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最高に可愛い童顔令嬢は、最強の守護者達に守られている  作者: 文月みい


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可愛い天使と変わらない従姉



 連休が明けて、今日からまた、学園生活が始まる。


 昨日、思い切り泣いたリリは、恥ずかしそうにしていたが、泣いてスッキリしたのか、今朝は元気な明るい表情になっていた。


 頑張り屋で、他人のために一生懸命なリリだけど、本当は人一倍、泣き虫で甘えん坊な可愛い天使だ。

 幼い頃から、一人で耐えて頑張って、最後に我慢できなくなった時、溢れた涙を拭うのが俺の役目だ。


「リリ、今日から学園が始まるけど大丈夫?やっぱり、セドリック殿下との話し合いは、俺だけで行こうか?」


「平気よ。私とアンナマリーとの事だから、私が行くわ。でも、不安だからユーリも一緒に行ってくれると心強いわ。」


「それなら、二人で参加しよう。ずっと隣にいるから、何かあれば言って。」


 連休前の、従姉とリリの対決結果について、日を改めて話す事になっていたが、それが今日の放課後、集まることになっている。


 従姉も、時間を置いて冷静になっていると思いたいが、言葉が通じない相手なので不安だ。

 リリが、嫌な思いをしないように、俺だけで参加したかったが、本人の希望もあるので、今日は隣で全力で守ることにする。



♢♢♢♢♢♢♢♢


 

 放課後、学園長室にて、学園長とセドリック殿下を始め、俺とリリに、従姉と、何故か伯父まで来ていた。どうやらセドリック殿下が呼び出したらしい。


「それでは、全員揃ったので、この間の対決について話し合いたい。それでは、セドリック殿下お願いします。」


 学園長の言葉に、セドリック殿下が、いつもの胡散臭い笑顔を浮かべて話し始める。


「話し合いというか、結果報告と勝者の望みを改めて確認するのが、今日ここに集まってもらった目的なんだけどね。どうやらクランネート伯爵令嬢は、意味が分かってないようだから、伯爵は、この後、しっかりと娘に理解させて欲しいな。」


 顔を青ざめさせ、伯父がセドリック殿下に頭を下げる。


「まず、クランネート伯爵は、私からの手紙で事情は説明したが、何か質問はあるかな?」


「特にありません。王子殿下からの御手紙で、全て理解しました。娘が迷惑をかけ、申し訳ありません。」


 セドリック殿下の問いかけに、深く頭を下げ謝罪する伯父に、従姉が責め立てる。


「お父様、私は何も悪いことはしてないわ。ユーリアスは、私を愛しているのにリリアーベルが邪魔をしているのよ。ユーリアスと私を引き離すために、今回の対決でも、裏で手を回したのよ。そんな対決の結果は認められないわ。」


「うるさい!少し黙りなさい。何度言えば分かるんだ。ユーリアスは、お前の事を愛してなどいない!顔を見るのも嫌だと言われ、接近禁止令まで出したのに、嫌がる二人に何て事を…。いい加減、現実を見ろ!」


 激しく怒る伯父の言葉に、従姉が驚いて黙り込む。

 その二人の様子に、セドリック殿下が呆れたように溜め息をつく。


「はぁぁ、親子の話し合いは、後にしてくれないか。取りあえず、私が立会人となり、公正に対決は行われた。その結果、リリアーベルが、一回戦と最終対決で勝利した。そのため、今回の対決は、リリアーベルの勝利となり、勝者の要望通り、クランネート伯爵令嬢は、リリアーベルとユーリアスへの厳重な接近禁止と、ゴルドリッチ家への接触を禁止する。勿論、ユーリアスとの婚約は有り得ない。必要なら、王族が関わった対決として、我が父に報告し、正式に文書としてクランネート伯爵に渡すことも出来るけれど、どうする?」


 ''我が父''の言葉に、伯父の顔色が更に悪くなる。セドリック殿下の父親ということは、当たり前だが国王で、王自らが出すと言うことは、王命ということだ。


 学生同士のしかも親戚のゴタゴタに、王命なんて信じれないが、殿下もどこまで本気なのか。


「殿下の言う通りに致します。ゴルドリッチ家と双子には金輪際、関わることはないと誓います。リリアーベルとユーリアスも本当にすまなかった。」


「お父様!そんな…」


 従姉が、何か言おうとするのを止め、無理やり頭を下げさせる。そして、伯父も俺たちに頭を下げ許しを乞う。


「ウィル伯父様、頭を上げてください。謝罪は受け取りました。きちんと対決の結果を受け入れて、アンナマリーには、今度こそ約束を守って欲しいと思います。これ以上ユーリに付きまとうのは止めて下さい。」


 セドリック殿下が、リリの言葉を受け、再度、伯父と従姉に告げる。


「リリアーベルが、許すなら仕方ないね。父上に報告するのは止めておこう。クランネート伯爵令嬢、君が不正だと言う最終対決の結果だけれど、学園長が誰に投票したか特別に教えてくれるそうだよ。本当は匿名なんだけどね。それと、リヒト殿とビアトリス嬢からも、誰に投票したか一筆貰っている。この二人も自ら名乗り出てくれた。」


 セドリック殿下が、リヒトとビアトリス嬢、それぞれが誰に投票したか書かれた用紙を、従姉と伯父に見せる。

 そこには、はっきりとリリに投票したと書かれていて、署名もしっかり記入されていた。


「クランネート伯爵令嬢、私は学園長として、公正に判断して、ゴルドリッチ侯爵令嬢に投票した。最終対決のお題が、ゴルドリッチ侯爵令息を剣を使って楽しませることだったからね。二人とも素晴らしかったが、ゴルドリッチ侯爵令息が、心から楽しんでいる方を選ばせてもらった。」


 従姉は、口を開いたまま放心して、微動だにしない。


「これで、リリアーベルに3票は入ってる事になるから、どちらにしても勝者はリリアーベルで決まりだった。分かったかな?クランネート伯爵令嬢。」


 ゆっくりとセドリック殿下の方へ顔を向け、それでも納得出来ない顔をする。

 もう、何を言っても無駄だろうな。受け入れる気がないのだろう。

 受け入れたら、俺達との縁が切れてしまう。何故そこまで、俺に執着するのか分からないが、もうこれで、終わりにして欲しい。


「セドリック殿下、俺からも一言いいですか?」


「いいよ、ユーリアス。言いたいことがあるなら、ちゃんと言葉にして、ハッキリ伝えてあげたらいい。」


 セドリック殿下の了承も得て、俺は深呼吸すると、従姉に向き直り、ハッキリと告げた。


「俺は、幼い頃、初めて会ったあの日から、あなたのことが、嫌いだ。触れられるのも嫌だ。大事な姉を傷つけた事も許せない。俺の気持ちも無視し続ける態度にも迷惑している。俺は、あなたの事を愛したことなど一度もない。」 


 リリのように、真っ直ぐに前を向き、従姉へと視線を向け、きちんと自分の思いを伝える。


「そ…そんな…」


 従姉は、何かを期待して、頬を染めていたが、徐々に青ざめ、表情が悲痛に歪む。

 そんな従姉には、お構いなしにセドリック殿下が冷たく言い放つ。


「ユーリアスの気持ちも知ることが出来て、良かったね。それじゃあ、この件は、もうこれで、終わりだ。クランネート伯爵、ゴルドリッチ家の双子は、私の大切な友人だ。これ以上、二人を不快にさせる事がないよう願っているよ。娘の管理はしっかりね。」


 セドリック殿下が、冷めた笑顔で伯父に釘を刺す。

 伯父は、今にも倒れそうな真っ白な顔で頷いている。


 セドリック殿下にここまで言われたら、流石に伯父も変わるだろう。

 娘に甘くて、野放しにしてきた結果が、これだ。ゴルドリッチ家からの訴えにも、言葉では謝罪して対応する素振りを見せるが、何も変わらなかった。

 しかし、今回は、セドリック殿下からの言葉もある。次は、無い、ということだ。


 その後、伯父も従姉も顔色悪く、そのまま退室していった。


「はぁ、これで安心ね。ユーリ、さっきは自分の気持ちを、ちゃんと言えて良かったわね。アンナマリーは、可哀想だけど、また新しい恋をして幸せになって欲しいわ。」


 リリが、複雑そうな表情で二人が出ていった扉を見つめる。

 

「俺も、従姉は好きになれないけど、不幸になって欲しい訳じゃないから、俺と関わらないところで幸せになって欲しいよ。」


 リリと二人、これで終わったと安心し、俺達も学園長室を退室しようと立ち上がる。


 すると、セドリック殿下が、俺を呼び止めた。


「ああ、ちょっと待ってユーリアス。少し話があるんだ。ここでは何だから、私の執務室に来てくれないか。良ければ、リリアーベルは、ビアトリス嬢とお茶をして待っててくれないか。」


 セドリック殿下から話が有ると言うことは、例の犯人のことが分かったのか?それとも別のことだろうか。


「分かりました。リリもそれでいい?」


「…。分かったわ。ビアトリスと一緒に待っているわ。」


 心配そうな顔で俺を見上げていたが、大丈夫だと笑顔を見せると、少し表情が和らいだ。


「それじゃあ、一緒に行こうか。」


 セドリック殿下に付いて、そのまま殿下の魔動車に乗り込み、王宮の殿下の執務室へと移動した。


 

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


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