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第11章 そばにいてくれないと

「ゆぅちゃん!凄いじゃないっ!」

母親が興奮して言うと

「たまたまなんじゃない」

ゆりあは素っ気なく返した。


「何が凄いの?」

亮が会話に割って入ってきた。


「りょーちゃん見て、これっ!」


ゆりあが通う塾の全国模試の成績表だった。

ゆりあは女の子だけなら1位

男女総合では8位だったのだ。

5,000人以上の同学年の塾生や一般学生が受けた模試で好成績を収めたのだ。


「うわー!凄っ!」

「やめてぇー。恥ずかしい」

「本当に凄いよっ」

「もぉーーー」


亮に褒められるとまんざらでもなかった。


「ねえ、ゆぅちゃん。中学受験してみない?」

母親が勧める。

「僕もそう思う!」


「りょーちゃんと同じ中学が良い」


「もったいないよっ!絶対受験するべきだよ!僕、応援するよっ!」



「りょー、その前にあなたの高校受験があるからねぇー!」

「うわっ」

「そーだよ!りょーちゃんこそ頑張らないとだよーーー!ゆぅ、応援するっ!」

「何だよー、ゆぅちゃんまで」




「ねえ、アナタ。亮の事なんだけど」

「うん、どうした?」

「ボクシングジムも破門になったし、これからはお勉強に力を注がせたいなって。高校受験もあるし」

「あー、そうだなぁ。亮には?言ったの?」

「高校受験控えてるわよって言ったけど」

「反応は?」

「まだ実感してない感じだったわ」

「寮生活を送る高校が良いと思っているんだが」

「駄目よ!それは。亮は家から通わせたいわ」

「いや、亮は親元を離れた方がいい」

「アナタ...どうして」

「子供はゆりあだけで良いだろう」

「本気で言ってるの?」

「ああ」

「アナタ、ゆりあだけって..亮も私たちの子供よ」

「そうだ。だからこそ言っているんだ。あの事件のせいで亮は近所からも色眼鏡で見られている。亮は敏感に周りの目を感じ取る子だ。何も知らない他県で伸び伸び学生生活を送らせたいだけだ」

「ならどうして、子供はゆりあだけでいいなんて言い方するの?」

問い詰める妻に辟易し

「語弊があったな、すまん。親元で育てるのはって意味だ」

(もう、この会話は終わってくれよ。しつこいって)

内心、夫は思っていた。


「亮が帰って来て一番喜んでいたのは、ゆりあよ。亮はこの家から高校へ通わせるわ」

「君は亮の将来を考えてないだろう」

「あなたこそ...親としてどうなの」

「どういう意味だ」

「ご自身で考えてくださいな」


夜が更けて行った。





亮は中学校2年に進級し

大河と何人かの仲間とクラスが分かれた。


大河の親が学校へ亮と同じクラスにしないでくれと頼んだのである。


「離れちまったなー」

放課後、航太が呟いた。

「だよなーー」

「全員、同じクラスが良かったよなーー」

皆が口々に言う。


「まっ、俺等は放課後こうして遊べっからクラスが離れても結局変わんねーんじゃね?」

「だよな」

結局、友情を確認し落ち着いた。



帰り道、亮は航太に聞いた。

「こうちゃんはどの高校に行くとか考えてるの?」

「全然、笑。何、亮はもう考えてんの?」

「ママが塾通えって」

「あーーーー!俺ん家の母ちゃんもそんな事言ってた。もしかして亮の母ちゃんと家の母ちゃんで話たんかなぁーーー」

「ああーー!そう言うこと?」

「もしかしたらなっ!」

「なるほどねぇ」

「たまに親同士でタッグ組むよな」

「わかるぅーー!」

「亮って偏差値どん位なの?」

「えっ?僕?」

「うんっ。亮より低かったら同じ高校行けないじゃん。塾通う必要が出て来る笑」

「僕もこうちゃんと同じ高校行きたいっ!」

「だから教えろって、亮、お前の偏差値どん位なんだ?」

「僕そんなに良くないよ。この間のテストで58だった。60無いんだ」

「嘘だろう亮!」

「本当だよ...情けないよね...」

「いやいやいや!亮、お前スゲーぞ!」

「えっ?」

「俺、50無いし笑。他の奴らも大体同じことだと思うぜ」

「そうなの?」

「やっべーーーー!くそっーーー!

俺マジで塾行って亮に追いつく!」

「僕も塾行く」

「いや、亮が行ったら更に頭良くなんじゃん!いつまでも追いつけねーつうの!」

「そんなことないよ」

「そんなことあんだよ」


普通に見れば平均よりやや上なだけだが

航太の中で亮の偏差値は天文学的に高い。

どうやっても追いつけそうにないと感じていたのである。




翌日の放課後。


「亮やべーなっ!」

恭太や仲間たちが騒いでいた。

「亮、航太に聞いたぞ!偏差値58なんだって?俺等のヒーローやんっ!」

「こうちゃん言ったの?」

「わりぃ言っちまった。俺等全員同じ高校行く事にしたから」

「え?」

「俺等、亮に追いつく事にしたんだよ」

「亮と同じ高校行くってこと!」


亮はずっと数に入れてくれているのが嬉しかった。

仲間とずっといれたら何より嬉しいことか。



「僕は本当に大したこと無いんだ。

けど、もし良かったら

テスト期間は僕ん家で勉強する?」


亮が仲間を誘った。


「するする!」

「亮は大したこと有るんだって!」

「俺等、勉強の仕方わかんねーし。

どう言う感じで勉強してんのか

知りたい!教えて欲しい!」

「俺等は今度から賢いチームに生まれ変わるんだぁーーー!!」

「ぎゃははは!そうだー!生まれ変わんぞーーー!!!」







「ねえ、大河。アンタ今も湯川さんちの亮くんと遊んでんの?」

「うん、なんで?」

「また大怪我させられちゃったら...どうすんのよ...心配なのよ。折角、別のクラスになる様に頼んだのに」

「何でそんなことすんだよ!」

「アンタのため思って」

「余計なことすんなよ!」

「ママの気持ちも考えてよ...」

「亮は大切な仲間なんだ。ゆりあちゃんと友達守るため仕方無かったんだ。それに俺の怪我は亮と関係ない。俺は俺でそいつらと単純に喧嘩しただけなんだっ!亮と関連付けんなって!」

「関連付けるわよ!アンタは私の子よ」

「そー言うのマジでうざいってば。俺はこれからもずっと亮と友達だし」


バタン!思いっ切り自室のドアを閉めた。


「母ちゃんうぜーーー」


親心子知らず。


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