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最高に可愛い童顔令嬢は、最強の守護者達に守られている  作者: 文月みい


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24/66

魔族がやって来た



 ある昼食後の穏やかな時間。僕は、部屋のソファーに座ってウトウトと微睡んでいた。


 ドッカ―――ン!!!!


 突然何か爆発するような大きな音と、建物が一瞬大きく揺れた。

 何事かと、立ち上がり外を確認するが、特に異常は見られない。音の原因は、近くで起こってはいないようだ。


「ユーリアス様、ご無事ですか!?」


「僕は大丈夫だよ。リリやお母様や、みんなは無事なの?いったい何があったの?」


 直ぐに、セバスが安否確認で部屋を訪れたので、何があったのか確認する。


「奥様もリリアーベル様も無事です。使用人達は各々確認中ですので安心して下さい。ただ、爆発音については、我々にも分からないのです。外を確認する限り、音の原因は王都周辺ではないようです。もしかしたら海岸沿いかもしれません。」


 海岸沿いって事は、かなり離れている場所だ。それなのに、こんなに爆発音が響くなんて、何が起こったのか分からず不安になる。


 結局、その後は何事もなく、爆発についての情報もないまま時間だけが過ぎていった。


 そして夕方、お父様が帰宅すると爆発の原因を知ることが出来た。


「ただいま。みんな無事だったかい?昼間の爆発音には驚いただろう。港の方でちょっと事故があってね。でも、今のところは大丈夫だから安心してくれ。」


 お父様は、帰ってきて直ぐに、みんなが無事か確認して、何事もなかったのを知ると安心したように胸を撫で下ろした。


「お帰りなさい。テオも無事で良かったわ。」


 お母様もお父様の顔を見て安堵する。


「帰ってきたばかりだが、また直ぐに王宮に戻らないといけないんだ。すまないティナ。実は、しばらく王宮に泊まり込みになる。」


「まぁ、そうなんですか。分かりました。屋敷の事は私にお任せ下さい。貴方はお仕事に集中なさって。お仕事が何事もなく無事に終わるよう祈っています。」

 

 お父様とお母様が二人抱き合う。


「お父様、早く帰れるようにリリも願ってます。」


「僕も、お仕事が無事に終わるように祈っているね。」


 リリと僕もお父様にギュッと抱きつく。頭上からお父様の小さく笑う声が聞こえたと思ったら、二人一緒にお父様に抱き締められた。


「ありがとう二人とも。今のところ護衛の任務だから危険はないよ。この国が危険になることはないと思うから安心するんだ。きっと大丈夫だよ。」

 

 最後の大丈夫には力が入っていて、お父様の思いが込められている気がした。

 お父様の話し方からすると、今のところは危険はないけど、先の事は分からないのかもしれない。

 少し、不安に思いながらも、お父様が安心して仕事に向かえるように、僕達は笑顔で見送った。




 翌日、伝えられた情報は、隣国の魔族の国から使者が訪れたこと。そして、あの爆発音は、使者の一人が自分たちが来たことを知らせるために、魔法をぶっ放して港の一部を破壊した音だった。なんて物騒な!

 そこまでするのかと驚きだが、魔族だから、ちょっと乱暴な種族なのだろうか。

 

 そもそも今回の来訪も予定外のことで、突然やって来たらしい。来訪の理由は公表されていないが、港を破壊する暴挙に友好的なのか不安になる。

 

 お父様は、護衛任務だと言っていたけど危険がないのか心配だ。もし、悪い方向に話が進むと…まさか戦争なんて事はないよな。


 乙女ゲームや恋愛小説に、戦争なんて物騒なことは起こらないと思いたい。ラブラブ、イチャイチャなイベントが恋愛ものの常識だよな。そうだ、絶対。

 生まれて初めて、この世界が乙女ゲームの世界であって欲しいと思った。



♢♢♢♢♢♢


 あれから数日、お父様は本当に帰ってこなかった。リック兄様も王宮に詰めているらしい。

 近衛騎士団だけでなく、魔法師団まで詰めているとなると、何かあったとしか思えない。 


 一応、魔族の使者は、初日に魔法をぶっ放してからは、特に何もせず過ごしているようだ。王都も特に混乱はない。一つ違うことは、街中に騎士の姿が多くなったことくらい。何をするでもなく街中を巡回しているようだ。


 お父様やリック兄様の事は心配だが、僕には何も出来ない。前世の記憶を持っていても、ただの大学生の記憶で、頭が良かった訳でもないし、政治の事も何も分からない。特別な能力もないんだから、転生者ってだけで意味がない。せめて、もっと大きかったら役に立てたかも知れないのに、もうすぐ10才の子供には何も力がないんだよな。

 

「ユーリ、どうしたの?元気ないね。お父様と会えなくて寂しいの?」


 僕が一人で落ち込んでいると、リリが声をかけてきた。


「まあね。寂しいと言うか、早く無事な姿が見たいなって。僕も大人だったらお父様の側で手伝うことが出来るのに、早く大人になりたいよ。」


「そうね。お父様が早く帰ってこられるように支えられたらいいわよね。でもねユーリ、私たちが出来ることもあるわよ。お母様が元気でお家を守れるように、私達で支えるの。お父様はお母様が大好きだから、お母様が無事でいることが分かれば安心して仕事に集中出来るわ。大事なのは、お父様が無事に帰ってきてくれることでしょう。その為に私達でお母様を支えましょう。」


 リリが、僕に向かって手を伸ばす。8歳を過ぎた辺りから、リリは魔力過多の影響で成長がゆっくりになった。その為、今では僕の方が少しだけ身長が高い。

 ズイッと背伸びをして、伸ばした手で僕の頭を撫でる。その姿が可愛くて、落ち込んでた気持ちが軽くなった。


「ありがとうリリ。元気が出てきたよ。そうだね。子供の僕でもお父様の為に出来ることはあるよね。お父様の心の平穏のためにお母様を守ろう。」


 背伸びを止めた分、小さくなったリリが、僕の左手を引いて歩き出す。


「元気になってよかった。それなら一緒に魔法の訓練に付き合って。それから、お庭の花の手入れも一緒に手伝って欲しいの。」


 リリの花壇が庭の一角にあって、そこでは魔法でいろんな植物や薬草を咲かせる研究をしている。リック兄様がいないから、リリも一人で寂しかったんだな。


「分かった。一緒に付き合うよ。先に花壇から行こうか。」


「うん。そうする。今は青い花を咲かせる研究中でね。ヒマワリを植えているの。青いヒマワリ見てみたいでしょ?」


 青いヒマワリなんて斬新だな。薔薇の研究とかじゃないんだ。さすがリリ。

 久しぶりにリリの花壇の手伝いに、僕も楽しくなってきて、二人とも自然に早足になる。


 すると、リリが急に足を止めて、屋敷を囲む塀の近くを指差した。


「あれ…なに?」


 花壇に向かってる途中、見つけたのは、塀の近くに横たわる…黒髪の子供だった。


ここまで、読んでいただき、ありがとうございます。

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