遊んだあとは、世界征服よっ!!!!
ふん、あんたたちが知らない間にいつの間にか一年の月日が過ぎたわ。
その間にね、私だって成長したのよ。
今度こそ、異世界に来たんだから、異世界ならではのことをやってみせるわ。
そう、世界征服よ。
圧倒的な権力と、圧倒的な私に美貌で世界征服するの。
もちろん、作戦は考えてあるわ。
じゃあ、ついてきなさいっ!!!
一年後
できれば、この一年でなにがあったのか具体的な説明をすることはあまりしたくないのだが、異世界でも前世と同じように、時間というものは刻一刻と過ぎていくようで、その中で私は一一歳になった。
「ちょっと、いれなさいよっ」
「なによ、うるさいわねっ」
私は、レイの部屋の扉をどんどんと叩く。中からレイの声が聞こえてきたけれども、それを無視して叩き続ける。
重い扉がゆっくりと開かれて、中からレイがツンツンと尖った空気をまといながら出てくる。
私の対策なのか、扉が以前の三倍くらいの厚さになっていた。
「なによ、うるさいわねってやっぱりあんたじゃないのっ」
「カイく〜ん、一緒にあ・そ・ぼ!!」
レイなんかは気にせずに、その後ろにいるであろうカイくんに私は呼びかける。
「駄目よ。カイは私の世話があるんだから」
私が目を離している間に、レイとカイくんの距離は信じられないくらい縮まってしまったようだ。まあ、元からあまり相手にしてもらえてはいなかったが。
なにがあったか、知りたい。なんで、私が負けたんだ。
こんなにも、彼のことが好きだと言うのに。
「カイ、ちょっと着替え手伝ってよ〜」
「かしこまりました」
姿は見えないが、声だけは聞こえる。
「じゃあね、ざまあみなさいよっ」
そういって、レイは扉をバタンと閉める。あ〜あ、つまらないわ。
異世界に来たけれど、なにもいいことがないじゃないの。
「お兄ちゃんっっ!!」
「呼んだかいっ」
さっきまでは廊下の端から端までを見渡しても見当たらなかったのに、気づいたら私の目の前に立っていた。
「お兄ちゃん、私、決めたわっ」
「どうしたんだいっ、可愛い妹の頼みならなんでも僕は聞くぞっ」
「私、世界を征服するのっ」
「もちろん、なんでも叶えてあげようっ」
いっつも、レイとカイくんに無視されたあとは、気晴らしに兄になにかをやってもらうというのを繰り返す生活だ。
「工場で儲かったお金があるでしょ?」
「ああ、もちろんっ」
「それで、隣の国を攻め落とすわよっ」
せっかく王家に生まれたのだから、隣国の一つや二つ攻めないのはもったいない。なんせ、せっかく異世界に来たのだから。しかし、兄に頼んでいる間は暇な時間になるので、私は外へ出かけることにした。
一度部屋に戻り、ドレスから外を出歩いても目立たない恰好へと着替える。兄に作ってもらったジャージを着る。外で遊んでばかりいるせいなのか、ジャージを着ると私のどこか物足りないボディラインがくっきりと表れる。
転生したての頃は、靴も履かずに裸足で遊んでいたのが、流石に痛くなってきたので、結局兄に靴を作ってもらい、今はそれを履いて外に出かけている。
私が勝手に子供を呼び寄せた城の庭も、今では普通に子どもたちの遊び場となっている。年上には来てほしくないから、兄に頼んで警備員を雇うことにした。彼らに警備させているお陰で、平和と秩序が保たれている。のだろう、きっと。もしくは、私の強靭な支配力だわ。
動きやすくなった私は、ぴょんぴょんと準備体操がてら軽くその場でジャンプしたあと、部屋の外でクラウチングスタートの体勢を取り、そのまま廊下を駆け抜けた。
庭に出ると、いつものように、子どもたちが遊んでいる。
「クレアお嬢様、おはようございます」
「いちいちうるさいわねっ。静かに遊ばせなさいよっ」
そう言っておきながら、挨拶がない時はブチギレるのが私である。
「あら、クレアじゃないの?また、こんなところに来ているのっ。そんな、貴族とは思えない汚らしい恰好で民衆の前に出るなんて、恥さらしにも程があるわ」
「あんた、なんなのっ。別に、民衆なんて替えが効くんだからいいじゃないのっ。あんたこそ、処刑するわよっ」
と、ピリッとした王族ジョークを炸裂させたあとは、リリカなんかは無視して、下民たちと戯れる。リリカは相変わらずアユとテトの三人で遊んでいる。記憶によれば、私は彼女たちにずっと悪口を言われたりいじめられてきた訳だが、仕方がないので許すしかない。
構う方がめんどくさい。まあ、いじめと言っても大したことはない。ただ、人前で悪口を言われるだけだ。そんな、子どもの意地悪は私には通用しない、というもんだ。
「クレアちゃん、おはよう」
「あら、ジュピタねっ」
彼女は、同い年のジュピタという下民娘である。いっつも遊びに来ているので、会ったら話すくらいの仲にはなった。
短めの茶髪を、後ろで一つに結んでいる。地味な色の服だが、他の人もだいたいおんなじ服なので、特に言うことはないな。
「あんた、私ね、こんど世界征服するのよ。手下にしてあげるから、ついてきなさいっ」
「ついてけって、言われても、私は戦えないよ」
困ったように胸の前で手のひらをこちらに見せて、左右に振る。
「別にいいわ。戦場で私が暇になるから、暇つぶし用についてきなさいって言ってるのよっ」
「なにそれ?」
なんか、私のことはお姫様キャラみたいな感じで面白がっている程度の彼女だが、私としては、本気で世界を征服したいわけだ。
「あ、そうだわ」
「どうしたの?」
「私ね、好きな人がいるんだけど、どうすればいいと思う?」
「ハハハっ、あんたが好きな人ですってwww」
少し離れたところで三人仲良くボールを軽く投げて遊んでいただけのリリカが、こちらに近寄ってきた。もちろん、後ろにはアユとテトがいる。最近の彼女たちのフォーメーションは適当になったらしく、今は左後ろにアユとテトのどっちもが並んでいる。
「そっちこそ、貴族のくせに夢を見ないなんて、馬鹿みたいだわっ」
「そっちこそ、もう一一歳なのに、まだ夢だなんて言っているわけ?」
「あんたこそ、まだ一一歳なのに夢を諦めているじゃないのっ」
「やっぱり、あんたは馬鹿なやつなのね。そういうのを、頭お花畑って言うのよっ」
「その程度の語彙でイキっているわけ?」
後ろの二人は、以前まではリリカの方に加勢したりしていたのだが、最近ではもう諦めたかのように遠くから眺めているだけになった。
「まあまあ、二人ともさ、」
「はっ、まあいいわ。どうせ、あんたなんか隣国の気持ち悪いジジイの国王に嫁いで終わりだわっ」
「私は、カイくん一筋なのよっ」
「でも、そのカイくんもあんたが出来損ないだと思っていた妹に撮られたわけじゃないっ」
「なに、そんなこと信じてるわけ?」
「負け惜しみなんて、聞きたくないわっ。ほら、アユ、テト、こんなのほっといて私たちは遊びましょ!」
二人は、あんたが先に声をかけたんだろうが、という顔をしている。
「やっと、ゴミクソイキリ虫が帰ったわね」
「まあまあ、陰口はよくないよ」
彼女は、庶民のくせに、私よりもお上品な教育を受けてきているようだ。
「私が来たわよっ。集まりなさいっ」
そう呼びかけると、馴染みのある顔ぶれがすぐに揃う。
なんて、優越感。私の言うことを聞く下僕は、兄一人では足りないのだわ。
「いい、遊ぶわよっ」
「ねえねえ、ドッジボールしたい」「私、かくれんぼ!!」「野球!野球!」
「黙りなさい!!」
シーーーーン。
「じゃんけん列車するわよっ」
「つまんな〜い」「昨日もそうだったじゃん」「クレアちゃん、毎回ずるするじゃん」
「黙りなさいっ」
シーーーーン。
「残念だったわね。私はお姫様なのよっ。だから、あんたらなんかに決める権限はないわっ」
ブーイングが鳴りやまない中、私は一人「オーッホホホ」と笑う。
「自分で遊びたいことを決めたいなら、一回死んで異世界にでも行くことね。私は、年上なのよ」
「でも、クレアちゃん。たまには、人の意見を聞くことも大事だと思うよ」
集まった民衆にまぎれていたジュピタが手を挙げて、私が許可を出したわけでもないのに、不満を口にする。
「・・・仕方ないわねえっ。じゃあ、投票で決めるわよっ」
民衆は困惑しているようだ。
「投票ってなんなの?」
「あら、あんたたちそんなことも知らないの?あんたらにはどうせ無いでしょうけど、人にはね、人権っていうものがあるのよ。それによると、私たちは選挙っていうので国の政治をする人を多数決で決められるのよ。わかったかしらっ」
「なにそれ?」
さすがに、この年齢ではわからないか。
まあ、私のこの発言のせいでこの国の王政が崩壊するのは、もう少しあとの話である。それに、物語の本筋とは関係のない話ですから。
「あんたたちのミジンコくらいの脳みそでも分かるように言うわっ。いい、あんたたちは自分のやりたい遊びは一つ決めなさいっ。別に、他の人と同じになっても構わないわっ。みんながなにをやりたいかを聞いて、一番やりたい人の数が多かった遊びをやるってことよ、どう?」
ほとんどのガキは、七、八歳程度なので、そんなことを言ってもピンと来ていないようだった。
「お兄ちゃんっ」
「どうしたんだ、我が妹よ」
なぜか、上裸で汗ダラダラの兄が、上から降ってきた。
「なんでそんなに濡れているのよっ」
「クレアが外で遊んでいるから、雲を追い払っていたのさ」
確かに、状況を踏まえると納得できる言い草だが、それにしてもなぜだろうか。やはり、変態性が上回って肉体美などにまったく目が向かないのだ。
って、納得できないわよ。雲を払ってきたってなんなのよっ。
「紙とペンを人数分用意して」
「ああ、わかったよっ」
「用意したよ」
一瞬いなくなったかと思ったら、またすぐに空から降ってきた。
そして、なぜだか兄の手には紙とペンが握られていた。
「じゃあ、あんたたち、これを一人一つ持っていきなさいっ」
私は、兄にでも手伝わせてガキを一列に並べさせる。そして、そいつらに紙とペン(羽ペンのようなもの)を渡す。
「あの、私文字書けないんだけど」「俺も」「僕も」「私も」「ウチも」
「二人まででいいわ。いちいち言わなくていいのよ。お兄ちゃんっ」
「どうしたんだいっ」まだその場にいたので、すぐに返事が返ってくる。
「その紙に、声に反応して文字が浮かび上がるようになる魔法をかけてっ」
「クレア、その技術が開発されるにはあと五〇〇年くらいかかるんだけど、もちろんいいさっ。魔法をかけるよっ」
チャッピーなんかよりも、ウチの兄の方がよっぽど便利だ。ときどき、義兄だということを忘れそうになるくらい便利である。
兄が私の後ろでなにかをブツブツと唱えている。私には魔法を使うことは出来ないが、その代わりに他人に魔法を使わせることができる。つまり、実質、自分で魔法を使うことができることよりも便利である。
「クレア、できたよっ」
いつの間にか、兄は呪文を唱え終わったらしく、ガキどもが持っていた紙の一枚一枚がそれに呼応して光っていた。
「ありがとうお兄ちゃん、じゃあ、あんたたち、その紙に向かって自分のやりたい遊びを言いなさい」
「ペンはどうするんですか〜」
子どもの内の一人が、手を挙げて生意気にも私に質問してきた。
「ペンは関係ないわっ」
私はそいつのペンを無理やり奪い取って、遠くに投げた。
「ほら、早く紙に向かって言いなさいっ」
それぞれが、自分のやりたい遊びを口々に言い始める。すると、先程兄が魔法をかけた時と同じように、紙が光を放つ。流星のように一瞬輝いた後、そこには彼らの願いが込められたわけだ。流星とは、逆でしたね。光るのが先で、願いがあとですもんね。すいませんね。
「わあ、すごい!!」「え、これどうなってるの!」「なんか、綺麗!!」「俺にもできるの!?」
えっと、これが原因で、庶民にも王家がずっと国民に隠していた魔法が伝わってしまい、二十年後くらいに魔法革命が起きて国が滅ぶのだが、まあそれはもう少し後の話だ。
「じゃあ、集めるわよ」
またガキどもを一列に並ばせ、紙を回収する。紙を一枚一枚見てみると、確かにそこにはそれぞれのやりたい遊びが文字となって書かれていた。(説明が遅れたけど、この世界での言語はなぜか日本語なので、私でも読めるんです)(あと、名前は日本風じゃないですけど、それの理由はわかりません)(一応、もう一つ言っておくと、アルファベットとかも普通にあります)(作者より)
「お兄ちゃん、集計してっ」
「ああ、もちろんっさ」
「出来たよ」
早っ。
まだ、一秒も経ってないですけど。
「えっと、ケイドロが一位」
「またケイドロ?」
基本的には、私の要望以外が通ることはあまり無いので、いつもは私のやりたいケイドロ(ドロケイという地方もあるのかな?まあ、私の地元ではケイドロだったんですよ)ばかりやっているのだが、たまには気分転換と思った時に限って、民主主義に負けてしまったわけだ。
実に、貴族らしい皮肉である。のかな?
「まあいいわ。ケイドロね。鬼は誰がやるの?あ、お兄ちゃん帰っていいよ」
いつもは、なんとなくタイミングを見計らって自然に消えているお兄ちゃんだが、今日はその前に先手を打ってみたい、と思い先に帰るよう促した。
「ああ、いつでも呼んでくれよっ」
そう言って兄はどこかに消えた。
「じゃあ、警察はあんたたちやりなさいっ」
適当に三人指さして警察を決める。私は王家なので、王家はいっつも正義側かつ権力側なので、警察をやる。
合計四人だ。
捕まった泥棒役のガキども(といっても、同い年も何人かいるのだが)は城の壁に並ばせている。ルールは前世での通り、タッチしたら牢屋に入って、泥棒が牢屋にいる味方をタッチできたら、その人は復活することができる。全員捕まえられたら、私たちの勝ちだし、一人でも逃げ延びた人がいれば、私たちの負けだ。
時間は、いつも適当だったので、兄にタイマーを作ってもらった。作ってもらう時、いつものように「その技術ができるのは今から四〇〇年くらいあとだけど、もちろん大丈夫さっ」と言われたのを今でも覚えている。
「じゃあ、行くわよっ」
聞き覚えのあるタイマーのビーッ、という音が鳴り響く。城に住む人達も、最近はこの音に慣れ始めてきたので、もう怒られなくなった。
え?タイマーを動かすための電気はどこにあるんだって?
じゃああんたは、ディズニーランドに来て「このアトラクションを動かす魔法は誰がかけたの?」って聞くのかしら?
あら、聞くのね。
いいのよ。兄が多分ご都合主義という名の魔法で動かしているんだわ。多分。
あ、よくよく見てみると乾電池を入れる場所があるわ。残念だったわね。正解は電池で動いている、よ。
気を取り直して、牢屋をガキどもにまかせて、私は思い切り走り出す。なんだか、この世界では成長しないのがデフォなのかな、と思っていたが、毎日遊び回っているうちに、ぐんぐん足が早くなっていくのを感じる。
まずは、大人げないと言われるかもしれないが、見ての通り私は王族なので、大人げないという言葉は通じない存在なのだ。まずは、一番年下の五歳くらいの男のガキにさっそくタッチする。
最近、ようやくルールを覚えたみたいなので、いつもなら牢屋まで仕方なく私が運んでいくのだが、一人でトボトボと牢屋に戻っていった。他の警察も、もう何人か捕まえていたみたいで、牢屋にはすでに泥棒が三人いた。
「ちょっと、そろそろ見張り行きなさいっ」
自分で見張りをやろう、という考えは毛頭ないので、私はそう言ってどんどんと自分の体を加速させる。
先に機動力のある泥棒を捕まえておこうと思い、ジュピタに狙いを定める。
「ちょっと、速いって」
彼女とはまだ距離があったが、すでに自分の加速度の指数関数的な上昇に乗っていた私は、すぐに彼女との距離を詰める。そして、彼女が早さを諦めてテクニックで逃げ切ろうとした瞬間に狙いを定めて、急ブレーキをかけて一瞬止まったところを、私は止まらずにそのまま彼女めがけて走り、タッチする。
「クレアちゃん、速すぎるよ」
そういって、彼女は牢屋へと一人で歩いていった。
同い年の男子も何人かいる。さすがに、速度では彼らに敵わないので、私は頭を使って彼らを追い詰める。彼らが年下女子の警察の追跡をどう、少し手加減しながらいなそうか悩んでいたところを、私が彼の死角から接近してまず一人仕留める。
そうして、ようやく泥棒が一人になった。
Q 遊んでばっかりじゃないのっ。現実は見えているのかしら?
私 見えてますよ。それに、子供なんだから遊びますよーだ。
Q そんな子供みたいな煽り方して、恥ずかしくないの?
私 そっちこそ、子供みたいな煽り方しているじゃないっ。ていうか、いつまでこんなことしてなきゃいけないんですか?
Q それは、私たちは尺稼ぎなんだから、いつまでだって終わらないわよ。
私 私たち、ずっとこのままなんですか?
Q そうよ。喧嘩したままで、仲直りもせずに終わるんだわ。
私 喧嘩って言っても、そっちが煽ってきたんですもんね。
Q なに言ってるのよ、私はずっと我慢して聞いてたのに、あんたがいちいちいちいちこっちの質問とか相槌に突っかかってくるからでしょうがっ。私、なんにも悪くないわっ。
私 また、子供みたいなこと言っちゃって。恥ずかしくないんですか?YouTubeとか見たことあります?失礼記者まとめ、みたいな動画とかあるんですよ。名前も、職場も晒されて。
Q 別に、こっちは仕事でやっているんで。それに、もともと公表しているものじゃないですか。だから、それでも、私たちは貴方がたにずっと情報を提供してきたのに、今になって掌返しするとかありえないですよ。
私 それは、あなた方のことでしょ?毎回毎回掌返しして、ネットをけなして、私たちの居場所を失くして、世間を煽って、それにパワハラ・セクハラ・モラハラ、もう見てらんないんですよ。
Q こっちだって、あんたたちのせいでコンプライアンスができたりして、やりたいことはできないし、私個人に攻撃してくるアンチもいるし。
私 そうやって人のせいにしているからでしょ?それ全部自分がやっているっていう意識が無いんでしょ?そりゃ、あんた尻軽なんだからそうでしょうね。槍担いで、一番前ですぐ死んでればいいんだわ。
Q それ足軽でしょ?あ〜、つまんないつまんない。昨今のテレビが全部つまらないのも、あんたらのせいだわ。こういう、つまんない人が見ていれば、そりゃつまらなくなるわよ。
私 あんたたちコンプライアンスを勘違いしているみたいだけど、下ネタ言って盛り上がってるのは現場だけだから!!なんか、みんな勘違いしているみたいだけど、こっちがコンプライアンスって言っている意味わかってないわよね?
Q 知りませんし、あんたたちのせいで面白くなくなったのよ。責任とりなさいよっ。昔の、古き良き時代を取り戻してよっ。
私 古き良き時代なんてありませんっ。まず、あなたたちがつまらなくて、あまりにも目に余るからコンプライアンスが出来たんです。あなたたちが面白かったら、コンプライアンスなんて生まれません。
Q 違うわ。あんたたち見る側がつまらないから生まれたのよ。
私 だから、そうやっていつまでも認めないからそんなことになるんですよっ。コンプライアンスは、簡単に言わせてもらうけど、つまらない単語を全部禁止にさせたのよっ。あまりにもつまらないけど、「つまらないですよ」って直接言ってもあんたたちは「お前らが理解できないだけ」って言うだけじゃないですか。だから、つまらないって言うよりも、「そういう時代だし」って言ったほうが伝わるよな、と思って、そういう気遣いで教えてあげたのに、あんたたちは「コンプライアンスのせいでつまらなくなった」っていうのよ。信じられないわっ。
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「もう一回やるわよっ」
「クレアちゃん、もういいよ。ねえ?」
「あんたの希望なんて聞いてないわっ」
が、子どもたちはもう飽きてしまったのか、それぞれ自分のもともとやっていた遊びに戻っている。
「じゃあ、ジュピタっ」
「どうしたの?」
「あんたを私の世界征服の一番の助手にしてあげるわっ。だから、明日ここに来なさいっ。朝一よ」
「遊ぶの?」
「違うわっ。手始めに、まずはあそこの森を全部私のものにするのっ」
「それって、私が必要なの?」
案外、すんなりと受け入れているらしい。
「もちろんそうよっ。せっかくの異世界なのっ。ごちゃごちゃ言ってないで、協力しなさいっ」
「・・・あの、お母さんとかあんまり遅いと怒られちゃうんだけど、」
なによ、それは異世界では家庭の事情は邪魔だわ。
「お兄ちゃんっ」
私が金切り声でそう叫ぶと、地面からゴゴゴ、という音が鳴り響く。地面が大きくうねり、私とジュピタはバランスを崩してその場に倒れる。
すると、地面が急に静かになる。私は、庭の芝生に耳を押し当てて地面からの音を聞く。すると、今度は地面ではなく、庭に生えている木々がざわざわと音を立て始める。その音は、クレッシェンドしていき、そして、絶頂に達したかと思ったところで、私の目の前を突然影が覆う。
「どうしたんだい、我が愛しの妹よっ」
兄が、地面を割って登場した。
「お兄ちゃん、ジュピタの親を説得してきてっ」
「ああ、もちろんっ。終わったよっ」
今回は、まだ残像が見えているうちに兄が帰ってきた。
「速っ」
ジュピタが、驚きの声を上げているが、まだ体はその驚きについて行っていなさそうだった。パクパクと口を動かして、驚きを完全に言語化できずにいるようだ。
「俺が「いいですか?」って聞いたら「いいよ」って君のお母さんが言っていたよ」
ぎりぎりスピードに見合った仕事っぷりだ。
「え、それでいいんですか?」
ジュピタは、どこか遠くを見つめながらそんなことを言っている。兄は、そんなジュピタの顔を両手で支え、「大丈夫だ。君のお母さんにはもう許可を取った」とまっすぐと目を見つめながら答えた。
ジュピタは、目を合わせられないのか合わせたくないかわからないが、どこか遠くを見つめたまま「ええ、どうも」と答えていた。
「じゃあ、僕は潜るけど、またいつでも呼んでくれよなっ」
そう言って、兄は飛び込みの姿勢を取ると、そのまま足から地面にめり込んでいった。
「なんか、お兄さんっていっつも不思議だよね」
「普通よっ。ただ血がつながっていないだけよっ」
ジュピタは「あ、ごめん」というような顔でこちらを見ていたが、以前から勘は鈍いのに性感帯だけはビンビンな私は、そんなことを気にも留めずに、彼女に「明日の朝、絶対よっ」と言った。
ジュピタは「明日の朝早いなら、私はもう帰るよ」と言って先に帰ってしまったため、遊び相手がいなくなった私は、城内に戻った。
アニメ化してえ。




