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最高に可愛い童顔令嬢は、最強の守護者達に守られている  作者: 文月みい


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何でも拾ってはいけません



 それは、王都への帰り道。

リリと僕は、窓から外を眺めながら、景色を楽しんでいた。


「待って!馬車を止めて!」


 突然、リリが大きな声で叫んだ。すぐさま馬車が停止する。


「突然どうした!…リリ?」


 お父様が、驚いて何事かとリリの方へと視線を向ける。


「何か…聞こえる…。」


 リリが、外の一点を見つめながら、耳を澄ます。


「あそこ…!あそこに何か…」


 リリが指差す方をじっと凝視すると、遠くの方だが、野原一面の緑の中に、黒い何かが動いているのが見えた。


「…苦しい…助けてって言ってる。」


 ルミナが、ニョロニョロと動いて、リリの首に巻き付いた。


「助けてあげなきゃ……ウインド」


 リリが、魔法で扉の鍵を開けて外に飛び出した。慌てて僕も後を追う。

 リリ一人で行って何かあれば、僕は後悔するだけじゃ済まない。死んで償うしかないが、それでも足りない。必ず、無事に連れ戻さないと駄目だ。


「あっ!おい!二人共どこに行く!」


 後ろからお父様の叫ぶ声が聞こえるが、今はリリの方が大事だ。


「リリ!待って!あまり近づいちゃ駄目だ」


 必死にリリの後を追っていくと、黒い靄に包まれた禍々しい何かがいた。


「この黒いのなんだ?生き物?リリ危ないから離れて。こっちに来て」


 僕は、リリの手を掴んで黒い何かから引き離す。


「ユーリ待って。この子が助けてって言ってるの。何とかしてあげなきゃ可哀想だよ。」


 黒い靄に近づこうとするリリを必死で止めていると、お父様の慌てた声が聞こえてきた。


「こら、二人共…勝手に飛び出したら危ないだろう。」

 

 振り向くとお父様と護衛の一人が息を切らして追いかけて来ていた。


「お父様、ごめんなさい!でもあの子が助けてって苦しそうなの。早く何とかしなくちゃ」


 黒い靄を指して、リリが助けを求めると、お父様が息を呑んで、一気に緊張したのがわかる。


「…っ、あれは…呪い?」


 黒い靄の何かが、お父様の声に反応して立ち上がった様に見えた。


「…ヴヴッー…」


 黒い靄は、威嚇するように唸り声をあげる。


「やだわぁー。めちゃくちゃ臭い。厄介な呪いをかけられてるわね。臭くて堪らないわ。」

 

 リリの首に巻き付いていたルミナが、嫌そうに顔を歪める。


「ルミナそんなこと言わないで。あの子は苦しんでいるのよ。私は助けてあげたいの。」


「リリはアレをどうにかしたいの?光の精霊である私なら呪いを祓えるわよ。やっちゃう?」


「呪いを祓えるの!凄いわルミナ。お願いあの子を助けて!」


 ルミナが、リリの頬にスリスリ頬擦りしながら蕩ける笑みを浮かべる。

 リリに頼られて嬉しいのは分かるけど、スキンシップが過ぎるのではないかな。少しばかりイラッとしながらも、ルミナの邪魔をしないようグッと我慢する。


「リリにも手伝って欲しいというか、魔力を少し頂戴…いくわよ。」


 リリとルミナの体が、眩く光り輝き辺りを照らす。すると、黒い靄が一気に飛び散り、消え去った。


 黒い何かが居た場所には、白銀の大きな動物が弱々しく立っていた。


「…はっ?…犬?」


 僕の声に、ピクッとリリの体が揺れる。


「…わ…わ…わ…わたし!このわんちゃんを連れて帰るわ!」


「…キューン…」


 目の前の、犬?らしき動物が、小さく鳴いて、そのままドサッと大きな音を立てて倒れた。


「えぇー!リリの一番は私でしょ!そんな野良犬放っておきなさいよ!」


「駄目よ。そのまま放置は出来ないわ。お父様、連れて帰っていいでしょ?リリのお願いです。お父様、ちゃんと大事にお世話します。だから、お願いです。」


 上目遣いでお父様に抱きつき懇願する。

僕たち双子の必殺技だ。お父様は、僕たちのキュルルンとした、可愛いお願いに弱い。


「…し…仕方ないな。呪いで弱ってるし、そのまま放置したら魔獣に襲われるかもしれないしな。元気になるまで面倒をみるならいいぞ。飼うかどうかは、お母様に相談しないと駄目だよ。」


「ありがとうお父様!大好き!」


 ああ、リリのお願い攻撃にすぐさま陥落。

お母様の反応が少し心配。お父様、頑張って!


 でも、こんなに簡単に得体が知れないヤツを連れ帰って大丈夫なのかな?呪われてたし…普通怖くない?


 何でもかんでも拾うのは止めた方がいいと思うが、案外うちの家族って適当なところあるよな。


 馬車に戻ると、心配そうなお母様が僕たちの姿を見て安堵していた。


 そして、大きな白銀の犬?の姿に、何かを悟ったのか、お父様に向ける視線が笑顔なのに少しばかり怖かったのは言うまでもない。

 ここまで、読んでいただきありがとうございます。


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