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最高に可愛い童顔令嬢は、最強の守護者達に守られている  作者: 文月みい


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穏やかな休日



 今日は、連休最終日。


 思えば学園に入学してから、色々ありすぎて、思い出すだけで疲れが増す。

 特に、数日前の従姉の件では、俺の心はズタボロだった。

 昔からそうだったが、言葉が通じない奴と関わるのが、こんなに辛く不快だとは思わなかった。

 何を言っても、何をしても、俺が従姉に好意があると受け取られて、不快で気持ち悪くて、初めて人を心の底から軽蔑した。


 あの後、リリが領地の両親に、手紙で事情説明し、クランネート家に抗議してもらった。セドリック殿下からも、抗議と対決の全てを書いた手紙を出したと聞いたので、さすがに、クランネート家も従姉も静かになるだろう。

 まだ、解決できてない問題もあるが、セドリック殿下が調査を進めてくれている。何か分かれば情報を共有してくれるだろう。




「ふぁぁ、今日は久しぶりにゆっくり出来るな。」


 久しぶりに、朝から予定が無く、まったりとした時間を過ごす。


「ユーリ、これからお庭でお茶をするのだけど、時間があるなら一緒にいかが?」


 リリが俺を見つけて、声をかけてくれる。


「嬉しいな。それなら、庭園まで俺にエスコートさせて欲しいな。さあ、お手をどうぞ、俺の可愛いリリアーベル。」


 軽く腰を折り右手を後ろに、目線を合わせて、リリの前に左手を差し出し、ウインクして見せた。


「フフ、素敵な紳士さん。それじゃあ、エスコートよろしくね。」


 クスクスと可愛らしい笑い声に、俺の掌に小さくて可愛い手が添えられる。

 その手を、しっかりと支えて庭園のガゼボまで移動する。

 そこには、既にお茶の準備が整えられており、リリと二人で席に着く。


「リリとこんな風にゆっくりお茶をするのも久しぶりな気がするな。」


「そうね。この前は、アンジュも一緒だったものね。二人だけは久しぶりかも。」


 そういえば、数日前にもお茶会をしたんだった。リリが行方不明になった事がショックで、すっかり忘れていたな。アンジュ嬢が我が家に来たのも、まるで遠い昔の事みたいだ。


「やっぱり、ユーリと過ごす時間が一番安心できて、私は好きよ。」


 突然のリリの告白に、驚いて動きが止まる。


「突然どうしたのリリ?俺もリリとの時間が好きだけど、急に何、どうしたの?」


「フフフ、落ち着いてユーリ。最近、色々あったでしょ。それでね、改めて思ったの。やっぱりユーリと居ると安心して、落ち着くなって。だから、それを伝えたくなったの。」


 真っ直ぐに俺を見つめて、そんなことを言うリリは、可愛くて、可愛すぎて、可愛いの暴力に今にもノックアウトされそうだ。


「はぁ、リリが可愛すぎて不安だ。リリ、今の言葉は、他の男に言っては駄目だよ。勘違いされて、何処かに閉じ込められてしまうよ。」


「何言ってるのユーリ。面白いこと言うわね。そんなことを有るわけないでしょ。」


 さっきまでは、穏やかな休日だったのに、リリの天使の可愛さと、無自覚さに、不安が募り心が荒れる。


 それに、リリから伝わる…この感覚。双子だからなのか、時々、片方の気持ちが、自分の事のように伝わってくる。


「リリ、おいで。」


 両手を広げて待っていると、一瞬、驚きで目を見開いたリリだったが、直ぐに目に涙を浮かべ、そのまま俺の胸に飛び込んだ。


「あのね、ユーリの事をアンナマリーから守れて良かった。本当はね、すごく不安だったの。アンナマリーの剣を折った犯人にされた時も怖かった。私が負けたら、ユーリは嫌いなアンナマリーと婚約しないといけなくて、そんなの嫌で、だからね。勝てて本当に良かった。それにね、花祭りの時も、一人でみんなと逸れて怖かったの。歩いても歩いてもみんなに辿り着かなくて、女の子を守るために必死だったけど、一人で怖かった。エリオット様が来てくれて、ホッとしたの。そして、ユーリに会えて泣きそうなくらい安心したの。本当は、ずっとずっと怖くて不安で、押し潰されそうだった。ユーリ、私は…私、頑張った?偉かった?」


 リリを思い切り抱きしめ、涙声で訴えてくるリリの背中をポンポンと撫でる。

 小さな体で、耐えていたことを思うと、胸がギュウと締め付けられる。


「リリは凄いよ。よく頑張ったよ。俺の事も守ったし、見ず知らずの女の子まで守って偉いよ。怖いのも不安なのも全てはね除けて、一人で耐えて、強くて素敵なレディだよ。もう大丈夫だから、安心してリリ。リリは1人じゃないよ。俺が傍にいるから、リリの事を好きな友人もたくさんいる。だから、いつでも安心して頼っていいよ。また怖くて不安で悲しい時は、ずっと傍にいるよ。頑張ったらたくさん褒めてあげる。だからね、リリは大丈夫。大丈夫だよ。」


 常に笑顔で強がって、誰かを守るために必死で、表情にも、態度にも出さず、一人でずっと耐えていた小さな体が、今は小刻みに震え、声を抑えながら泣いている。


 俺の体にしがみつき離さないリリを、ギュウと抱きしめ、リリが疲れてそのまま眠るまで、「大丈夫」と声をかけ続けた。


 

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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