第12章 無駄に感じる疎外
「この意味はねぇ...」
「なるほどなぁー!」
「なんかさ俺等最近メッチャ頭良くなった感じしね?」
「するっ!マジでする!」
「本当、俺、亮と友達でよかったーーー」
「それなっ!亮に救われてるよなっ!」
ジュースとお菓子を持ってきた母親が
子供たちの会話を聞いて涙が出そうになった。
コンコン。
「亮、開けて。お菓子持って来たわよ」
「はーい」
「あらぁー。みんな凄いわねぇ」
「俺等全員で同じ高校行くって決めたんで」
「まあ!」
「亮に助けて貰いながら今必死こいてます!」
「そんなこと言わないで!ママも、もう部屋から出て。お菓子ありがとね」
「亮の母ちゃん、ご馳走さまですっ」
「みんな頑張ってね」
亮には、あの子たちがいる。
寮生活など必要ない。
母親は心で呟いた。
「母ちゃんコレ見ろよ」
大河が成績表を出した。
「コレ、全部、亮が俺に勉強教えてくれたんだ」
「湯川さんちの?」
「ああ」
「大河、アンタ偏差値上がってるじゃない!」
「50超えたんだぜ俺。44〜5の俺に亮はいっぱい教えてくれたんだ。読めない漢字も難しい方程式も英文も。全部。毎日」
「そ、そう...。怪我させちゃったから。アンタに申し訳なくてじゃないの.,」
「何でそういう言い方しか出来ねーんだよ!
勉強時間を自分に使えばいいものを
俺らに使ってくれてたんだ!
亮のおばちゃんだって毎日俺等にお菓子とかジュースとか持って来てくれて。
おにぎりとか焼きそばとかも作ってくれたり!
いっぱい金掛けてくれたんだぜっ!
母ちゃんは家に毎日友達来たら嫌がるくせによっ!」
「湯川さんちはお金が有るから...うちとは...」
「亮ん家だって一緒だ!ゆりあちゃんの習い事とか塾代とか。俺ん家は俺ひとりじゃんか子供。大した金掛けてねーじゃか!」
「成績が上がったのは嬉しいけど...大河アンタさ...やっぱり嫌なのよ」
「もう黙ってくんない?」
「他の奴らなんて亮ん家にお礼にって
お菓子とか持って行ってんのに
俺んちだけだし持ってかないの!
マジで恥ずかしいしっ!」
大河の親はどうしても飲み込めなかった。
航太はご機嫌に
「いやぁーーー!亮ありがとなっ」
「え?なんだろう?」
「勉強!」
「僕は何も。みんなが頑張っただけ」
「よく言うぜっ。俺なんか39から50まで大幅ジャンプアップしたのは亮無しでは成せない偉業ってもんよっ」
「こうちゃん」
「亮、改めてありがとな」
亮は嬉しさと気恥ずかしさとが入り混じり言葉が出て来なかった。
「こうちゃん、これからも毎日僕ん家で勉強しよう!たまには外にも遊びに行ったり」
「うん、だなっ!」
航太や仲間たちは今回のテストで偏差値が大幅に跳ね上がった。
「ゆぅちゃん...遅いわねぇ。携帯鳴らしても出ないし」
母親はゆりあの帰りが頻繁に遅くなる事に気を病んでいた。
「ゆりあ、こっち来てパパの話を聞きなさい」
「え?なんで?」
「こっち来なさいと言ったら来なさいっ!」
顔を真っ赤にし怒鳴った。
「アナタ...」
「うるさいっ!お前は黙ってろ」
「お前がちゃんと躾てないから、こんなにも帰りが遅いんだろう!ゆりあ何処に行ってた?だ?なんでこんなに遅く帰って来るんだ!」
「パパに関係無いでしょ!」
「関係無いなら出て行けっ」
「アナタ!」
「さっさと出て行け」
ゆりあは黙って家を出た。
「どこ行こうかなぁーー」
「ゆぅちゃんっ!」
振り向くと亮が全力で走って来た。
「りょーちゃん」
「か、はあはあ、か、帰ろう」
「やだ」
「最近帰り遅いなーって僕も気になってたんだ」
「そうなの?」
「うん。また危ない目に遭ったらどうしようって」
「!!!」
そうか、帰りが遅いと心配する
万が一、以前のような事になったら
また亮ちゃんが居なくなる。
駄目...。
ここは我慢...。
嫌でも家に帰らないとか...。
「亮ちゃんゴメンなさい。図書館に面白いなって思う本が沢山あって途中でやめれなくて、つい...」
「それとね...」
「うん。パパにもママにも言わないか
僕にだけ言っていいよ。約束するから」
「本当は塾行きたくないの。中学受験もしたくないの」
「そうなの?どうして?」
「中学が遠くなるのが嫌なの」
「僕なら良い中学に行きたいけどなぁ」
「ゆぅは兎に角嫌なの。家で色々ママに言われるのもパパに言われるのも凄く嫌。勉強とかほっといて欲しいの」
「分かった。僕はゆぅちゃんの気持ち尊重するから。ずっと味方だよ。だからもう帰ろう」
「今日、りょーちゃんの部屋に居ていい?」
「構わないよ」
「ありがとう」




