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魔力器官の治療法 ②



「リリ!ごめんなさい!呼び出しなんて無視して、リリの傍に付いていれば良かったわ。本当にごめんなさい。」


 翌朝、帰ってきたルミナは、前日にリリが魔力過多症で暴走しかけた事を知り、ひたすら謝り倒した。


 リリは、体調も戻って元気になっていたので、可愛い笑顔を見せつつ、謝るルミナを落ち着かせる為に、優しく頭を撫でてあげる。


「そんなに謝らなくていいのよルミナ。貴方も用があって離れたのだから、気にしないで。私も、魔力量の事を忘れて、自分で管理出来なかったのが悪いのよ。だから、ルミナは悪くないわ。」


 それなら、リリだって悪くないはずだ。魔力器官が傷ついてしまったのは、悪意がある誰かの所為だし、それで魔力制御が出来ないのだから、リリは悪くない。


「リリだって、悪くないだろう。昨日は、たまたまタイミングが悪かっただけだよ。二人とも悪くないんだから、リリが元気でいることを、まずは一緒に喜ぼう。」


 俺の言葉に、ルミナとリリが顔を見合わせて、笑顔になる。


「そうね。ユーリの言う通りだわ。リリが無事で良かったわ。」


「私も、元気になれて嬉しいわ。皆には本当に感謝ね。」


 ルミナがスルスルと動いて、リリの腕を素早く登り、首に巻き付いて頬に頭を擦り寄せる。


「リリが元気で、可愛い笑顔でいられることが、一番大事だよ。」


 俺の言葉に、ルミナが同意するように、チョロチョロと舌を出す。


 俺は、リリが自分を悪く思うのは嫌だし、とても悲しい。

 だから、リリがそんなことを思わないように、原因となる物は、即刻排除しなければならない。

 今日は、リリの体調が心配なので、予定を変更して、1日部屋で過ごすことにした。


 調べ物をするには、丁度良い。


 リリから離れるのは不安だが、リリがチェリーちゃんとタイガと過ごしている間に、俺は魔法についての文献を探すことにした。




♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢



「ユーリ、一人でどこに行くの?みんなにお土産を渡したいの。一緒に付いてきてくれないの?」


 リリの可愛い目が、いつも以上に垂れ下がり、俺を見上げる顔が庇護欲をそそる。

 リリが可愛すぎて、全て放り出して傍に付いててあげたいと思うが、その気持ちを、グッと抑える。


 今から、魔力器官の治療法を探そうと思い、資料室へ向かう途中だったのに、リリの誘惑に勝てるだろうか。


「うっ…リリ、その…ちょっと調べものがあってね。今じゃなきゃ駄目かな?後でなら、一緒に行けるよ。」


 リリの顔が、みるみる悲しげに変わり、そのまま下を向く。


「そうなのね。実は、みんなにお土産を渡そうと思って、集まるように声をかけてしまったの。ユーリ忙しいのね。それなら無理よね。ユーリも一緒が良かったな。」


 はぁぅぅぅ…。これは、行くしか選択肢はないのでは?


 昨日の事でリリも不安なのだろう。こういう時は、大体リリの甘えん坊な性格が全面に押し出されてくる。

 

 目尻を下げて悲しげな顔で、仕方ないと諦める素振りを見せつつ、その端々には自分を優先して欲しいという甘えが見え隠れする。


 あんなに甘えた可愛い顔で、一緒に来て欲しいと言われたら、「はい!」しか返事はないだろう。


「分かったよ。一緒にお土産を渡しに行こう。調べ物は、その後でも出来るから大丈夫だよ。」


 俺の言葉に、リリの表情がパッと喜びの花を咲かせる。甘えを見せる自分の態度と言動に、少し恥ずかしさも混じっているが、喜びと嬉しさで溢れている。


 俺の言葉が、リリをこんなにも喜ばせる事が出来るなんて、嬉しくて俺も笑顔が止まらない。

 リリの中での一番が、まだ俺であることに、優越感と喜びでいっぱいだ。


「フフ、ありがとう。ユーリと一緒が嬉しいわ。大好きユーリ。」


 そのまま俺に抱きついて、可愛い天使が幸せな言葉を口にする。


「俺も、リリと一緒の時間は何よりも大切だよ。可愛い姉様、大好きだよ。」


 久しぶりの甘えん坊なリリに、俺も嬉しくて、何でも願いを叶えてあげたくなる。

 いつも以上の可愛さと破壊力に、俺が勝てるわけなかった。


「いつもの事だけど、私は一体何を見せられているのかしら。」


 リリの首に巻き付いたルミナから、呆れた声が聞こえてくる。しかし、リリの可愛さの前では、それも関係ないことだ。


「ほら、みんなが待ってるんでしょう。さっさと行きましょう。」


 ルミナが尻尾をペシペシ振りながら、俺の胸を叩いてくる。


「そうだな。リリ行こうか。」


 リリの手を取り、みんなが待つ応接室へと向かう。

 リリの握る手にも力が入り、離れたくないと意志が感じられる。


「今日は、なるべくユーリと一緒にいるの。」


 みんなの待つ応接室へと向かう間も、ピッタリ寄り添い歩いていく。


「何だか、今日のリリは、いつも以上にユーリにベッタリね。」


 ルミナが可笑しそうに笑うが、リリはお構いなしで言葉を返す。


「今日は特別なの。たまには弟に甘えたい時もあるのよ。」


 俺なら毎日が特別でも全然良い。甘えん坊なリリは可愛いから、毎日見ていたい。

 

 でもきっと、心が元気になったら、また可愛くて強くて優しいリリに戻っていくだろう。

 

 そんなリリも、俺は可愛くて大好きだ。


 

 

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


 次回は、あの人が登場?

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