いつの間にか最強の守りが出来てました
僕たち双子は、5歳になり本格的に家庭教師を付けての勉強が始まった。
まぁ、僕は3歳から家庭教師を付けて貰っているので、普段と変わらない。
リリは、魔法以外の学習が始まり少し大変そうだ。机にじっとしているのが耐えられないみたい。
魔法についてなら、何時間でも机に齧り付き、魔法書を読み漁り、時間を忘れて研究に没頭しているのにな。
リック兄様の教育のお陰で、すっかり魔法バカに成長してしまった。日々、新しい魔法を作ることに夢中だ。
あまり目立つと王家に目を付けられて、リリが王子との婚約を望まれても困る。
万が一、この世界が恋愛小説や乙女ゲームの世界なら、王家との婚約なんて悲劇でしかない。
今のところ、両親は僕たち双子の婚約者については、本人の意思に任せる予定らしい。ちゃんと望んだ相手との婚約、結婚が出来るのは有難い。こういうところが、前世と感覚が一緒で良かったなと思う。
この世界が、もしかしたら物語かもしれないと思う理由の一つにそれもある。
この世界は、日本と似ているところが多い。勿論、全てが同じって訳ではないが、一年は365日で、曜日や時間の表記も一緒だ。
そして、恋愛に欠かせない行事のバレンタインにクリスマスがある。他にも、七夕祭りやひな祭りや花見なんて習慣もあるらしい。
乙女ゲームを盛り上げる為に、クリスマスなんて、最高のイベントじゃないか。あと日本のゲームだから、行事も合わせてると考えると、やっぱり乙女ゲームの可能性が高くなってくる。
たぶん、物語が開始するのは学園に入ってからとして、幼い時期は準備期間的な間になるのだろうか。
そうだとすると、考えたくなかったが、やっぱり僕は………。
何一つイベントを回避出来て無かったんじゃないか。ゔゔー、役立たずだった。
前世を思い出してから、あんなに張り切ってイベント候補を書き綴り、「これなら回避するのは簡単だ」なんて、自信たっぷりだったのに、何の役にも立ってなくて恥ずかしい。
アンナマリーから始まり、魔力過多症のこと、ルミナやベルとの契約について、普通の侯爵令嬢が経験するにしては、有り得ないことも多い。
既に、決められたシナリオに沿っているとしたら、イベントを回避出来ない時点で、リリの未来は……ああ、考えたくない。
一番良いのは、この世界が物語と何の関係もない世界で、僕がただ転生してきたってことだ。
それなら、乙女ゲームや恋愛小説の国外追放や断罪などの最悪な未来は起こらないだろう。正直、ゲームの世界だから成り立つ結末だからな。
でも、そうすると僕が前世を思い出した意味はなんだろう。何か役割があるから、前世を思い出したんじゃないのか。
そうだ、前世の親友が言っていた。
『物語だと幼い頃に悪役令嬢が前世の記憶を思い出して、性格が変わるんだよ。真面目だったり優しかったり、親しみやすくなって味方も増えて助けてくれるから、ハッピーエンドに繋がるんだよ。』
そうすると、僕の役割は…リリが真っ直ぐに天使のまま成長できる様に支えたらいいのかな?
振り返ってみれば、アンナマリーの誕生会の時は、最悪リリは引きこもり令嬢になってたかもしれない。4歳の誕生日の魔力暴走しかけた時も、ラスボスルートかと焦った。でも、僕の存在がリリを強くして、僕が愛情深くリリとの関わりを持つことで、リリは変わらず前向きな優しい女の子のまま成長出来ているのかもしれない。
そう考えると、ルミナやベルとの出会いは最強の仲間を得たことになって、回避しなくてよかったと思える。
そうだ。僕はこの世界にシナリオとかイベントが有っても知らないのだから、無理して全部回避しようとしなくて良いんじゃないか。
回避することが僕の役割ではなく、リリをそのままの優しい可愛い素敵な女の子のまま成長させることが、僕の役割なんだ。
そう思ったら、元気もやる気も出てきた。別に恥ずかしいなんて思わなくてもいいじゃん。
それと、リリを守る為の最強の仲間を作ること。
魔法が得意なお母様に、近衛騎士団団長の最強のお父様、最年少で魔法師団副団長になった実力者リック兄様、精霊のルミナに伝説上の魔獣フェンリル。勿論、僕だって剣の腕は負けないよ。リリを守れるくらい、もっともっと強くなる。
気付いたら、いつの間にか最強の守りが出来ているじゃないか。
これだけの守りがあれば、リリに降りかかる最悪は大抵、排除出来る筈だ。
みんな、リリの事が大好きだから絶対に協力してくれる。
目標は、王家や高位貴族の様な攻略対象者との望まない婚約阻止に、断罪、国外追放などのバッドエンド回避。
目標は初めから変わらない。目標達成の為の方法を変える。イベントを回避するのではなく、起こったときに最強の守護者達で全力でリリを守ること。
よし、僕の役割もわかったから、これからも遠慮しないで、どんどんリリを大切にしていく。リリが安心して天使のまま成長出来るように、守り抜いてみせる。
そう、決心した途端、今までで一番の拒否したい大きなイベントが起ころうとしていた。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
明日は、20時~21時頃に投稿予定です




