新入生歓迎会 ①
ヒロインが、見つからない。あの日以降、ずっと探しているのに、何処にもいない。。
ピンク髪だから、目立ってすぐに見つかると思っていたが、これだけ探して見つからないなんて…。
もしかして、俺が探してるのを知って逃げてる?理由は分からないが、そうとしか思えない。でも、逃げ回っても絶対に、何処の誰か見つけだし、リリに危害を加えるようなら容赦しない。
♢♢♢♢♢♢
「ねえ、ユーリ。明日から、新入生歓迎会の日だけれど、ユーリは大丈夫?」
「…?大丈夫だよ。新入生は、ただ見学するだけだろう。先輩達の剣術や魔法なんて、日頃見ることがないから楽しみだな。」
「……それなら、いいけど。あの、歓迎会の間は、私とリヒトから絶対に離れないでね。ベルとルミナもいるから、絶対に一人になったら駄目よ。わかった?絶対だからね!」
リリが心配そうな顔で話しかけてくるから何事かと思えば、自分から離れないように念押しされた。
リリは、人が多いのが苦手だから緊張しているのかもしれないな。心配しなくても、俺はリリから離れる気はない。
ヒロインがいるのに、リリを一人にして何かあれば、俺は冷静ではいられなくなる。
「リリから絶対に離れないから安心して。リリの事は、俺がちゃんと守るから大丈夫だよ。不安ならいつものように手を繋げば平気だろう。」
安心させようと思って、笑顔でリリの手を握る。それなのに、何故かリリの表情が、更に不安そうな顔になる。
「私のことはいいの。ユーリは自分の事を優先して。絶対よ。………今度こそ、お姉ちゃんが守るわ。」
最後の方は声が小さくて聞こえなかった。何かリリが不安に思うことがあるのだろうか。
リリの不安は一大事だ。リリが安心して学園に通えるよう心配ごとは排除しないと…。
取りあえず、明日はリリの傍から離れないようにしよう。
新入生歓迎会は、2日間に渡って行われる。普段は、学年別に授業を受けるため、先輩達と会う機会は殆ど無い。
しかし、この新入生歓迎会の時だけは、各学科の先輩達と交流することができる。
新入生が安心して学園生活を過ごせるように、各学科の先輩達が、授業の成果を発表しながら、学科の特徴や内容を分かりやすく説明する。また、新入生の疑問や不安などを相談出来るようにもなっている。
基本的に、新入生は自由に見学することが出来る為、自分の選択以外の学科も見ることが可能だ。
そして、明日は騎士科と魔法科の催しが行われる予定である。
俺は騎士科を、リリは魔法科を選択している為、明日は二つとも見学予定だ。
騎士科は男ばかりだから、本当はリリを連れて行きたくはないが、不安がっているリリと離れることは出来ない。
リリを守る会のメンバーと、仕方ないからリヒトも加えて、リリを全力で守りきる。
そう思って気合いを入れていると、前方からベルとルミナが歩いてくる。
「あっ、ユーリ見つけたわ。何だかリリが貴方のことで心配があるみたいで、明日は貴方を守るように言われたのだけど、明日は何かあるの?」
ルミナとベルが、俺を見つけて明日の事を尋ねてきた。
「明日は、新入生歓迎会があるけど、リリが俺を守るように言ってたの?」
「とても、心配そうにしていたわよ。あんなリリは見たことがないわ。」
「我も、リリに同じように言われてな。その新入生歓迎会は、危険なものなのか?」
ベルが、険しい顔をして警戒するように俺を見る。
「いや、歓迎会だから、先輩達が新入生を持て成すだけだよ。危険なことはない筈だけど、リリは何が心配なんだろう。」
リリの様子に、訳が分からず俺も困ってしまう。
「一応、俺は男だし自分の身は守れるから、二人はリリの事をお願い。明日は騎士科の見学で男ばかりの場所に行くんだ。天使のリリに男共が近づいてきたら排除出来るように頼んだよ。」
「分かったわ。いつも通りリリを優先でいいわけね?」
「もちろんだよ。リリを守る会の二人には期待しているよ。明日はよろしくね。」
リリの様子が気になるけれど、学園の中だし、今年は王子が新入生として在籍している。そのため警備も厳重だと聞いた。滅多なことは起きないだろう。
一応、リリが不安に思うことがないように、俺自身の事も気をつけておくか。
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次は、火曜日の夜に投稿予定です。よろしくお願いします。




