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第17章 体裁だけの身内

「ゆぅちゃんっ!」

病院へ航太や恭太たちが駆けつけた。


「こうちゃん...」

「大丈夫!大丈夫だからっ!」

「うん...」


「パパとママが...」

大粒の涙がゆりあの頬を伝った。


「りょーちゃんまでなったら...」


「大丈夫!!亮は、ゆぅちゃん1人になんてしないよ!大丈夫、大丈夫」


ゆりあは自宅で警察に何度も同じ事を聞かれ

何度も検証され、朝方やっと亮の所へ来た。

航太の母親が

「ゆぅちゃん、あとはおばさんが対応するからりょーちゃんの所へ行っておいで」

「あ、有難うございます」

ゆりあの担任も駆けつけた。

「湯川さん、お兄さんのいる病院まで私の車で送りますよ」

「先生...」


やっと手術室から出て来た。


「りょうちゃん...」

掛けるゆりあの声は小さかった。


ベッドの横に座り、亮の手を握った。


その姿を見た航太たちは、そっと涙を拭いた。


「亮!返事しろよっ!」

皆が心で思っていた。


ゆりあの担任が航太たちに

「君たち、今日も学校だろう?私が付いているから家に戻りなさい」

「でも...」

「心配するな。湯川さんのお兄さんは今、麻酔が効いているだけだ。お医者様も一命は取り留めたと仰ってた」

「亮も心配ですが、ゆぅちゃんが心配で」

「先生が付いている。安心して欲しい」

「学校終わったら速攻来ます」



放課後、航太たちは病院へ再び来た。

「ゆぅちゃん、少しは寝た?」

「寝れなくて」

「だよな...お腹は?空いたでしょう?」

「ううん。食べたい気になれなくて」

「俺等が亮のそばにいるから少しでも食べて寝て」


航太の母親が病室へ来た。

ゆりあが食べやすいようにと

一口サイズのおにぎりを幾つかと飲み物を持って来てくれた。


「ゆりあちゃん、パパとママのお葬式の事なんだけど」

「はい」

「ご親戚の連絡先とか分かるかな?」

「家の電話の横にある電話帳に、おじーちゃん家の番号が書いてあります」

「おばさんから連絡してもいいかな?おじいちゃんの苗字、教えて」

「同じ湯川です」

「パパの方のおじいちゃんかな?」

「はい」

「もう少し、亮君のそばにいて、その後は一緒に帰ろう。当面は航太のお家で暮らしましょ」

「はい...」



葬式が終わり控え室へ行くと親戚同士で

「ゆりあを引き取るのは構わないが...」

「亮はちょっとねぇ」

「アンタのとこで引き取りなさいよ」

「うちだって御免だ。ゆりあだけならまだしも」

誰も亮を引き取りたくない様子だった。


「ゆりあ、元気出せ。これからは

おっちゃんの家で暮らすか?」

「りょーちゃんは?」

「亮はまだ入院が長引きそうだしな」

「あのう、りょーちゃんと離れて暮らすのは嫌です。学校が変わるのも嫌です。りょーちゃんが元気になったら2人で暮らします」

「2人とも、まだ子供だろ?」

「でも、おじさんたちは、さっき...」

「りょーちゃんは引き取りたく無いって話してたの聞こえたし。だから、無理して私たちを引き取らなくていいです。りょーちゃんと2人でいいです」


親戚は黙るしか無かった。


航太の母が

「航太、ゆぅちゃんを連れてこの部屋から出なさい」

「あいよ」

「ゆぅー!ちっと、こっち来て」




「あのう、私、亮君とゆりあちゃんにピアノを教えていた者です。うちの子と亮君が同い年と言う事もあって奥さんとは生前、非常に親しくさせて頂いておりました」

「亮君は以前、過ちを犯したかもしれません。ですが意味無く起こした事件ではございません。亮君の友達が亮君の身代わりで傷付けられてしまい、それに憤りを感じ、幼かった事も相まって、あの様になったのです」

「亮君は、ただの無法者ではないです」


「他人は良いさ、その見解で。でも身内となると、いざ引き取るとなると躊躇しますよ。あの父親の血を引いてる息子なわけですから」


「亮君たちのお父様がどの様な方なのか深くは存じておりませんが、ゆりあちゃんの耳に入るほどの声で亮君の事を仰るのは大人としてマナー違反かと思いますよ」


「皆さんがよろしければ、亮君が退院するまで我が家で、ゆりあちゃんを預からせてください」


「他人様に預けるってなあ...」

「いくらなんでもなあ...」

「この家のアレコレもあるしなあ...」


「申し上げにくいのですが、それ程まで

亮君たちの身の回りをご心配されるなら、私が連絡を差し上げた時に早くおいでにならなかったのですか?」

「小学生のゆりあちゃんが警察に何度も事情聴取をされ、誰も手を差し伸べず。見ているこちらが心が苦しくなる程でした」

「ゆりあちゃんはどれほど泣きたかったことか。遅れて来て、亮君は預かりたくない。けど家と財産管理はしたい」

「どの口が言ってるんですか。遠くの親戚より近くの他人とはこのことです。近所の我々とゆりあちゃんの担任の先生とで必死にゆりあちゃんをケアして来ました。」

「もう少し優しさを持てないのですか?」

「亮君は非常に賢く、またゆりあちゃんも賢いです。どう判断するか、どう落ち着くか決まるまでは私共の家で預かり、学校へ通わせますので」


「でも、アンタさんねぇ...」


「何か仰りたいのなら、何故、行動で見せてくださらなかったのでしょうか?私から見ると財産狙いにしか見れませんよ。どなたも子供たちに向き合おうとされてませんよ。その様な思惑が透き通って見える大人の所へ行って多感な子供たちに、どの様な影響があるのか他人ながら心配です」


亮が回復するまで

ゆりあは航太の家で暮らすことになった。

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