表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最高に可愛い童顔令嬢は、最強の守護者達に守られている  作者: 文月みい


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
103/123

リック兄様の楽しい恋愛講座(リヒト編)



【ヘンリック視点】


「ヘンリック様、お久しぶりです。」


「リック兄様、私、セドリック殿下に勝ったよ。見ててくれた?」


 応接室から出てきた二人に、それぞれ声を掛けられる。

 勝てて嬉しそうなリリと、うん、これは、怒ってるね、セドリック殿下。


「おめでとうリリ。少しだけ、殿下と話があるから、先に部屋に戻っててくれる?」


「分かったわ。セドリック殿下、今日は楽しかったです。ありがとうございました。」


「私も楽しかったよ。また学園でね。」


 手を振り部屋に戻るリリを見送り、セドリック殿下と対峙する。


「随分な事をリリアーベルにさせているようですが、どういう事ですか?ヘンリック様。」


 笑顔なのに目が笑ってなくて怖い。完全に怒っている。

 俺だって、ちゃんと分かっている。相手の男性たちがリリに向ける想いを、リリは全く気づいてない。リリは、ただ勝負をしているだけで、それが相手の男性には酷なことだと、ちゃんと理解している。


 それでも、リリには必要な事だ。鈍感なリリに、特別な想いに気づいて欲しい。


「すみませんね。殿下達には、辛い試練だったかもしれませんが、リリには必要な事なのですよ。」


 セドリック殿下の眉間が微かに動く。それでも、笑顔は崩さない。


「リリアーベルに必要とは?」


 本当は、余計に面倒な事になりそうだから言いたくないけど、仕方ない。


「実はね、リリが学園を退学すると言い出して、ユーリが説得しても諦めてくれないんですよ。それで、リリには貴族でいた方がいい理由を自覚して欲しくて、それで皆さんに協力して頂いたと言う訳です。」


 退学と言う言葉に反応して、殿下の表情が険しくなる。


「リリアーベルが退学する?どうしてそんなことに?」


「元々、双子達は、学園で学ぶ知識は習得済みです。貴族籍であるために通っていたに過ぎません。それが今回の事で、学園に通う必要ないかなって考えたみたいですね。平民になっても構わないと思っているようです。」


 セドリック殿下が、困惑した顔を見せる。いつも作り笑顔で、表情を崩さない彼の人間らしい顔に驚いた。

 殿下にこんな表情をさせるなんて、リリは本当に凄いな。


「それは、何としても止めなくては駄目だね。それで?こんな事をして、リリアーベルの考えが変わると?」


「きっとね。リリには自覚してもらわないと。鈍感なあの子も、そろそろ気づくべき時です。それに、気付けばあの子は貴族で居ることを選びます。そうじゃないと手に入らない事も有るでしょう。」


 俺が笑顔を見せると、セドリック殿下は深く溜め息を吐いた。


「まだ、気づいて欲しくは無かったのだけど、仕方ないのか。次は、リヒト殿の番ですか?」


 眉間に皺を寄せ、不機嫌さを隠さずに殿下が問う。


「そうですね。彼の番です。」


「はぁ、私はまだ、諦めたくないのだけど。」


「別に、諦めなくてもいいのでは無いですか?最終的にどうなるかは、まだ分からないでしょう。リリが誰を選ぶか選ばないか、分かりませんよ。リリにとっては、まだ始まってもないのですから。」


 でも、リリが自覚したその時から、全てが動く。


「分かりました。それなら、私も本気でいかせて貰います。ユーリに何か言われたら、ヘンリック様の許可を得たと伝えておきますね。」


 覚悟を決めた顔で、殿下が不敵に笑う。


「いや、それは、俺の命に関わるので、お止めください。」


 リリの中で、何かが変わるように、きっと彼らの中でも何かが変わるはず。


 自分の気持ちに気づいた彼らが、どんな道を選んでいくのか楽しみで仕方ない。


 可愛い双子の未来が、幸せな未来へと繋がるように、俺は楽しみながら見守らせてもらうよ。



♢♢♢♢♢♢♢


【リヒト視点】



 リリアーベルに呼び出されて、魔法塔にやって来たのはいいが、これはどういう状況だ。


 二人掛けのソファに、リリアーベルと二人で並んで座る。今日はユーリアスが留守番なので、本当に久しぶりの二人きりだ。


「リヒト、今日は私と勝負をして欲しいの。」


「勝負って、何をするつもりだ?」


 リリアーベルが、両手を差し出し、手を繋ぐようにと促す。


「私が今から目を閉じて、3秒後に目を開きます。そしたら勝負開始で、先に目を逸らした方が負けなの。いい?始めるわよ。」


 リリアーベルが説明して、直ぐに目を閉じようとするのを制止する。


「待ってくれ。その勝負をするのは良いが、俺が勝ったら何が有るんだ?」


 勝負と言うことは、勝てば何かが有ると言うことだ。それが、何なのか聞いておかないと駄目な気がする。


「リヒトが勝ったら?リヒトが勝つと言うことは、私が負けだから、学園に残るってことかな。この勝負は、私が全勝したら、リック兄様が、退学を認めてくれるって話なの。リヒトに勝てば、私は学園を退学することが出来るのよ。」


 俺に勝てばってことは、既に先の勝負でリリアーベルが勝ってきたと言うことだ。

 俺が負ければ、リリアーベルが学園を辞めて、いずれ平民になってしまう。

 それは困る。俺の願いが叶えられなくなってしまう。


「分かった。目を逸らさなければ良いんだな。それじゃあ、始めよう。」


 リリアーベルが、両手を差し出す。俺はその手を握り締め、彼女をじっと見つめる。


「目を開いたら、勝負開始よ。」


 リリアーベルは、そう言うと、大きな可愛い目を閉じた。


 いち……に……さん。


 ゆっくりと、彼女が目を開く。直ぐに紫色の綺麗な瞳と視線が重なる。


「先に逸らした方が負けよ。あっ、先に言うと、瞬きは大丈夫です。」


 そう言うと、彼女が可愛い目をパチパチと閉じて、数回瞬きをする。

 

「一つ質問だが、目を逸らさなければ何をしても良いのか?」


 俺の質問が意外だったのか、パチパチと瞬きをして、驚いた顔を見せる。 

 そのまま、少し考えてから彼女が頷く。


「目を逸らしたら負けだけど、そうじゃなければ、何をしててもいいわよ。私としては、早めにリヒトが負けてくれたら嬉しいのだけど。」


 彼女からの許可が出た。何をしてもいいなら、この状況を思う存分活用しよう。

 俺は、リリアーベルとの未来のために、ここで負けるわけにはいかない。

 

「ありがとう。リリアーベル。君からの許可も貰ったから、俺は攻めさせて貰うよ。」


 リリアーベルが、ビクッと体を震わせ、後ろに体を引こうと動く。しかし、両手を繋いでいるため、それも出来ず固まった。


「どうして後ろに下がろうとするの。そうじゃなくて、もっと此方においで。」


 繋いだ手を軽く引くと、体が少しだけ近づく。俺の方からも彼女の方へと近づくと、お互いの膝がぶつかった。


「あっ…、ごめんなさい。」


 膝がぶつかり、真っ赤な彼女が謝る。また体を引こうとするので、握る手に力を入れて、それを阻止する。


「別に謝らなくてもいいよ。俺は、もっと君に近づきたいのだから、離れないでね。リリアーベル。」


 いつもなら、恥ずかしがって視線を逸らすはずだが、彼女も勝負だからと、何とか耐えているようだ。


「リリアーベル、もう一つ質問なんだけど、いいかな?」


「な…何?」


 真っ赤な顔で、必死に見つめてくる彼女が、いつもより可愛くて、少しだけイタズラ心に火が付いた。


「視線を逸らさなければ、手は繋いでなくてもいいの?それとも、リリアーベルは繋いでいたい?」


 彼女が少し考える。答えが出たのか、可愛らしい笑顔で予想通りの返事をする。


「別に、繋いでなくてもいいわよ。視線を逸らさなければいいのだから、それ以外は負けにならないわ。」


「そうか。分かった。」


 リリアーベルが、そう答えるようにと導いたのは認めるが、余りにも思い通りで逆に心配になる。

 他の男の前でもこれでは、騙されてしまわないか不安だ。これは、男がどういう者か理解してもらわないといけないな。


 俺は、右手を離して、そのままリリアーベルの頬に触れる。


「真っ赤な君も本当に可愛いね。視線を逸らさず、可愛い君を永遠に見られるのは嬉しいけれど、少しだけ残念だな。出来ることなら、見つめるだけでなく、他にも君に触れてみたい。例えば、ここ…とか。」


 少しだけ彼女に顔を寄せ、頬に触れる手を下に滑らせ、顎に添える。そのまま親指で、彼女の唇をなぞるように触れる。


「…っ。リヒト、ふざけるのは止めて。」


 彼女が、視線を逸らしそうに瞳を揺らすが、怒った顔をして何とか耐えた。

 負けず嫌いの彼女だから、思ったよりも粘ってくる。

 そろそろ、俺も限界なのだが、仕方ないので、最後の手段に出よう。

 

「ふざけていない。俺は、いつだって君に触れたくて仕方ない。これは、本心だよ。リリアーベル、俺は君に嫌われたくないから、いつだって紳士的に振る舞おうと我慢してるんだ。でもね、俺だって、男だからね。好意を寄せる女性と二人きりで、見つめ合えば、紳士では居られなくなる事もあるよ。」


 リリアーベルと繋いだ左手を解いて、指を絡ませ握り直す。

 そのまま、彼女の指先にそっとキスを落とした。


「…ひゃあ…」


 顔も首も手も、見えてるところは真っ赤になった彼女が、小さな悲鳴を上げて両手で顔を隠す。


「ちょっと待ったぁぁぁ!リヒト、やり過ぎだよ!」


 扉が勢いよく開いて、ヘンリック様が飛び込んでくる。


「やだ、リック兄様、来るの遅いよ。」


 リリアーベルが、半泣きでヘンリック様に訴える。


「いや、ちょっと面白そうっ……じゃなくて、突入するタイミング間違っちゃったね。ごめんね、リリ。」


 ヘンリック様が、リリアーベルの頭を撫でて、謝りながらも楽しそうに笑っている。


「リリアーベルが先に視線を逸らしたので、俺の勝ちでいいよな。」


 うっすら涙目のリリアーベルが気づいたように俺を見て、口をパクパクと動かす。


「勝者はリヒト。リリ、完敗だったね。これで、退学は無しということで良いよね。」


 悔しそうな顔をしていたが、ちゃんと負けを認めて、ヘンリック様の伝える勝負の結果に頷いた。


「リック兄様との約束だから退学は諦める。でも、リヒトは、リヒトは…もう!意地悪!」


 ヘンリック様に抱きついて、顔を隠すリリアーベルの耳は相変わらず真っ赤だったが、俺自身も本当は恥ずかしくて死にそうだったのは黙っておく。



次から、ユーリ視点に戻ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ