとするか」

 「そうだね」

 揉め事無しで穏便に済ませるためにその場を立ち去ろうとしたが

 「おいぃ!ちょ待てやゴラァ!男はともかく女は残ってい〜ぜぇ〜」

 集団から変な奴が一人現れ柳垣の腕を掴んだ

 一般の女性ならここで悲鳴を上げる、はずなのだが生憎彼女は一般に当てはまらなかった

 「うわ、キモ!」

 ドスン!

 清々しいほどのジャーマンツープレックスが炸裂!

 柳垣に投げ飛ばされ妙な効果音を上げたまま男は後ろ向きに倒れ込む

 「お〜い、大丈夫っすか?」

 谷津冶が駆け寄ると

 「………………」

 返事がない、ただの屍のようだ

 「お前って実は俺なんかより喧嘩強いんじゃね?」

 聞かれた途端柳垣はわざとらしさ百パーセントのひ弱さアピールを始めた

 「えー?そんな訳ないじゃなーい。私、凄い怖かったんだよ」

 「ちょっ!?お前そんな格好でくっつくなって!」

 「え〜いいじゃん別に〜」

 「いいわけないやろが!?」

 とんだいちゃつきっぷりを始める二人を目の当たりにし自分達が眼中にない事にいきり立っていた

 「っぜーんだよ!」

 突然リーダー格の男が谷津冶を殴りとばす

 「イッテー」

 (このまま穏便に済ませるには黙って殴られるしかないかな)

 砂の上に倒れこんだ谷津冶は実は痛くも痒くもないがポージングで痛がるふりをしながら抵抗を諦めた

 すると何を思い立ったのか、リーダー格の男は谷津冶ではなく柳垣の方へと向かった

 「なあ〜姉ちゃん。あんな弱っちぃヤンキー野郎なんかじゃなくて俺らと遊ぼうぜぇ〜」

 ブチ!

 血管がちぎれる音が響く

 「おい」

 「あ゛ぁん!何やゴラァ!」

 ガッ!

 無言のまま谷津冶はリーダー格の男の胸倉を掴み上げる

 「ん、んだよぉ!お前文句あんのかよ〜」

 怯えながらも必死に虚勢を保つリーダー格の声は震えていた

 「……………だ」

 「あ?今なんつった?」 

 「俺はヤンキーじゃねぇ!パンピーだっつったんだよこの馬鹿野郎が!」

 「ごふう!」

 溝内に見事なストレートがジャストミートしリーダー格の男は十メートル先までフライアウェイしていき、慌ててナンバーツーらしき男が駆け寄った

 「リーダー!大丈夫っすか!……よくもやりやがったな!アンタ達、やっちまいな!」

 妙にオカマ臭い掛け声と共に一斉に周囲にいたヤンキー達が飛び掛かるが、谷津冶は

 「よし、逃げるぞ柳垣!」

 「えっ!?ちょっと待ってよ!」

 柳垣の手を取り引っ張るように逃げ出していた

 流石に逃げ出すとまで思っていなかったヤンキー達はほんの少しおののき追いかけようか迷っていると

 「フルッフー!人のプライベートビーチで何をしておるのだ、小僧共?」

 聞き覚えのある話し方だ

 「あ゛ぁん!んだよ、ジーサン。アンタの相手してる時間ねーんだけど!」

 呼び止められヤンキー達は声の主を取り囲むが本人は全く落ち着き払っている

 「あやつに協力させようかと考えておったのだが、ちょうど良い。お主らには実験に協力してもらおうとするかのう」


 老人が意味深な笑みをすると共にヤンキー達は激しく自分達の行動を後悔する事となった






 その数分後プライベートビーチにて起きた大規模な爆発により、大量の怪我人が病院に送られた。

 彼らの証言と事件当時の現場での目撃情報から肌が黒い少年が不良をフルボッコにしたとされ、彼自身が気付かぬ内にの悪名が沖縄中を騒がせたのは言うまでもない

 沖縄編、始めさせていただきました!

 今回の話では谷津冶と真夕しか出しませんでしたが次回はきっと別の登場人物も出てきてくれると思いますのでそこに注目していただければ嬉しいです♪

 それでは、また未来で!

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