第十三日[謎多かりし答え合わせ]
矢「突然ですがクイズです。」
雷「何だよ急に…」
矢「体が丸くて全身黄色のものってなーんだ?」
雷「ぴっぴかちゅう!」
どこかの道で、陸は偶然真夕に出会った。
「…そういうことか」
陸はその時、全てを理解して、つまらなそうな表情をした。
「事実とはあなたの期待によって質が変わるものではないのよ」
真夕はゆったりと微笑んだ。
「分かってるけどよー」
「まゆちゃんこのひとだれ?」
真夕の隣の少女は真夕に目を向けた。
「私の友達よ」
真夕は微笑んだ。
そして次に、陸を見ながら少女を手で示した。
「私の従姉妹の、白知 眞看よ」
「こんにちはー」
「こ、こんにちは」
「…今あなたが思っていることが、正解よ」
真夕は微笑んだ。
「…そうか、大変だったな」
陸は眞看を見た。
「たいへんだったよぅ」
「…で、色々と気になるんだが…」
「…おかしいと思わねぇか?」
隆次はその場にいた名似何、真夕、彦九郎を見回して言った。
「思わないねー。私は結構色々と妥協するんで」
「ふふふ…色々と考えてるようね」
「うむ。確かに気になるなぁ」
「…お前らなんのことか分かってんのか?」
「知らんな」
「さぁ」
「少女の霊と目玉の話だろ?」
「おぉ蒲生!分かってくれたか!」
隆次は目を輝かせて彦九郎の方を向いた。
「いや雷堂が俺達を見てそう言うってことは怪奇現象のことじゃないかなぁって」
彦九郎は誇るでもなく、あっさりと言った。
「流石蒲生!すたぁおぶちゅーに!」
「よせよ照れるだろ」
「ガス流石」
名似何は呟いた。
「にしてもお前もやっぱ気になったかのか」
「あぁ。隠れる為の場所だろ?」
「え?」
「違うのか?」
「いや俺はテープレコーダーのことを…」
「あぁそっちか。目撃者はまず最初に辺りを見回した。その時に音声機器があれば気づく筈だし、それでも気づかないならどっかに隠れていたんだろう。でもだとしたら、そういう声だったと目撃者が言う筈だ」
「そ、そうだ」
「だけどこの話すると面倒なんだよな…」
「どういうことだ?」
「現代の音声機器の発展を考えるとかなり小型に出来るかもしれないし、出来ないかもしれない」
「偶然見つかってないだけの可能性が結構あるってことか…」
「それで俺が思ったのが隠れ場所なんだ」
「隠れ場所?」
あぁ。と彦九郎は答えてから続けた。
「ではこれからは、主犯のことを仮にΥと呼ぶことにしよう」
「Υ…あぁ、ギリシャ語ね。Xとかじゃ駄目だったのか?」
「Xも悪くはないが普通すぎる」
「じゃあなんでΥ?」
「字数が多いからだ」
「…」
「…で、確実に言えることは、Υはほぼ確実にその場の近くにいたということだ」
彦九郎は、話を元に戻した。
「どうしてだ?」
「そうでないと、音声機器を止められないからな」
「止める…?」
「あぁ。トイレに行く人は1日1人はいるだろうと思い、音声機器をリピートして同じ声を繰り返した可能性は考えた。だけどもしそうだったら、目撃者はその声が続いていることをみんなに言う筈だろ?言わないってことは、誰かがその音声機器を止めたってことだ」
「おぉー」
「確かに音声機器を止めるメリットはある。あまり長く聞かせると、音の質に違和感を覚えられかねないからな」
「成る程そこまで考えたのか」
「だけど問題がある。Υは、どこに隠れたんだ?」
「倉庫の中の影にいたんじゃねぇの?」
「そうだろう。それが最善だからね。でもだとしたら、音声機器はどこにあるんだ?」
「一緒に持ってたんじゃねぇの?」
「だったら音声機器の声がそれ相応のものになる。そうなれば目撃者だってまず倉庫の中の影から探すだろうし、そういう声だったと言うだろう」
「…じゃあ、目撃者がトイレに行ってる間に」
「今回は女性だったからよかったものの、もし目撃者が男性だったら時間がきつくないかな?影からよっこらせと出て音声機器を止めてよっこらせと影に戻って周りをざっと整える。結構大変だと思うよ」
「努力はお前を裏切らない!」
「じゃあもしトイレに行こうとした人が、好奇心か正義感にかられて、すぐに倉庫に入ったら?」
「…」
「この計画に失敗は許されない。一度タネを知られると、次にこういったことで怖がらせにくくなるからな」
「…じゃあ、実際はどういうことが起きたんだ?」
「さぁ?」
「なんだよ知らないのかよ」
隆次は拍子抜けしたように言った。
「…お前らはなんか案無いか?」
隆次は名似何と真夕を見た。
「あ、ごめん。片手間にしか聞いてなかった」
「…ふふふ」
真夕は含み笑いをした。
「どうしたんだ柳垣?」
「…蒲生さん、なかなか素晴らしいわね」
「あ、はい。有り難う」
「…でもあまり、深く考えない方がいいわよ」
「お前知ってんのかよ答え?」
隆次は驚いたように真夕を見た。
「えぇ」
真夕は微笑むとゆったりと頷いた。
「但し、内緒だけど」
「なんでだよ」
「そっちの方が、面白いじゃない」
「お前の顔の方が面白いわ!」
隆次は真夕の顔を指差した。
「仕方無いじゃない」
真夕は悠然と微笑んだ。
「みんなが綺麗だと言ってくれる顔になれるっていう洗顔クリームを塗ったらこうなってしまったの。業者に問い合わせても、『その生涯を全うして死んだ人の顔を見てなんて言うか分かるでしょう?』としか言わないし」
「で、老衰で死んだ婆さんみたいな顔になったってことか」
隆次の確認に真夕は微笑んで頷いた。
「いや、マジで教えてくんねぇの?」
「えぇ」
「マジ?」
「えぇ」
「教えろよー」
「嫌よ」
「実は知んねぇだろ」
「そう思いたいならご勝手に」
「やーい、柳垣がしったかしてるー」
「そう。それはよかったわね」
「…」
「…」
「…すいません」
「失礼を受けた覚えはありません」
真夕はにっこりと微笑んむと、立ち上がった。
「…では、あなた達に2つヒントを」
真夕は人差し指だけを伸ばした。
「1つじゃん!」
「まず1つ目、」
真夕は隆次のツッコミを無視して人差し指を戻して親指を伸ばした。
「救世主」
「厨二乙!」
真夕は即反応した。
「端的に纏めたら、そうなってしまうのは仕方無いことよ」
「そうなのか?」
「2つ目…」
真夕はそこで固まった。
「お前かんが…」
「思いついたわ」
真夕は隆次のツッコミを遮った。
「…」
なんともいえない表情をしている隆次を然程気に留めていなさそうに、真夕は名似何を見た。
「…矢手弓 名似何、あなたが2つ目のヒントよ」
真夕はそう言って名似何に微笑みかけると、踵を返して歩いていった。
「…矢手弓?」
隆次は不思議そうに名似何を見た。
「念の為言っとくけど私知らないよ?」
「あぁ、分かってる。お前がヒントってことは…」
隆次はそこでフッと笑った。
「キチガイがヒントってことか?」
「だったら私個人を指名したりなんかしないよ」
名似何はそれだけ言うと机の上に載せられた、普通に使えば勉強という行動が出来る紙の束に目を落とした。
「みんなみんなキチガイだもんな」
隆次はニヤリと笑った。
「おはようみんな!」
笑顔でラウンジに入ってきたのは深宮だ。
「おはようってお前まさか自習室で寝てたのか?」
真っ先に反応したのは隆次だ。
「いくら俺でもそんな失礼なことはしないぞ」
深宮は少しむっとしたように言った。
「自習室は自習をする所だ。ラウンジと違って純粋に勉強に特化されてる場所なんだぞ」
「え、えっと…なんか、すまん。で、どこにいたんだ?」
「7階と8回の間の階段だ」
「なんでそんな酔い潰れたおっさんみたいな感じになってんだよ」
説明しておくと、THE STEGOはビルの7階と8階にある。
8階がメインで、7階の一部を自習室として確保しているのだ。
「あぁ、酔い潰れたおっさんか。だが飲酒欲は一時的欲求じゃないしな…」
「そういう問題か?」
「当然だ」
「…」
「…で、何の話をしてたんだ?」
深宮は話を元に戻した。
「矢手弓って言ったら何だって話」
「うんまずその前から話そーか」
「矢手弓…」
深宮は考え込むように下を向いた。
「ご機嫌よう」
「出たなジャキラ!」
シルヴィーが受付に現れた。
「…それで、何の話をされていたの?」
「矢手弓と言ったら何だろうなっていう…」
「だからその前段階を話そうか」
「私、この人のことを殆ど知りませんわ」
「だよなー」
「だから私に頼ったら負けですわ」
「ですわって聞くとあれを思い出す」
名似何は小さな声で呟いた。
「ん?」
隆次が聞き咎めた。
「あ、いや、何でも…」
「なんかこいつシャドーの口調でなんか思い出したらしいぞ」
隆次がばら蒔いた。
「ほう。ですが、それだけでは色々と考えられますわね」
「やめた方がいーよ」
「…矢手弓の趣味が何なのか分かります?」
シルヴィーは名似何を指差して隆次と深宮を見た。
「…ポケモンだな。しかも相当」
「…成る程」
シルヴィーは口元に笑みをつくった。
そして、名似何をビシッと指差した。
「マンダは初手竜舞や」
「…あ、ごめん、その発想は無かった」
「違いますの?」
「うん違う」
「となると…」
「諦めた方がいいよ」
名似何は淡々と言った。
「ヒントが足りなさすぎる。それに出題者はなんとなく答えを見つけて欲しくないから、ヒントなんか言わないし」
「なんで言いたくないんだよ?」
雷堂は尋ねた。
「私は無駄に秘密主義だからね。」
「…確かに、初等少女漫画やラノベには少なからず存在しますわ」
「っぽそうだよね」
「…そうね、宿題にさせて頂きますわ」
…
沈黙
「え終わり!?」
隆次が叫んだ。
「終わりですわ」
シルヴィーは頷いた。
「終わりかよ!」
「…それで私達は何を話していましたの?」
「…いやあれだろあれ。知ってるぞ?…で、何だっけ小康?」
隆次が深宮を見ると、深宮は当然というか眠っていた。
「馬鹿ぁ…」
深宮は嬉しそうに顔をほころばせた。
「…寝言か?」
隆次は尋ねるが、誰も答えられない。
「もぅ寝れねぇよぅ…」
なんともいえない気分になった一同だった。
えー、前書き部分では少しおふざけが過ぎました
さて、私事ですが夏が終わりまた新しい秋がやってきますね!楽しみに思う方もいればまだ終わって欲しくないと思う方もいると思います。まあ自分はぶっちゃけ後者の立場で、沢山外で遊べるこの季節が終わるのは少々心残りを感じています。
それでは、またお会いしましょう!




