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最高に可愛い童顔令嬢は、最強の守護者達に守られている  作者: 文月みい


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断れない招待



 昼過ぎに、お母様から「お茶をしましょう」と、庭園に誘われた。


 ガゼボに向かうと、既にお茶菓子が準備されていて、珍しくお父様まで居る。

 不思議に思いながらも、久しぶりの家族揃ってのティータイムに、嬉しさの方が勝って、僕は浮かれていた。

 みんなが揃うと、メイド達がお茶の用意を始め、一気に紅茶のいい匂いが漂う。

 それぞれの前にティーカップが並べられ、一口飲むと、僕とリリが好きなオレンジの香りが広がる。午前中の訓練の疲れが一気に吹き飛ぶようだ。


「二人とも、最近はお勉強も頑張っているようね。リリは魔法の研究に、ユーリは剣の腕も上達したと聞いたわ。お勉強以外にも夢中になれるものがあるのは素敵なことね。」


 お母様が僕たち双子にそう言って微笑んだ。でも…何だろう。背中がゾクゾクする。


「君達二人は、本当に素晴らしい子に育ってくれて、お父様もお母様も嬉しいよ。リリは、体調の方はどうだい?魔力制御は難しくないかな?」


 お父様が、リリとリリの首に巻き付くルミナに問いかける。

 最近のルミナは、リリの首に巻き付くのがお気に入りだ。


「私が傍にいるのだから平気に決まってるでしょ。」


 ルミナが、フンと鼻をならす。


「そうね。ルミナが魔力を吸収してくれるから、だいぶ体は楽よ。最近また魔力が増えてきたんだけど、自分でも制御出来るように頑張ってるの。リック兄様にも褒められたのよ。」


 リリが天使の笑顔で胸を張る。誇らしげに言う顔が可愛すぎて、何百回でも褒めてあげたい。


「それは良かった。実はね、二人に相談と言うか、話があってね。」


 お父様が、そう言うと白い封筒を差し出した。この流れ…嫌な予感。


「これ、なあに?見てもいいの?」


「ああ、いいよ。」


 リリが受け取り、裏返すと見たくなかった紋章が目に入る。


「お父様、これは王家からのお手紙?」


 リリが、驚いてお父様を見た。


「そうだよ。小さなお茶会を開くから、君達に参加して欲しいと招待状が届いたんだ。」


 いつかは来るだろうと思っていたが、こんなに早く来るなんて…。

 僕たちは5歳になったばかり。正式なお茶会に参加するには早すぎる。


「お父様、僕たちは他家のお茶会に参加したことがないのに、いきなり王家のお茶会に参加するのは無理です。」


「お父様も、陛下にそう言ったんだけどね。第一王子殿下が、君達と同じ歳なんだよ。だから、気にするなって言われてね。招待状を押し付けられたんだよ。」


 気にするなって言われても、「はい、そうですか」って訳には、いかないだろう。何とか断れないのか。


「本当に面倒なこと。私の双子ちゃん達に会いたいのは分かりますけど、去年までの騒動で、他家のお子様との交流は、ゆっくりにと考えていたのに迷惑でしかないわ。やっぱり王都に帰ってくるのは早計だったわね。」


 お母様がお怒りだ。魔力が漏れ出てピリピリする。

 お父様は、お母様の最後の言葉に反応して、顔面蒼白で慌てている。


「ティナそんなこと言わないで。君達が居なかったら私は生きていけないよ。お願いだから、また領地に帰るなんて言わないよね。ずっと僕の傍にいるって約束だよ。」


 お母様の右手を両手で包み、傍にいてと懇願する。


「お母様、お父様が悪いわけじゃないでしょ。意地悪言ったらダメよ。」


 リリからの援護にお父様が涙を浮かべて感激している。

 普段は、しっかり頼れる立派な人なのに、お母様の事になると本当に残念な人になってしまう。こんな姿は、他の人には見せられないな。


 そのまま、本題から逸れていきそうなので、僕は招待状の事に話を戻す。


「んんっ…。招待状のこと、断ることは出来ないの?お母様の言うように騒動の事があったから、慎重に交流したいとか、リリの体調が不安だから参加は無理だと言えば、嘘にはならないよね?」


 僕の言葉に、お父様の背筋がピンと伸び、普段のしっかりした姿に戻った。


「実は、王宮である噂が広まっていてね。」


「…?ある噂って何?」


 リリが興味津々で食いついた。


 あっ…、待って、またまた嫌な予感。


「ゴルドリッチ家の双子は、美形なだけでなく、魔法や剣技に優れている天才で、精霊や高位の魔獣から好かれる規格外な双子だと言う噂だよ。」


 ルミナやベルのこと、もう知られているのか。当たり前か。精霊やフェンリルと契約なんて、王家に黙っていること出来ないよね。


「私たちのことが噂になってるの!フフ、どうしよう。ユーリ、恥ずかしいね。天才だって、それって褒められてる…よね?」


 照れ笑いしながらも、褒めて貰ったと、リリはなんだか嬉しそう。

 リリの単純で純粋なところが可愛くて好きだな。リリの顔を見ると、一気に力が抜ける。はぁ、癒される………。

 おっと、危ない。リリの可愛さに思考が停止しかけた。今は招待状のことに集中しなくちゃ。しっかりしろ、ユーリ!


 そこまで、噂になってるなら王家としては、噂の真偽を確かめたいってことかな。

 そして、事実なら王家に取り込もうと画策してくる可能性もある。


「王家が僕達に興味を持っているの?だから断れないの?他家の令嬢や令息も招待されているよね?僕は、令嬢が苦手です。あんな思いをするのは、もう嫌です。」


 お父様が一瞬、悲しそうな顔をした。事実、僕にとってアンナマリーは、リリに害を為す敵で、あれは思い出したくないほど嫌な記憶だ。


 お父様が、申し訳なさそうに頭を下げる。


「すまない、ユーリ。陛下は、リリの魔力が安定して体調が良好なことも、ユーリの騒動の事も知っている上で、招待しているんだ。だから、今回は断れなかったんだ。」


「わざわざ、我が家の情報を集めて、断れない状況を作って招待状を送って来るなんて、本当に面倒ね。」


 お母様の怒りに、ルミナが「ピッ!…ピッ!」と、怯えている。


「今回のお茶会に呼ばれて居るのは、公爵家と侯爵家の王子殿下と同じ歳の子だけなんだ。ユーリの事情にも配慮して、きちんとした令息令嬢が集められているんだよ。」


 こちらが理由を付けて断るのを見越して、王家も先に対応してきたのか。


「リリは?リリは他の子とお茶会に参加するのは、嫌じゃない?」


 僕は断りたいけど、リリはどう思うか聞いてみる。


「私も恐いけど、ユーリ達が居てくれるなら頑張るよ。」


 どうせいつかは関わるなら、今のうちに王家と対峙するのも悪くないかもしれない。


「リリがいいなら、僕も参加します。その代わり、条件があります。お茶会には、大人が付き添いますよね?」


「私が一緒に参加するわ。」


 お母様が、いい笑顔で参加する事を告げる。


「お母様が一緒なら心強いです。でも、それだけじゃなくて、ルミナとベルも一緒に参加させて下さい。そして、常に僕とリリは一緒に行動し、彼らを傍に付かせること。それが条件です。」


「分かったよ。可愛い君達を守るのは親の役目だ。必ず条件を飲ませるよ。」


 リリを守る会のメンバーである、ルミナとベルが居れば、何か起きても安心だ。

 一応、二人には、やり過ぎないようにだけ注意しておかないとな。


 小さなお茶会には、他家の子供達が集まる。ここはチャンスと捉えて、リリの敵になる者が居ないか確認してやる。



ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


明日も20時~21時の投稿予定です。


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