天使は危機でも可愛さ変わらず
テストが終わって一週間後、テストの結果が張り出される。
先に教科ごとにテストは返却されているので、ある程度の順位は予想がつく。
学年一位は、セドリック殿下。二位はエリオットと俺の同位だった。その後に、リヒトとビアトリス嬢とオリヴァーが続く。
「やっぱり、みんな凄いね。ユーリも2位なんて凄い。流石、私の自慢の弟だわ。」
張り出された結果を見て、リリが自分のことのように喜んでいる。
「そんなにリリが喜んでくれるなら、次は一位を目指そうかな。」
今回は、王国歴史で一つだけ回答を間違えてしまい、惜しくも一位を逃してしまった。
次のテストでは、全教科満点を取って、リリをもっと喜ばせたい。
「リリアーベルが応援するなら、次は俺も順位を上げる。次もまた、一緒に勉強しよう。」
リヒトがリリの頭を軽く撫でる。すると、リリがリヒトを見上げて微笑んだ。
「リヒトは今でも十分凄いよ。でも、そうね。私が応援してリヒトが頑張れるなら、沢山応援するね。」
(自分も一緒にとは、言わないんだな。)
あれからリリは、魔法を使えないまま時間だけが過ぎていく。契約精霊であるルミナが常に魔力を受け取っているが、溢れる魔力は抑えきれていない。
結局、友人たちも巻き込んで、定期的に魔力を吸い出してもらっている。
「リリアーベルは、魔法実技以外は満点だっただろう。次は、リリアーベルが一位になるかもしれないぞ。セドリック殿下も気が抜けないな。」
オリヴァーが、セドリック殿下を見て揶揄う様に笑う。
「友人たちが優秀すぎて、私も困ってしまうね。」
1位から6位までは、ほとんど点数は変わらない。殿下の言う通り、友人達はみんな優秀だ。勿論、リリだって魔法実技での事がなければ、ここに名前が載っていたはずだ。
今回、リリの名前は、成績順位からは除く事になった。全ての試験を受けられなかった為、評価できないと言われたからだ。
ただ特例として、今までの魔法実績と、実技以外は満点という結果からSクラスには残ることが出来た。
しかし、このまま魔法が使えなければ、2年生では、どうなるか分からない。
もしかしたら、魔法科を選択から外すしか無くなる。
魔法が大好きなリリが、魔法を奪われてまで学園に残りたいと思うだろうか。
魔法以外の知識は、学園入学前に学習済みだ。学園に通うのも、魔法塔で研究が出来て、新しい魔法を学べるという期待で、それを楽しみにしている部分が大きかった。それが全て無くなるとなれば、リリが学園に通う理由が無くなる。
「ユーリ、急に難しい顔をして、どうしたの?セドリック殿下に負けたことが、そんなに悔しかったの?ユーリも凄いんだから、落ち込まなくてもいいのよ。」
リリの事が気になって、考え込んでしまった俺に、リリが慌てて声をかける。
ぎゅうと前から抱きついて、背中を擦ってくれる。背伸びをして、一生懸命に頭も撫でてくれた。いつも以上の可愛さだ。
「ユーリは、私の自慢よ。大事な可愛い弟よ。今回も、とても頑張って偉かったわ。だから、元気を出して。私の中では、いつでもユーリが一番よ。」
別に、成績の順位なんて関係ない。正直、どうでもいい。リリのこれからの方が、気になって仕方がない。
でも、せっかくリリが励ましてくれるなら、落ち込んだフリも悪くない。
ああ、リリの可愛さの前では、どんなことも些細なことに思えてしまう。
考えることが色々あるのに、リリが可愛すぎて目が離せない。
可愛いくて、優しい天使な姉は、どんな時でも変わらず、最強に可愛いが過ぎて本当に困る。
――― Sクラス教室 ―――
「みなさん、今日から私もSクラスに戻ってきました。どうぞよろしくお願いします。」
成績順位を確認後、教室に戻ると、笑顔のアンジュ嬢がSクラスの教室で、当たり前のように席に着いていた。
リリの可愛さで忘れかけていた悩みの元凶が、今日から同じクラスになってしまった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
次は6/20(土曜)の夜に、投稿予定です。よろしくお願いします。




