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最高に可愛い童顔令嬢は、最強の守護者達に守られている  作者: 文月みい


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犬?



「ベル、いい子ね。ちゃんと足を拭いてから、お家に入りましょうね。」


「うわふん。」


 我が家に帰ってきて1ヶ月。日課になったベルの散歩を終えて、リリが丁寧にベルの足を拭いてから屋敷の中に入る。



♢♢♢♢♢♢


 

 王都への帰り道、呪われた犬(仮)を助けて、リリの希望で連れ帰ってみたが、犬(仮)はなかなか目を覚まさず瀕死だった。


 呪いの事もあるため、急遽リック兄様が呼ばれ、犬(仮)の状態を見てもらう事になった。

 犬(仮)を見た兄様は、初め言葉を失って唖然とソレを見ていたが、その後犬(仮)とリリを交互に見て、突然笑いだした。


「アハハ、うそでしょ。ククッ…君って子は、本当に規格外だね。プッ…ハハ…精霊だけじゃなくて、こんな…フフ…大物を…なんて…フフ…面白い巡り合わせ…アハハ」


 いや、笑いすぎでしょ。何がそんなに可笑しいのか分からないけど、一つ分かったことは、この白銀の生き物が、犬じゃないってことだ。


 リック兄様が、この状況を楽しんでるから、危険はないと思うが、嫌な予感しかしない。

 結局、呪いはルミナが綺麗に祓って問題ないと言うことで、目覚めるのを待つことになった。何の動物か知りたかったのに、「目覚めてからのお楽しみ」と教えてくれなかった。


 お母様も呆れ顔でリック兄様を見ていたが、危険が無いことが分かると安心したのか、犬(仮)を家に置くことに賛成してくれた。これで、夫婦仲も元通り。よかったね。


 それからリリは、目覚めるまで毎日、甲斐甲斐しく世話をしていた。ずっと側に付いてるので、ルミナが嫉妬して僕に八つ当たりするくらいには、世話をしていた。

 そして5日後、犬(仮)が目を覚まし、正体が判明した。


「…。ここは、どこだ?お前は誰だ?」


 目覚めた犬(仮)は喋った。この時点で犬では無いと確証を得た。


「えぇー!わんちゃんが話した。これは、どう言うこと?わんちゃん話せるの?」


 はわわ、なんて純粋な心の持ち主なんだ。犬が話せると思ってるなんて可愛すぎる。

 心が綺麗だと、何でも直ぐに信じてしまうんだね。すぐに騙されないか心配になるよ。

 

 僕は純粋さの欠片もないから、犬(仮)が話した時点で、他の種族を想像したけれど、流石リリだ。これが、ただの人間と、天使との違いなんだ。


「お前は、バカなのか。話す犬がいるわけ無いだろう。我は犬ではない。あんな下等生物と一緒にするな!」


 リリをバカ呼ばわりしたな。即刻、出ていって貰おう。こんなヤツやっぱり助けるんじゃなかった。

 本当なら切り刻んで庭園の花の肥料にでもしてやりたいが、折角リリが助けた命だから、リリの善意を無駄にする事は出来ない。

 ルミナを見ると、ルミナも怒って「シャー」と威嚇していた。


「そうなのね。ごめんなさい。それじゃあ、貴方は誰なの?私はリリアーベルよ。よろしくね。」


 怒る様子もなく、可愛らしく微笑むリリに、犬(仮)も狼狽する。


「それは…その…我は、フェンリルだ。」


 フェンリル?今、フェンリルって言った?本当に居たの?伝説上の生き物で、誰も見たことがないって噂のあのフェンリル?


「えっ!すみません。ちょっといいですか?フェンリルって、あのフェンリルさんですか?」


 僕は、驚き過ぎて犬(仮)に敬語で尋ねてしまった。


「あのフェンリルだ。何を言ってるんだお前は?他にフェンリルと呼ばれるものが居るわけ無いだろう」


 フェンリルが、呆れて僕を見る。


「リリも知ってるけど、フェンリルって伝説の生き物って聞いたよ?」


「人の前に姿を見せたのは久しぶりだからな。ちょっとヘマをして、呪いを受けてしまってな。気がついたら人の国まで来てしまったようだ。」


「そうなのね。あのね、呪いはこの子が祓ってくれたのよ。だから、もう大丈夫よ。」


 フェンリルが、ルミナに視線を移すと、ルミナは得意気な顔で、リリの頭でトグロを巻く。


「感謝してよね。私が祓わなかったら貴方は死んでいたのよ。」


「そうか、助かった。礼を言う。見たところお前は、光の精霊か?何故人と共に居るのだ?」


「私は、この子と契約しているのよ。私が貴方を助けたのは、リリの願いを聞いただけ。だから、リリにも感謝しなさいよね。」


 フェンリルが、一瞬目を見開いて、驚いた様な顔でリリを見た。


「リリアーベルと言ったか。お前にも感謝の礼を。助けてくれたお礼に何か願いはあるか?我に出来ることなら何でも叶えよう。」


 リリは、瞳をキラキラと輝かせてフェンリルに向かって躊躇なく、その願いを告げた。


「本当に!それじゃあ、ずっとここに居て欲しい。私ね、白いフワフワの大きな犬を飼うのが夢だったの。」


 いやいや、いくら可愛いリリの願いでも失礼になるのでは?

 それって…フェンリルに向かって、ペットになってとお願いしてる事になるんだけど、伝説級の魔物をペット呼ばわりして、怒られない?

 恐る恐るフェンリルの方を見てみると、目を丸くして固まっている。


「ぶっ…アハハ。リリ最高!白いフワフワの大きな犬って、確かにフェンリルも犬っぽいけど…プックク…」


 急に扉の方から笑い声がしたかと思ったら、リック兄様とお母様が部屋に入ってきた。


「ちょっと、ヘンリック笑いすぎよ。リリ、流石にフェンリルをペットと同じ扱いは失礼よ」


「あっ!ごめんなさい。わんちゃんの代わりにするなんてダメだよね。」


 しゅんと目に見えて分かる程、リリが肩を落として落胆する。


「……わ…我は構わないぞ。しばらくリリアーベルと一緒に居てやるくらい何でもない。」


 フェンリルが、リリの落胆ぶりに心苦しく思ったのか、ペットになることを受け入れた。うーん天使の力は、伝説級の魔物にも効果あるのか。


「えっ!いいの!本当に?やった!白いフワフワの大きな犬を飼う夢が叶ったわ。」


 リリは大喜びして、その後ろでは、リック兄様が大笑いしていた。


「フェンリルさんとは仲良くなりたいから、そうね、私の名前から取って、ベルって名前をあげるわ」


 その瞬間、ブワッと激しい風が巻き起こり、リリとフェンリルが光り輝いた。


「…はっ?リリ、名前付けちゃったの?嘘だろ。従魔契約しちゃったよ。」


 さっきまで大笑いしてたリック兄様から笑い声が消えて、呆気に取られている。お母様もすっかり頭を抱えてしまった。


「ベル…か。まぁ、良い名だな。我は気に入ったぞ。これからよろしくな。主様。」


「リリで良いよ。よろしくね。ベル」


「ちょっと、私が先に契約したんだからね。私が立場は上よ。ルミナさんと呼びなさいよね。」


 リリとベルと名付けられたフェンリルが抱き合う中、ルミナがフェンリルの頭をペシペシと尻尾で叩く。


 精霊と契約だけでも凄いことなのに、5歳にして伝説上のフェンリルと従魔契約してしまうなんて、僕の姉は常識から外れ過ぎてはないかな。

 えーと、これは…どう捉えたらいいんだろう。ちょっと色々、付いていけてないんだけどね。これも、何かのイベント…なの?


 つまり…何?どうなってる?


 一体、リリはどこに向かっているんだぁぁ!

 


最後まで読んでいただきありがとうございます。


明日は20時~21時頃に投稿予定です。

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