第十二日[夢見る僕らのやれやれな祝日]
梨「最近俺って満身創痍だよな」
矢「諦めれ」
雷「リア充ざまあ!」
倉庫での謎の爆発事件の次の朝。
谷津冶は厳重に拘束されていた。
「看護師さん…これツライっす。」
「あれほど注意したのにまた騒ぎを起こした罰です!」
「だからってこれは酷くないっすか!?縁起でもねぇし…」
谷津冶は、厳重にロックされ穴が数カ所開けられた棺桶から顔と骨折した右腕だけを出して抗議した。
…体に包帯を纏いながら。
「わぁ、すごーい!本当にミイラ男みたいだね!」
見舞いに来ていた柳垣が目を光らせて谷津冶の顔をつついた。
「あ、あの、痛いっす。やめてください…」
「やだ」
こうなると何も言い返せない谷津冶であった。
「とりあえず、谷津冶以外は全員異常は無かったから良かったものの……おい、そこのエセ科学者。」
名似何、小鷹、柳垣と共に見舞いに来た隆次が怒りの念を込めながら、隣のベッドで寝たふりをしているエボンを見た。
「……」
へんじがない。ただのしかばねのようだ。
「本当に屍にしてやろうぜ…」
「いい考えだな…」
隆次と小鷹は近くにあった元谷津冶のベッドを天高く持ち上げた。
「待て待て待て待つのじゃ少年達!!君らを巻き込んだのは悪かったと思っておる!私も悪ふざけのつもりだったのにまさかこうなるとは思っていなかったのじゃ………嘘じゃがの」
「「「嘘かい!!」」」
谷津冶、隆次、小鷹が同時に叫び
「病院では静かにっつっとるがやーーーーー!!!」
「すみません…」
「すんません…」
「サーセン…」
三人が謝った。
それから暫くして、一同が談笑したり谷津冶の顔をつついたりしていると扉が勢いよく開いた。
「爺!見舞いに来てやりましたわよ!感謝なさい!」
数秒の沈黙の後エボンが
「おぉ…態々お前さんが来るとはのう…シルヴィー…」
「お母様に買い物のついでで頼まれただけですわ」
エボンの知り合いらしき少女は本当に渋々寄ったというような顔をしていた。
「何?エボンの知り合いか?」
谷津冶が聞いた。
「うむ。仕方が無いから紹介してやろう。彼女は…」
「シルヴィー・シャードゥーですわ。コレの兄の孫で、フランスから引越して来ましたわ。よろしくですわ。」
「矢手弓 名似何です。よろしく」
「私は柳垣 真夕!よろしく!」
「エボンの親戚には見えねぇな…小鷹 陸です。よろしく。」
「梨田 谷津冶だ。よろしく。…つかエボン親戚居たんだな。」
「すまん。自己紹介の前に一つ聞いていいか?」
各々が自己紹介を済ませた中、隆次が一人だけ質問した。
「…その口調はわざとなのか?」
「初対面で失礼だろ、雷堂。」
「半分は素で半分はわざとですわ」
「何で態々…?」
「だから失礼だって。」
「キャラが固定され易いからですわ。」
「「ぇえー……」」
オチのない尋問タイム終了。
「とりあえず、雷堂 隆次。よろしく。」
「雷堂…?確かどこかで…………十四代目?」
「それ以上言うな。」
「シルヴィーさんはどうして日本に来たの?」
柳垣は興味津々に聞いた。今一同はシルヴィーと、サボりにやって来た朝倉を加えて谷津冶とエボンの間の椅子に座る形で話し合っている。
「お父様が日本に進出するとのことだったので、いっそ家族皆で日本に引っ越そうってなったのですわ。」
「へえー。何でわざわざ家族皆で?」
朝倉もまた興味津々に聞いた。
「生の魚や卵が食べれるとか水道水が飲めるとお母様が聞いて行きたくなったそうですわ。」
「日本人は、こういう当たり前に見える事にありがたみを持たなきゃな…。」
隆次がしみじみ呟いた。
「しかし、日本語上手いねー。」
朝倉が感心して言った。
「昔から日本は好きな国だったので…。他にも話せる言語はありますわ。」
「例えば?」
「えー…フランス語、英語、日本語、ポルトガル語、スペイン語、イタリア語、オランダ語、アゼルバイジャン語の八つですわ。」
「最後何!?アゼルバイジャン語って何!?」
柳垣が元気良くツッコんだ。
「アゼルバイジャンの言語ですわ。」
「じゃなくて、何でアゼルバイジャン?」
「一つくらいはマイナーな言語を習得したかっただけですわ。」
「それだけ?」
「それだけですわ」
「…あ、梨田君寝てる。」
「オチに困って谷津冶に逃げたか…。」
隆次は鋭い指摘をした。
柳垣の視線の先では谷津冶が棺桶の中で眠っていた。
「お、いい事思いついた。」
「じゃあ、俺そろそろ帰るわ」
小鷹が席を立ち荷物を纏め出した。
「待てよ小鷹。今から面白い事するんだから。」
「…お前の面白い事は全部ロクでもない事だろ…?」
呼び止めた隆次に小鷹は答えた。
「まぁ見てなって。」
そう言うと同時に隆次は何時の間にか買って来た牛乳パックにストローを刺し…谷津冶の鼻に思いっきり牛乳を注入した。
「ブッ!!ゴッ!ガッ!ゴッホッ!!ゲッホッ!!ゲッホゴホッ!!」
剥き出しの顔面を使った隆次の悪戯に谷津冶は言葉を発する暇なく何度もむせた。とりあえず全員谷津冶から離れていた為、吹き出した牛乳がかかることは無かった。
「ぉ…ぉい!…りゅ…りゅぅゴッホッ!!…何しやがる…。」
「あはっ!はははは!梨田君!鼻から!牛乳!はははは!!」
「ははっ!谷津冶が白い鼻血出してるww」
「ホント、お前らくだらない事ばかりしてるな。面白いけど。」
「少年、吹き出すならもっと優雅に吹き出すのじゃ」
柳垣に続き名似何、小鷹、エボンが谷津冶の惨状を見て笑った。
「ふん!どや!!」
隆次は華麗にどや顔を決めた。
「お前…ゴホッ…いつか覚えてろ…」
谷津冶が恨みがましい目を向けて言った。
「あーあ…先輩が探しに来る前に拭かなくちゃ…」
散々笑った後、朝倉は掃除用具を取りに行った。
「貴方…意外とセンスのある遊びをしますわね。」
「他人の不幸は蜜の味だぜ!」
「深く賛同しますわ。」
…また一つこの世界にロクでもない絆が生まれた。
次の日。小鷹がTHE STEGOに来ると、蒲生と隆次がラウンジで座っていた。
「よくぞ来たな、ホーク!!」
「まだ続けんのかよ…それ。」
「何を言っている!ライトニングゴッドホークスは永遠に不滅だ!エターナルインペリシャブルチームだ!」
「今日の蒲生は痛さ全開だな…」
「…どうしたんだ?一体。」
小鷹が困惑している時、聞き覚えのある声が響いた。
「THE STEGOというのは…ここでよろしかったんですわよね?」
「ええそうです。もしかして貴方が新しく入るシルヴィーさん?」
現最高責任者が笑顔で迎えた。
「嘘!シルヴィーだ…」
「お!シャドーじゃん!」
二人よ声が響いた途端、シルヴィーは素早く反応した。
「あら、御二方ともご機嫌よう!こんな所で会うとは珍しいこともある物ですわね。」
「実は他の奴らもここに入ってるぞ。」
「え?誰?二人とも知り合い?」
蒲生は困惑した。実は彼はあまり女性に慣れていないのだ。
「昨日谷津冶の見舞いで偶々出会った人。」
「見ての通りのお嬢様だ。」
「よろしくですわ。」
「よ、よろしく…ってさっき隆次何て呼んでた?」
蒲生が急に思い出したように隆次に聞いた。
「ん?シルヴィー・シャードゥーだからシャドーって…」
「何!?名前がシャドーだって!?」
「…本名は違いますわよ?しかもファミリーネームですわ。」
「そんな仇名でいいのか…」
小鷹が呟いた。
「シャドー幹部のミラ○ボが勝負をしかけてきた!」
「私はアフロではありませんわ…それに分かる人少ないと思いますわ。」
脈絡のない隆次のボケにシルヴィーが対応した。
「じゃあ何でシルヴィーは分かるの?」
小鷹が質問した。
「色々勉強したからですわ。」
「やっぱ日本の文化は素晴らしいよな!」
「ジャパニメーションは世界に通ずる物ですわ!」
「さっきのネタはアニメじゃないけどな!」
隆次とシルヴィーは意気揚々と日本の文化を称えた。
「やっぱり素晴らしいよな!はーーはっはっはっはっ!」
蒲生も深く賛同した。
「よぅし!影の化身シャドー!今日からライトニングゴッドホークスの一員として任命する!これより我らはライトニングシャドーゴッドホークスとなった!!」
蒲生が突然任命した。
「迷惑極まりないだろ…」
「光栄ですわ!」
「…マジか…」
小鷹以外の三人が無駄に盛り上がる中、小鷹は酷く先行きが不安になっていた。
RGH改めRSGHとなってしまった事ではなく、いつ自分は抜けられるのかという事に…。
今日はこの作品で出てくる外人キャラ『エボン』と『ドゥーン』について説明します!
二人はイギリス人とフランス人という事で一応険悪の仲っていう設定です
まあ険悪と言っても似た者同士ですから同族嫌悪ってやつですからいざとなった時に思いつく内容は大体一緒になりますね
それでは、またお会いしましょう!




