今日も変わらず平和だった。
僕たち双子は9歳になりました。
今日は、午前中にリック兄様が魔法指導のために、王宮から我が家へとやって来る。
「今日は、セドリック殿下も一緒だから、リック兄様は王宮に寄ってから来るんだよね。今日のお菓子は、なーにかなぁ。楽しみだな。」
セドリック殿下が一緒の日は、王宮料理人が作る極上のスイーツをお土産として必ず持参してくるので、リリはお土産を毎回楽しみにしている。今日も朝から楽しみすぎて、笑顔が止まらない。
あの小さなお茶会の日から数日後、本当に我が家へとセドリック殿下がやって来た。
初めは王族との接触に警戒していたが、セドリック殿下は、魔法にしか興味を持っていない。リリと一緒にいても会話の殆どが魔法に関することだ。しかも、リリよりもリック兄様の方に興味がある。
元々、実力で魔法師団副団長にまで登り詰めたリック兄様に憧れていたようで、リリがリック兄様に指導してもらってると知り、殿下も条件付きで許可してもらった。
その条件が、王宮の料理人が作る極上のスイーツを持ってくることだ。
リリは最初、セドリック殿下が魔法の授業に参加することに否定的だった。リック兄様との時間を邪魔されるのが嫌だったみたい。
でも、諦めきれないセドリック殿下が、リリの甘いもの好きを利用して、リック兄様との授業に参加する権利を勝ち取った。
あれから4年余り、週に2日は、我が家でリック兄様が魔法指導をするが、月に3日はセドリック殿下も一緒に行っている。
「やあ、ご機嫌はいかがかな?君たちの頼りになるリック兄さんが来たよ。」
「「いらっしゃい、リック兄様。」」
「セドリック殿下もごきげんよう。今日も練習試合は絶対に負けませんよ。リック兄様の愛弟子として負けるわけにはいきませんからね。」
リリが挑発するように、セドリック殿下を見て不適に笑う。
「こんにちは、リリアーベル。今日こそは私が勝って見せるから覚悟して。ヘンリック様の弟子として、私も何時までも負け続けるわけにはいかないからね。」
「ハハ、相変わらす俺はモテるな。二人ともどんな試合になるか楽しみだな。」
うん、全く恋愛的なドキドキや、キュンキュンする会話も雰囲気もない。二人の間にあるのは、リック兄様を敬愛する気持ちだけ。
4年前、警戒していた自分が馬鹿みたいに思えてくる。リリを守る会のあの微妙な初任務のせいで、しばらく僕もベルもルミナも落ち込んで、お互いにギクシャクしていたのは何だったのか。
今では、ベルもルミナもセドリック殿下は無害だと分かり、警戒を解いて仲良くしている。僕も、セドリック殿下を敵視するのは馬鹿らしく思って止めた。
それに、もう一つ警戒を止めた理由が、ビアトリス公爵令嬢がセドリック殿下の婚約者に決まったからだ。
二人が婚約者同士になったことで、リリが王子様ルートの悪役令嬢になることはない。
それに、ビアトリス公爵令嬢は、リリと友人関係で、今では二人は親友と呼べる関係だ。交友関係が増えて、リリも毎日楽しそうで、僕も素直に嬉しい。
それにもし、リリに何かあっても、王子と公爵令嬢が味方になってくれると思うと心強い。それくらい、二人ともリリとは仲良しだ。
そして僕自身も、友人が増えた。あのお茶会に参加していた、魔法師団団長の息子オリヴァーと、宰相の息子エリオットだ。
オリヴァーには、同じく父親を師団長として持つ者として、興味を持たれたらしく何かと接触を図ってくる。
エリオットとは、本好き仲間として、よく読んだ本の感想を言い合ったり、勉強のことも相談しやすくて、話してても楽だ。
攻略対象として、この二人も警戒をしていたが、リリがいても二人の興味はリリに向かない。だから、この二人に関しても早々に警戒を解いた。
ここまで、全くリリの恋愛要素がゼロに等しいが、このままで良いのだろうかと逆に不安になってくる。子供だから、こんなものなのか?リリの興味は魔法とスイーツのみ。
誰か好きな人はいないのか聞いても、「ユーリとお父様とお母様が好きよ。」と変わらず嬉しいことを言ってくれる。
これが、「○○○が好き」になる日が来るのは恐怖だが、恋愛物語の登場人物として今のままでいいのか疑問もある。
ただ一つ言えることは、リリの周りは、守る会のメンバー初め、高位貴族や王族と守る側の力が半端なく、素晴らしく強固になっていく。
これが、リリの魅力なのだろう。可愛い顔で素敵な笑顔。優しく純粋なリリの人柄を知れば、一緒に居るのが心地よい。
学園入学まで、あと7年。このままいけば、リリが不利になるようなことはなさそうだ。
もう、何が来ても恐いものはない。今なら隕石が落ちてきても対処出来るくらい守りは万全。何でもこいだ!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。




