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第7章 静かに目覚める何か

「亮!」

航太が亮の殴り続ける腕を押さえた。


「離せっ!はあはあはあ」

「亮、落ち着けって!」


「こんな奴、死んだ方がいいんだっ!」


「亮!!」


亮は航太の怒鳴り声で我に返った。


「こうちゃん、ぼ、僕...」

「大丈夫か亮?」

「うん」

「こいつの体から降りろ」

「あ、うん」


殴り続けていた人物と同一とは思えない動揺の仕方だった。


航太が

「殺されたくなかったら行け。二度とこの子たちにチョッカイ出すんじゃねーぞ」


起き上がりながら

「クソ野郎がっ」と毒づく。


「なんだー、あー?まだ懲りてねーのかよ」

今度は恭太が突っかかった。


「恭太!」

航太は恭太も嗜めた。


「ほら、行け」


「クソがっ!覚えてろよ!」


「ああ、覚えててやるから行け」


フラフラと千鳥足でその場を後にした。


「りょーちゃん」

「あ、ゆぅーちゃん大丈夫だった?怪我してない?お友達も大丈夫かな?」

「はい。ありがとうございました」

ゆりあの友人がペコリと頭を下げた。


ゆりあの友人に向かって航太が

「家はどの辺?」

「イオンの近くです」

「なら恭太も同じ方向だよな?」

「うん、送るよ」

「頼む」

「全然いいよ!帰り道だし」

「俺も恭太に付き合うよ」

仲間の何人かが言った。

「じゃあ、みんな頼む。俺は亮とゆぅーちゃんを送ってく。みんな、また明日な」

「おう!明日、学校でな!」


その場で解散となった。


亮と妹と航太は3人でトボトボと歩き出した。

「ゆぅちゃん」

「なあに、こうちゃん」

「今日のこと、その...おじさんに言うのかなって...」

「ううん。言わない」

「有難う、ゆぅちゃん」

「パパ五月蝿いからさぁ笑」

「はははっ!そうなんだ!俺、おじさん好きなんだよなぁ」

「ええーーーー」

「だって俺等がバスケ部に復帰出来るように掛け合ってくれたり、何やかんやと俺等の気持ちを察してくれるからさっ」

「パパはねぇ、トラブル大好きなのよ笑」


「ゆぅちゃん...黙ってくれて有難うな」

航太が亮の代わりに言った。

亮は俯いたまま自転車を引いて歩いていた。


「んじゃ、明日な、亮」

「うん」

「ゆぅちゃんもな!」

「バイバイ、こうちゃん」


家に入ると泥だらけの亮を見て母親は驚いた。

「どーしたら、こうなるのよ、亮!」

「亮ちゃん、自転車漕いでて転んだんだよ笑。その姿が滑稽で久美ちゃんと大笑いしちゃったよー!」

「そうなの?亮」

「うん...立ち漕ぎでスピード出したらバランス崩して」

「あらあら、怪我は?大丈夫なの?」

「うん、何ともないよ」




恭太と仲間が久美を送っている道中で

「君の名前は?俺は恭太」

「あ、久美です」

「くみちゃん」

「はい」

「今日の事なんだけど」

「はい」

「秘密にして欲しいんだ」

「はい」

「ごめんね。今度アイス奢るから」

「クレープがいい?」

「何が好き?」


「おいおい、恭太が久美ちゃんのこと軟派してっぞ!」

仲間たちがからかい

場が和んだ。



「先輩、遠藤です」

「なんだ?」

「あのう、俺、いきなり殴り掛かられて」

「マジか?どこの奴か分かるか」

「名前は分からないですけど顔は覚えています。多分俺等と同じ中一じゃないかと思います」

「中1で腕っぷしの良い奴なんて情報入って無いぞ」

「不意打ちだったんで強いのかどうかも分からないんですけど」

「明日、俺の教室に来い」

「はい、分かりました」



翌日、腫れあがった顔で先輩の教室へ行くと

「あちゃーー、随分なやられっぷりやん遠藤」

「お恥ずかしい話です」

「お前をここまでやるって大した奴だな」

「...」

「なんで、こうなった?」

「女を軟派していたら、そいつの兄貴がたまたま通りかかって」

「なるほどね。どこで軟派したんだよ」

「土手の先に塾有るじゃないですか。塾帰りの女を土手で...その...やろうとして...」

「で、声掛けたら兄貴が通りかかって殴られたってこと?」

「はい...」

「遠藤、お前、変態だな笑」

「すみません」

「じゃあ、塾の周り張ってれば女にまた遭遇すんじゃん。名前調べろ」

「はい」

「戻れ」

「はい、失礼します」


遠藤の先輩の相田は考えた。

遠藤なんかは別にどうなっても構わない。

誰がやったか知りたい。

知って生意気な奴だったら潰せばいいだけだ。



相田一派の捜索が始まり

亮、航太、恭太、他の仲間たちの身元があっと言う間に調べあげられた。


「なあ、遠藤、どいつから潰しに行く?」

「湯川亮から行きたいです」

「お前はバカか。そいつは最後だ。最初は仲間から狩って孤立無縁になった湯川を好きなだけなぶれよ」

「あっ!確かにそうですね!流石です相田さん」


亮たちは狩られることも知らず

いつも通りにボクシングに勤しんでいた。


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