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最高に可愛い童顔令嬢は、最強の守護者達に守られている  作者: 文月みい


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悪か善か《エリオット視点》



《エリオット視点》


 新入生歓迎会の全日程が終了し、翌日から花祭りの連休が始まるという、その日の放課後。


 王宮のセドリック殿下の執務室にオリヴァーと共に呼び出された。


「ハァァ、明日から連休で花祭りもあるから、今日は早く帰る予定だったのに、何か面倒なことを押し付けようとしてないよな。セドリック殿下。」


 不機嫌さを隠しもせず、オリヴァーは執務室のソファに、ドカッと腰を下ろす。

 殿下に対して気安い態度なのは、私たちが幼い頃からの付き合いと言うのもあるが、オリヴァーの元々のガサツな性格も起因しているだろう。


「アハハ、そうだな、面倒かどうかは個人の判断に委ねるよ。まず今日呼び出したのは、君たち二人には、花祭り2日目、私と共に祭りに参加して欲しい。」


 オリヴァーの態度を気にせず、セドリック殿下が、今日私達を呼び出した目的を告げる。

 花祭り2日目は、友人の健康と幸せを願う日だが、まさか殿下から友情の証となる花祭りへの参加を提案されるとは思わなかった。

 予想外の殿下の言葉に驚いていると、オリヴァーも同じだったようで、目を丸くして殿下の方を見ていた。


「ああ、誤解しないでね。友情を確かめ合うため、誘ってるわけじゃないから。あの双子の事が心配でね。純粋な双子は、人を疑うことを知らないから、悪意にも気付かずに手を差し伸べようとするだろう。」


 セドリック殿下が言いたいのは、裏切った彼女の事かと納得する。

 先程行われた、リリアーベル嬢とクランネート伯爵令嬢の対決。

 リリアーベル嬢が4票獲得して圧勝した。審査員がお互いの懇意にしている者から選出されたのだから、誰もが接戦での勝利を予想していた。

 確かに、殿下は自由に投票するようにと伝えたが、令嬢の派閥問題は、かなり重要なものだ。

 クランネート伯爵令嬢は、性格はアレだが、3年生から新入生まで取り巻きは多い。

 そんな彼女の敵とも言えるリリアーベル嬢に票を入れると言うことは、これからの学園生活に少なからず影響するだろう。


「別に何もなければいいけど、アレはね、クランネート伯爵令嬢にも同じように取り入ろうとしているんだよ。ガラワルト子爵令嬢に全ての罪を押し付けてね。そして、今回、票がリリアーベルに流れた件も押し付ける気だ。そんな令嬢が、双子と接触している。まぁ、リリアーベルから接触したから、今は様子見だけどね。アレにどんな思惑があるのか気になるだろう。」


 セドリック殿下は、今回の対決が決まった時から、リリアーベル嬢に護衛を、そして、二人の動向を影に見張らせていた。

 その中で、クランネート伯爵令嬢の言動や、誰がどう動くか見張っていた。

 だから知っていたのだ。クランネート伯爵令嬢の剣が折られたのは自作自演で、自分に疑いが向かないための策だということ。リリアーベル嬢の剣を入れ換えたのが誰なのかも。

 そして、それを考え実行したのが、コルトブル男爵令嬢だということも。

 剣を入れ換えたことで、リリアーベル嬢が怪我をしたと聞いた。自業自得だと、優しい彼女は、恥ずかしそうに笑っていたが、一歩間違えば大怪我に繋がった。


「殿下は、コルトブル男爵令嬢が、何かしらの悪意を持って、双子に近づいたと思われるのですか?」


 殿下が、執務机に両肘ついて、組んだ手に顎を乗せ、小首を傾げる。


「今のところは何も言えないかな。何故だか、リリアーベルは、彼女が自分の味方で、票を入れたのも彼女だと気付いている。その上で、友人になりたいと願ってるようだ。ああ、もう友人になって、明後日ゴルドリッチ家のタウンハウスにお呼ばれしたみたいだよ。リリアーベルのことだから、花祭りに彼女も誘うかもしれないね。ということで、私たちも友人だし、一緒に参加したいよね。ビアトリス嬢には、手紙で事情を説明して、協力してもらおうか。」


 事情は理解した。コルトブル男爵令嬢の思惑を知り、必要あれば企みを暴くこと。そのための花祭りか。


「折角の休日に、働かされるのは面白くないが、友人のためなら仕方ないな。俺の魔法が必要になるかもしれないし、予定は空けといてやるよ。」


「アハハ、期待してるよオリヴァー。それから、エリオットもよろしくね。」


「承知しました。」




 ――花祭り2日目。


 ビアトリス嬢からの情報を元に、待ち合わせ場所である時計台で、リリアーベル達と無事に合流できた。




♢♢♢♢♢♢♢♢



 祭りの通りは、思ったよりも人が多く、油断すると迷子になりそうだ。

 特に、背の低いリリアーベル嬢は、人に紛れるとすぐに見失いそうだ。


 ユーリアスが、必死にリリアーベル嬢の手を繋ぎ、離れないように気を付けているが、問題は、アレだな。


 歩きだしてから、コルトブル男爵令嬢が、直ぐに躓いて体を密着させてくる。

 何も無いところでも躓くので、正直煩わしい。体が密着する度に、「すみません」と何度も謝るが、そんなに歩くのが苦手なら''帰れ''と言いたくなる。

 終いには、端っこを歩くと宣言して、人混みに紛れユーリアスに連れ戻されていた。

 その間、リリアーベル嬢は、ユーリアスから離れ無防備になる。


「コルトブル男爵令嬢は、人混みに慣れてないようだから、誰かエスコートしてあげたらどうかな?」


 リリアーベル嬢のことを考えて、セドリック殿下が、そう告げる。

 一斉にユーリアスに視線が集まる。ユーリアスは、不本意のようだが、リリアーベル嬢をコルトブル男爵令嬢から離すためには、ユーリアスに犠牲になって貰うしかない。


 その後も、不審な事が続く。引ったくりがコルトブル男爵令嬢に体当たりし、隣に居たユーリアスが彼女を庇い事なきを得た。

 しかし、この時、もしもユーリアスが上手く支えられなければ、倒れた彼女が、店の横の積まれた荷物に体当たりして、我々は大怪我をしていたかもしれない。

 

 疑いの目で見ているから、何もかもが怪しく見えるだけかもしれないが、コルトブル男爵令嬢の仕草や態度には違和感があった。

 

 そして、それが疑いから確信に変わったのが、カフェでの出来事だ。


 緊張で慌てての行動のように見えるが、明らかに、わざと足を机にぶつけ、リリアーベル嬢の方にパフェを倒した。

 その後も、何か不自然にお茶がリリアーベル嬢へと飛び散った。

 お茶もそうだが、パフェの倒れ方も少し不自然で、リリアーベル嬢だけに綺麗に中身が零れ服が汚れていた。


 この現象に疑問を抱き、少し考え込んでしまったのが、いけなかった。


 着替えるために、リリアーベル嬢は一人で向かいのお店に走って行ってしまった。

 一応、護衛がついて行ったようなので、その場で待つことにするが、一向に戻ってこない。

 この状況、以前似たような事があったなと思い出す。

 入学式の日。確か、リリアーベル嬢は、酷い方向音痴で、教室に戻れなくなっていた。

 あの時は、真っ直ぐに廊下を戻るだけだったのに、迷子になったのだったか…。


 まさかな。今回は目と鼻の先、迷う方が難しい。


「俺、ちょっと様子見てくる。」


 ユーリアスが居ても経っても居られず立ち上がる。

 その時だった。血相を変えた護衛が店内に戻ってきた。


「ユーリアス様、申し訳ございません。リリアーベル様を見失いました。」


 その場のみんなの表情が一瞬で凍りつき、誰もが不安と後悔で心が荒れるなか、コルトブル男爵令嬢だけが、俯きながらニヤリと笑っていた。



いつも読んでいただき、ありがとうございます。

次も、エリオット視点続きます。

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