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魔力器官の治療法 ①



「もう大丈夫だ。体調も魔力も落ち着いている。」


 リヒトの声に安堵して、体から力が抜ける。足に力が入らず、その場で崩れ落ち膝をつく。


「リリは、感情に影響されやすい子だったな。みんなに会えて嬉しくて感情が大きく動いたことで魔力に影響したんだな。」


 お祖父様が、スヤスヤと眠るリリを見て安堵の表情を見せる。


「それにしても、魔力量が凄まじいな。身に付けていた魔道具でも足りないわけだ。念のため、暫くは魔道具も多めに着けていた方がいいだろう。こちらからも手配したから、明日には新しい魔道具が届くだろう。それまでは、交代で魔力吸収すれば大丈夫だ。ユーリも、良く頑張ったな。」


 レオナルド叔父様も、リリの姿に笑顔を見せ、俺を安心させるように、隣に寄り添い背中を擦ってくれる。


「みんな、ありがとう。俺ではリリを助けられなかった。本当にありがとうございます。」


 魔力量が少なくて、魔力の器も小さい俺では、何の役にも立てなかった。

 リヒトが気づいてくれて、お祖父様やレオナルド叔父様が居てくれたから、リリは助かったんだ。


「そんなことはない。ユーリアスが傍に居なかったら、リリアーベルだって耐えられなかった筈だ。お前が居たからリリアーベルは頑張れたし、ユーリアスを信じていたから、リリアーベルは助かったんだ。」


 リヒトが真剣な顔で言うものだから、本心から言っていることが分かり、俺の心が少し軽くなる。


「ありがとう、リヒト。お祖父様もレオナルド叔父様もありがとうございます。」


 みんなの優しさに、俺の心も落ち着きを取り戻し、改めて皆にお礼を伝える。


「二人が無事で良かったよ。リリは、もう少し寝かせてあげよう。ユーリとリヒト様は、先に夕食を済ませておいで。それまでは、リリの事は私が見ておこう。」


 レオナルド叔父様が、俺の手を取りゆっくりと立たせてくれる。

 

「だけど、レオナルド叔父様も帰ったばかりで疲れているでしょう。俺がリリを見てるから、みんなは先にどうぞ。夕食の時間も遅くなってしまってごめんなさい。」


 ここに残ると告げる俺に、レオナルド叔父様が優しく微笑む。その笑顔は、お祖母様にそっくりだった。


「チェリーとタイガが、君達との夕食を楽しみにしているんだ。父親としては可愛い子供達の望みを叶えてあげたいんだよ。だから、お願いだユーリ。ぜひ、私の願いを聞き入れてくれないかい?」


 レオナルド叔父様に、そこまで言われては断れない。優しい叔父の言葉に、不安で冷えた心が温かくなり、嬉しさでいっぱいになる。


「分かりました。俺もリリも、二人との夕食は楽しみにしてたので、リリの分も楽しんできます。リリもきっと、それを望むと思うから、どうかリリの事をしばらくお願いします。」


「ああ、叔父さんに任せて楽しんでおいで。」


 その言葉を後に、俺とリヒト、それからお祖父様は部屋を出る。


「ユーリ、心配しなくていい。リリの分は起きたら直ぐに食べられるように準備しておこう。体調の事があるから、何か食べやすいように消化の良いものがいいかな。」


 お祖父様が、リリの為に改めて食事を用意してくれるようだ。でも、多分リリなら、心配ないだろう。


「お祖父様、リリなら大丈夫です。食事は俺達と同じメニューにしてあげて。きっと、一人だけ違うメニューだとガッカリすると思う。それに、もしよければ、デザートを多めにしてあげて欲しいな。リリも頑張ったから、好きなものを食べさせてあげたいんだ。」


 頑張ったリリには、美味しいもので元気になってもらいたい。


「そうか、そうだな。リリの好きなフルーツタルトを用意してあるんだよ。沢山用意してあるから、好きなだけ食べられるぞ。ハハハ。」


 お祖父様は豪快に笑って、隣を歩く俺の頭をワシャワシャと撫でる。

 その撫でる手は、これまた豪快だけど、優しさが伝わってきた。


 食堂に着くと、心配そうな表情を浮かべる従妹弟とお祖母様にソフィア様が待っていた。

 リリの無事を聞いて、安心して泣き出すチェリーちゃんを慌てて宥めて、落ち着いたところで、遅めの夕食を済ませた。

 

 初日から、皆には心配をかけることになってしまった。

 リリの事だから、魔力さえ安定したら、明日には体調は戻っているだろう。

 だけど、また同じことが起きないか不安は残る。やはり、魔力器官を早く元通りに治したい。


 今回のビッガートル家への訪問は、魔力器官の治療についての情報収集も目的だ。

 リリが、また大好きな魔法を使えるように、前のように自分で魔力制御出来るように、必ずやり遂げて見せる。


 夕食後、リリの部屋に戻った俺は、可愛い寝顔の天使を見つめる。


(助かって良かった。)


 頬にそっと触れると、ちゃんと温かい。


 その温かさに生きていると実感してホッとする。 


「リリ、俺はリリが居ないと生きていけないよ。双子はいつも一緒だろう。リリが苦しいと俺も苦しいよ。だから、早く元気になって、いつもの笑顔を見せてリリ。」


 俺の言葉にリリが少し笑顔を浮かべる。


「…ハハ、俺の可愛い天使。可愛い姉様、また明日ね。おやすみなさい。」


 その日は、みんなが交代でリリの様子を見てくれたが、魔力はずっと安定していた。


 翌日の朝。リリは元気な笑顔を見せてくれた。


 そして、用があると出掛けていたルミナが、朝になり戻ってきた。


 



ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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