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最高に可愛い童顔令嬢は、最強の守護者達に守られている  作者: 文月みい


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リック兄様の楽しい恋愛講座(エリオット編)



【ヘンリック視点】


「リック兄様、どう?私ちゃんと勝てたわよ。まずは一勝ね。このまま残りの人も倒すわよ。私って、にらめっこ得意なのよね。」


「おめでとうリリ。流石、俺の姪っ子は、色んな意味で最強だね。次も同じように勝てるといいね。」


 オリヴァーに勝てたことに大喜びのリリは、次の対戦を前にやる気満々だ。


 オリヴァーが負けるのは予想してたけど、あれは少し危なかったな。

 あと少し、リリが目を閉じたままだったら、確実に大変な事になっていた。

 もしも、ユーリと義兄さんに知られたら、俺の命はなかったよ。楽しいことには代償は付き物だが、さすがに命を捧げるのは無理。


「それで、リリはオリヴァーとの、にらめっこ勝負で何か思うところはあった?」


 俺の質問の意味が分からないようで、リリが難しい顔でこちらを見ている。


「何も?いつものオリヴァー様だったよ。一緒にお茶をして楽しかったし、変わったことは無かったよ。」


 先程のオリヴァーとの時間を思い出し、リリは何事も無いように話している。


「そう?それじゃあ、どうしてそんなにリリの顔は真っ赤に染まってるのかな?」


 ツンツンとリリの頬をつつくと、慌てて両手で頬を隠す。


「あ…暑いからだよ。部屋が暑くて、お茶も熱かったし、別に…それだけだよ。」


「ふーん、そう。まぁ、リリの真っ赤な顔の秘密は、本人が知っていれば良いことだからね。リリ、目を逸らしたら駄目だよ。」


 急に真面目な顔で俺が言うものだから、リリは少し緊張した面持ちで頷く。


 今回、オリヴァーが思ったよりも、良い影響をリリに与えてくれたみたいだ。

 同じ鈍感コンビに、余り期待はしてなかったけど、オリヴァーも、やっぱり男だったか。

 …となると、次のエリオットも気を付けないと、俺の命が危うくなるな。


「リリ、いいかい。目を閉じるのは、絶対に3秒だけだからね。それ以上はリリが危険だから、約束は守ること。それと、特別にアドバイスをしてあげよう。エリオットに勝つ秘策だよ。それはね………。」


「わかった。ちゃんと約束は守るし、負けそうになったら実践してみる。リック兄様、次も勝つから見ててね。」


「頑張ってリリ。」


 素直で純粋な可愛い姪っ子にエールを送り、エリオットの待つ部屋へと案内する。


 可愛い姪っ子が、その気持ちの意味を知る事が出来るように、期待しているよ。


 さて、今度はどんな変化を見せてくれるのかな。楽しみだな。



♢♢♢♢♢♢♢



【エリオット視点】



「エリオット様、お待たせしました。今日は、お休みなのに来てくれて、ありがとうございます。」


 突然、リリアーベルから呼び出され、魔法塔の一室に案内される。

 彼女の体調のこともあるので、何か相談事かと心配になって来てみれば、部屋には私とリリアーベルの二人だけ。人には聞かれたくない深刻な相談かと緊張する。


「いや、特に予定もなかったので良いのだが、それより、何かあったのか?」


 何を相談されるのかと身構える私に、リリアーベルが両手を差し出す。


(何故、両手を差し出す?まさか、私にも魔力吸収して欲しいということか?)


 リリアーベルは、定期的に魔力を吸収しなければ、魔力が溢れて命に危険があると聞いた。

 契約精霊だけで足りない部分を、オリヴァーやセドリック殿下達も、魔力吸収に協力している。

 もしかして、それだけでは足りず私の協力も欲しくて呼んだのだろうか。


「エリオット様、私と手を繋いで下さい。」


「…分かった。これでいいか?」


 リリアーベルに言われるまま彼女の両手を取る。


「それではエリオット様、勝負です。私が目を開いたら、勝負開始の合図です。先に目を逸らしたら負けですよ。」


「はっ?」


 そういうと、彼女は真っ直ぐに私を見ていた目を閉じた。


(勝負?先に目を逸らしたら負け?視線を逸らすなと言うことか?)


 ほんの数秒後、閉じていた目を開いて、彼女がまた、じっと私だけを見つめている。


 勝負の意味は、よく分からないが、どうやら今日は、このために呼ばれたらしい。

 先程の様子から深刻な相談かと思ったが、違ったようで、一先ず安心する。


 視線を逸らすなと言われたので、私もリリアーベルをじっと見つめる。


 二人とも黙ったまま、沈黙が流れる。


(いつまで、この状態で居ればいいんだ…)


 勝負ということは、勝敗が決まるまでお互いそのままなのだろうか。

 

 彼女の澄んだ紫色の瞳が、段々と潤んでくる。ただでさえ、吸い込まれそうな綺麗な瞳に、冷静さを失いそうで耐え難いのに、潤んだ瞳が庇護欲をそそり、彼女にもっと触れたくなる。

 

(この状況は、少しまずい。目を逸らせば負けなら、さっさと負ければ……。)


 ふと、それで良いのかと考える。リリアーベルは、正直で純粋で強い女性だ。

 私が、私情でわざと負けたのだと知れば、悲しむかもしれない。

 正々堂々と戦ってこそ、彼女の誠実な気持ちに答えることが出来るはず。


「リリアーベル、少しいいか。勝負の事は理解したが、視線を逸らさなければ、瞬きは別に問題ないだろう。目が乾いて辛いのは私も同じだから、瞬きはしても良いことにしないか?」


「いいんですか?それでいいなら、お願いします。」


 相当、辛かったのか、私の提案に嬉そうな表情になる。これだけの事で、喜ぶ姿に可笑しくて笑ってしまう。


「笑い事じゃないですよ。もう限界です。エリオット様、一緒に瞬きしましょう。良いですか?」


「ああ、いくよ、せーの…」


 二人同時に瞬きする。パチパチと数回、彼女が瞬きすると、両目から涙が流れる。


「視線は逸らしてませんよ。まだまだ負けません。」


 リリアーベルが、涙の流れた瞳で挑発的に見つめてくる。それが、また可愛くて、可笑しくて、笑ってしまう。

 本当に、彼女と居ると、私の感情は大きく揺さぶられ、彼女の姿に目が離せない。


「私も、まだ余裕だが、本当にどちらかが視線を逸らすまで続けるつもりなのか?」


 私の言葉に、リリアーベルの表情が真面目な物に変わる。


「勿論です。これは、勝負なのです。真面目なエリオット様なら、真剣に向き合ってくれると信じています。」


 急に彼女の雰囲気が変わり、心が落ち着かない。


「私が、悩んだり困っていると、エリオット様はいつも助けてくれるでしょう。この間の花祭りの時だって、エリオット様に助けてもらって、私も、もっと誰かのために頑張ろうって勇気を貰ったんです。いつも本当にありがとうございます。」


 突然の感謝の言葉に、驚きと恥ずかしさで思わず視線を逸らしそうになる。


「それに、私たちが初めて出会った小さなお茶会で、私の言葉にエリオット様が、笑ってくれたでしょう。私の言葉に笑顔で返してくれて嬉しかったんです。それに、あの後、雰囲気が変わって、みんながお友達になってくれました。沢山の素晴らしい友人達と過ごせるのも、エリオット様のあの笑顔のお陰です。」


 あんな昔の、出会ったばかりの事も、覚えているのか。

 リリアーベルの言葉に、全身で喜びが溢れてくる。


(私が、初めてリリアーベルに興味を持ったあの日のこと、君も覚えていたのか。)


「エリオット様と出会えて、エリオット様と友人で居られて、私はとても幸せです。エリオット様、あの時の私に素敵な笑顔を見せてくれて、ありがとうございます。」


 完敗だ。


 リリアーベルの言葉に、嬉さと恥ずかしさと、幸せな気持ちで、彼女を直視できずに視線を逸らし、右手で顔を隠す。


「リリアーベル、君、これは卑怯だぞ。そんなこと言われたら、君の事を見られないだろう。」


 リリアーベルに不満を告げると、彼女は嬉しそうに笑った。


「確かに、ちょっと卑怯だったかもしれませんが、私の気持ちに嘘偽りは無いし、本心なので、こんなことでも無いと恥ずかしくて言えないでしょう。」


 そう言って、眩しいほどの明るい笑顔で見つめる彼女は、本当に綺麗で、握った左手を離すことができなかった。



リリの勝負もあと2戦。


次は、セドリック編です。

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