可愛い姉はお姉さんと思われたい ①
最近、可愛い姉の機嫌が非常に悪い。
入学式から数日経ったが、未だにリリが初等部の生徒だと思っている人がいるからだ。
すれ違い様に、別のクラスの人がヒソヒソと話しているのを聞いて、毎回少しずつ不機嫌が積み重なり、帰る頃には口も聞いてくれなくなる。
僕たち双子は、Sクラスという特別クラスに在籍しているので、他のクラスとはあまり接点がない。噂を否定するにも、他クラスに知り合いがいないので、なかなか難しい。
そもそも、王立学園に入学出来るのは、4月の入学時点で15歳を過ぎている貴族の令息令嬢だけだ。
前世で言う高校生と同じで、16歳~18歳の三年間通う義務がある。
前世は、小中学校が義務教育だったが、この世界では逆だ。
初等部と中等部もあるが、義務ではないので、高位貴族の子供達は家庭教師に教わることが多い。金銭的に難しい家が、初等部や中等部に通うことが多い。
だから、リリが新入生として入学出来ているなら15歳を過ぎていると分かる筈なのに、見た目が可愛すぎて、みんな簡単な事が分からなくなっている。飛び級制度も勿論ない。
因みに、王立学園では成績順でクラスを決める。特別クラスのSクラスは今年は10名、あとは一般のA~Dクラスとなる。
Sクラスと一般クラスとは、授業内容が違うため、休憩時間や登下校時にしか会う機会がない。噂を否定することが出来なくて、リリを見るたびに生徒達がざわつくのが、最近のリリのストレスになっている。
「リリ、今日も放課後は魔法塔に行くだろう。俺は騎士団に顔を出してくるから、そのまま魔法塔で待っててくれる?」
リリの機嫌を直すには魔法が一番。ここ最近は、帰りも塔に寄ってから帰るようにしている。
「わかったわ。今日は、一つ実験したい事があるから、時間が掛かると思うの。ユーリもゆっくり訓練して来ていいわよ。」
「また、新しい魔法?」
「そうよ。殴っても燃やしても何しても、傷一つ付かない永遠に攻撃できる人形を作る予定なの。騎士の訓練用にも使えるから完成したらユーリにも貸してあげる。」
「…ハハ…、凄い物が出来そうだね…。」
ストレスが限界を超えて、リリの考えることが怖い。
不適に笑うリリが、他にヤバい魔法を発明しないように、それとなくリック兄様に伝えておかないと。




