天使と赤ちゃんの組み合わせは最強。
今日から5日間の連休。
前世で言うところの、ゴールデンウィークにあたる。この期間は、学園も仕事も基本的には休みになる。
この世界では、花祭りと呼ばれ、連休の中三日を通して、国中で祭りが行われる。
貴族も平民も関係なく参加でき、春を祝い、家族や恋人や友人など、大切な人たちの健康や幸せを願う祭りだ。
今日は、連休初日なので、花祭りの準備中。明日からの祭りに向け、大通りでは屋台や露店の準備に、騎士団も治安維持の為に、警備の確認に余念がない。
そんな中、俺とリリは魔動車に乗り、リック兄様の屋敷へと移動中。
「生まれたばかりの赤ちゃんって、どんな感じかな。きっと可愛いよね。楽しみだね、ユーリ。」
「そうだね。でも、生まれたばかりの赤ちゃんは初めてだから、少しだけ緊張するな。」
約1ヶ月前、リック兄様に娘が生まれた。奥さんの体調も良好ということで、この機会に赤ちゃんに会いに行くことになった。
昨日までの、対決やヒロイン(仮)のことは一旦忘れて、今日は赤ちゃんと天使に癒してもらう予定だ。
♢♢♢♢♢♢
「可愛い双子たち、いらっしゃい。今日は娘のために来てくれてありがとう。」
リック兄様が、いつもの調子で俺達を出迎えてくれる。
リック兄様は、三年前に5歳下の令嬢と恋愛結婚をした。
ビッガートルのお祖父様が持っていた子爵位を譲り受けたが、今までの功績から、3年前に侯爵へ叙爵し、それを機に結婚した。今はアルトル侯爵だ。
「リック兄様、今日はお招きありがとうございます。忙しい時に来ちゃってごめんなさい。奥様の体調はどう?」
「カリナは産後の回復も良くてね。毎日子育てを楽しんでいるよ。うちの娘はお利口さんでね。余り手が掛からなくて、良く寝てくれるから、育てやすい子だと思うよ。それに、世界一可愛い。もうね、可愛すぎて困っちゃうよ。」
リック兄様が、デレている。娘を溺愛しているとは聞いていたが、ずっと頬が緩みっぱなしだ。
「リック兄様が、そんな顔をするなんてね。幸せいっぱいって感じだね。」
昔から俺たち双子の味方で、頼りになる叔父の幸せそうな顔に、俺も嬉しくて自然と笑顔が溢れる。
「勿論幸せだよ。愛する人と結ばれて、可愛い娘も生まれて、守るべきものが増えたけれど、それがとても幸せだ。ユーリも結婚したら、きっと分かるよ。」
今は、リリよりも大事なものなんて、想像できない。
そんな俺でも、いつかは、リリより大事に想える人ができるのかな。 その人と結婚して、子供ができる?……全くイメージ出来ない。
俺も嫡男だから、いずれ家を継ぐなら結婚する必要があるけれど、リリを大事にしてくれる人じゃないと嫌だな。
そう思う時点で、やっぱり俺には、リリが一番大事だ。
「うわぁ…可愛い。小さい。ルルーチカちゃん、私は従姉のリリアーベルよ。よろしくね。」
「フフ、リリアーベルさん、良かったら抱っこしてみる?」
カリナ様は、リック兄様の奥さんだ。優しい穏やかな人で、リック兄様を影ながら支えてくれる、しっかり者でもある。
「えっ、いいんですか。ぜひ、抱っこしたいです。でも、どうしよう、どうしたらいいの。ちょっと怖いわ…。ひゃぁ…ルルーチカちゃん、失礼しますね。お姉さんが抱っこしますよ。」
カリナ様から、恐る恐るルルーチカちゃんを受け取り抱っこする。
「わぁぁ、柔らかくていい匂いがする。ユーリ見て、とても可愛いよ。」
緊張しなからも赤ちゃんを抱くリリが可愛い。天使だ。
やっぱり天使と赤ちゃんの組み合わせは、可愛いが過ぎる。最高だ。癒される。
余りの可愛さに目が離せない。カメラがあれば、全ての可愛いを残しておけるのに。
今度、魔法研究所で作れないか、聞いてみよう。
「本当に可愛いね。ほっぺが柔らかっ、手も小さい。わっ、指を握ってくれた。」
小さなルルーチカちゃんの手が、俺の指を掴んで離さない。意外と力強くて驚いた。
カリナ様の水色の髪色と同じだけど、顔立ちはリック兄様にそっくりで、小さいリック兄様みたいで、ちょっと笑ってしまった。
「可愛すぎて連れて帰りたい。リック兄様、ルルーチカちゃん連れて帰っていい?」
「絶対に駄目。カリナとルルーチカは、俺の大事な宝だから、誰にも渡さないよ。」
さらっと奥さんの事も宝だと言い切るリック兄様に、カリナ様の顔がうっすら赤く染まる。本当に仲良し夫婦だ。
「そっか。残念。」
リリがそんな二人を見て、嬉しそうに笑う。両親の幸せな雰囲気に、抱っこされてるルルーチカちゃんも何だか嬉しそうに見えた。
久しぶりに、リリの可愛さを思う存分堪能して、赤ちゃんと天使の癒しを受け、たっぷりと元気を貰ってから、その日は帰宅した。
ここ数日のストレスが半端なかったので、今日は穏やかで幸せな1日に感謝。
明日からは、花祭り。家族や友人、恋人と過ごす大事なイベント。
今年もリリとゆっくり楽しむ予定だったのに、邪魔者が多すぎて、ほんと辟易するよ。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。次も読んでもらえたら嬉しいです。
次話は、明日の夜に投稿予定です。
よろしくお願いします。




