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そんな、私のことを嫌いにならないで〜〜!!

いいわ、良い作戦を思いついたのよ。

裸でカイくんに抱きつくの。

それで、イチコロだわ。

あんな、胸だけ大きいやつよりも私の方がよっぽど大人よ。テクニックだって、完璧だわ。

よし、お兄ちゃん、早く準備してっ!!


 三人が城の中に入っていく。私は、なんとか茂みの中から立ち上がる。

 結局、こうなるのか。

 ガキしかいない中に混ざって遊ぶのはあんまり気が進まないな、と思ったので、私はふらつく足取りで城の中に戻ることにした。私が城にちょうど入ったあたりで、ガキどもの声がまた聞こえてきた。

 ふん、いいわ。別に。勝手に遊んでればいいのよ。

 そして、なんとか部屋に戻り、部屋着(白いドレス)をクローゼットから取り出す。

 服を脱ぎ、鏡の前で表、裏、と確認してみると、先ほどまで着ていたスポーツウェアはかなり汚れていた。

「お兄ちゃんっ、ちょっと来て!!」

 バコンっ、

 天井に大きな穴が開き、こじらせブラザーが激しい登場をかます。

「どうしたんだい、我が妹よ、」

 ドシンというものすごい着地音を立てて、兄が目の前に現れ、今ベッドに座っている私の目の前で仁王立ちをしている。

「この服洗ってきてっ」

「いいけれど、あまり人前で裸になるんじゃないぞっ」

 記述していなかったのでつい忘れていたが、服を脱いでまだ着ていない状態だったのだ。つい、このことを忘れていた。

「なによ、興奮でもしてるのっ」

 念のため確認したが、兄は特に焦るような様子を見せるでもなく淡々と

「そんなことはないさっ」と言いのけた。

 別に、あまり家族と思っていないので嫌悪感は無いが、普通に考えればあまりよろしくはないことだ。と、思いつつも、もしカイくんが私の弟になったら、毎日のようにトイレまでついていくし、学校の授業も後ろでずっと見守っているし、一緒にお風呂に入って、私の汚いところを綺麗にしてもらうな、と思った。

 まあ、そんな都合の良い展開は異世界作品ですらも無いけれども。

「お兄ちゃん、カイくん連れてきてよっ」

「ああ、もちろん。妹の頼みなら、なんでも聞くさっ」

「あと、Tバックはできたの?」

「今朝言っていた下着のことかいっ?それなら、もちろん出来ているよっ」

「早くちょうだいっ、ありがとう、お兄ちゃんっ」

「全然、役に立てるだけでお兄ちゃん、幸せさっ〜〜」

 兄からTバックを受け取る。これって、異世界どころか現実世界でも私が初なんじゃないか、と思う。完璧なTバックだ。しっかりと、私のいずれなるであろう豊満ボディのボディラインがこれで強調できそうだ。

 しかしまあ、義理の妹のために頑張るとか、ラノベの中でしかありえないことですわよ。いや、そうとも言い切れないな。

「じゃあ、お兄ちゃんが連れてくるから、そこで待っててねっ」

 カイくんが来るなら、裸でなければ。それが、礼儀だろう。

 それにしても、ようやくだ。昨日から連れてくる連れてくる言っておいて、連れてきてくれなかったんだから。

 一応部屋に都合よくあったタオルで体をゴシゴシと拭いた。なにか体をラッピングできるものはないかな、と探したが、部屋の中には体をラッピングするためのものなど、当たり前だがない。

 やはり、この部屋にも化粧台のようなものがあって、その中には、やはりパワーストーンのようなものがあった。これをくわえてセックスする漫画をどこかで見たことがあるような。

 よし、これだけ準備しておこう!!

 私は、ベッドの中に自分の裸体を隠した。

 そして、部屋のカーテンを全て閉じた。

 あまりにも待ちきれないので、このままベッドごとカイくんのいる部屋まで持っていってもらおうか、とも思ったが、後少しのことくらい我慢しなきゃ、と思うと下半身からなにかドロドロとしたものが溢れ出してくる。

「あ、あの、お兄様に呼び出されたんですけど、どうしたんですか?」

 扉の向こうから、これはカイくんの声よっ!!

 あ、きたきたきたきたきたきたきたきた。 

 あ、もうヤバいかも。手が止まらないわ!!

「カイくん、入ってきていいわよっ」

 カイくんがドアをコンコンとノックする音が聞こえた後に、ほんの少しの光が部屋の中に刺さる。

 私は、加えていた宝石を一度、枕元に置いた。

 カイくんがキョロキョロしながら私に近づいてくる。

「カイくん、私、おかしくなっちゃいそうで、」

 ベッドの中で、私はカイくんを誘い込む準備をする。

 もう、バッチリ濡れている。

「あの、どうしたんですか?」

「ちょっと、こっちへ来て、ウフンっ」

 カイくんが、そろりとこちらへ足を忍ばせる。

 私は、荒ぶる息をなんとか抑えて、彼に警戒心を抱かれないように注意を払う。

「ちょっと、ベッドの中入ってよ、・・・あっ」

 まるで漏れ出てしまったかのような私の高音の喘ぎに、私はあたかも「やってしまった」かのように口を両手で覆う。もちろん、指先はビチョビチョのグチョグチョだ。

「・・・なんか、変な声が聞こえましたけど、」

「カイくんは、女の子の体に興味はないの?」

 まだ幼い男の子だからな。このくらいがちょうどいいだろう。

「そ、そんな、無いですよっ」

 またまた、ムキになっちゃって。

「でも、私と一緒にベッドに入ったら何か良いことがあるかもよっ」

 暗闇を照らすウィンクを発動する。チカン、という効果音と共にカイくんの動きが明らかに鈍る。私はベッドから彼の太ももに手を伸ばす。

「ちょっと、なにしているんですかっ」

 彼は一歩大きく下がる。

「なんかぁ、固くなっちゃってるんじゃない?」

 ちょっと、お姉さんにも触らせてよ、うへへ。

「固くなんてなって無いです、・・・ない、グスっ」

 あれ、ちょっとカイくん?

「あれ、どうしたの?え、ちょっと、」

「泣いてなんか、無いですって!!」

 カイくんがそう言いながら、両手で自分の顔を拭う。

 私は心配になったので、ベッドから体を抜く。と、カイくんはすぐに泣き止んだわけではないが、泣きながら顔を私から背けようと必死に努力しだした。が、好奇心に勝てずに私の方をじっくりと見ている。

 そういえば、裸だった。

 まあ、気にしないけど。

「え、ごめんね。その、だから、」

 私は、裸のまま、カイくんに近寄ろうとしたが、彼は

「ちょ、・・・俺、なにも見ていませんからっ」

 カイくんは、しっかりと私の裸を目に焼き付けてから、走って部屋から出ていってしまった。

「ちょっと、な」

 扉の向こうから兄の声が聞こえた。

「あら、お兄ちゃん」

 そして、首を伸ばして部屋の中を覗き込んだ兄が、運悪くカイくんが逃げていく場面を見たあとだったので、私の今の状況と最悪の展開が結びつき、ありもしない誤解をしてしまったみたいだ。

「あいつ、絶対に殺す!!!!!!!!!!!」

 私は、さすがにまずいと思ったので、兄に駆け寄る。

 そして、兄の手を両手でギュッと握る。

「あ、ちょっと待って、ごめんごめん。これ、私が見せただけなの。だから、カイくんは悪くないわ」

 兄は、まだ怒りをあらわにしていたので、少し話を変えて、

「お兄ちゃん落ち着いて、着替えの途中なのを忘れて間違えていれちゃっただけなの、」と兄に伝えた。まあ、嘘だけど。

 すると兄は、少し呆れたように、でも優しく笑いかけながら、

「あのな、そういうのは絶対に気をつけた方がいいもんだぞ。その、将来クレアはお姫様になるんだから、気軽に見せちゃ駄目だ」

 と言ってきた。

 なんだか、急に真面目なことを言われ虚をつかれた私は、段々と裸でいる今の状況が恥ずかしくなってきた。

「早く服を着なさい。それと、まあ、カイくんには僕からも謝っておくから」

 お兄ちゃんはそういってため息を吐きながら部屋から出ていった。

 一応、私は兄に作ってもらったTバックを履いて、その上にいつものようにドレスを着た。どうも、モヤモヤとする。

 私は、ただ異世界を楽しみたいだけなのに。

 でも、今日は一日遊びすぎて疲れたかもしれない。なんにも、いいことがないし。というか、この体は嫌だ。

 なんで、カイくんと離れ離れになってしまったの?

 雛鳥みたいに、私は転生して最初に見たカイくんのことが、好きになってしまったんだわ。本当なら、赤ちゃんの頃からきっとやり直すはずだったんだわ。

 あのクソエルフのせいで全部めちゃくちゃよ。

 私は、悲劇の悪役令嬢だわ。

 あれ?そういえば、なんだか順当に悪役令嬢街道を進んでいるような、気がするのだが。

「カイくんも許してくれたみたいだから、これからは気をつけるのよ」

 と言いながら、突然、兄が私の目の前に現れる。

 ・・・・・

 って速っ。まだ、二〇秒も経っていないわ。もう謝ってきたってことなの?

 私は兄の方を見る。兄は、心配そうな表情でこちらを見てくる。私の肩甲骨あたりまである金髪が、少し内側にうねる。

「・・・わかってるわよ」

「いや、別にね、そんな、ただ気をつけてねってことさ。ごめんな、ちょっと言い方がよくなかったかな?」

「・・・わかってるわよっ」

「ああ、そうだな。ごめんごめん。まあ、お兄ちゃんずっと部屋の前にいるから、いつでも呼んでくれよなっ」

 私が追い出そうとする前に、兄は部屋から出ていった。

Q あらあら、嫌われちゃいますよ。

私 なんですかっ。私だって、よくわかんないですよ。いっつも、不器用だったんですよ、前世でも。

Q ほらwww異世界行ったからって調子乗ったからじゃ、ボケが。マジで、ざまあみろ。

私 ・・・グスっ、酷いですよ。なんで、そんなこと言うんですか!私、こんなに頑張ってるのに、お姫様になって、可愛い男の子にも会って、それで嫌なことはなんでもやってくれる執事までいるのにっ。

Q いっつも逃げてばかりで、そのつけが回ってきたんですよ。あなた、周りに迷惑かけてるだけなんだから、いっちょ前に自分の幸せとか語ってんじゃねえよ、ゴミブスがよ。

私 だから、そこまで言わなくてもいいじゃないですかっ。

Q そうやって、泣けば許してもらえると思ってるんでしょ?主人公でもないと、泣いても許してなんかもらえないですよ。馬鹿なんですか?いや、馬鹿ですもんね。知ってますもん。ほら、バーカ。

私 そっちこそ、そんな下らない仕事していてどうなんですか?現実見えてますか?あなたは、私を馬鹿にしているだけでいいんですか?

Q マジで、人の不幸は蜜の味だから。あんたがどうなろうが、私は金稼いで、人の不幸見て笑ってれば人生幸せなんでwww乙ですwww

私 ・・・そうですか。まあ、こっから見ていてくださいよ。

Q 羞恥プレイですかwwwまあ、こっからどうなるんかなww

私 異世界、ナメないでくださいね。

Q あらあら、脅しですか?

私 いっつもそうやって偏向報道しているじゃないですか。

Q あれは、上に言われてやってるだけなんで。

私 責任逃れですか?

Q あら、もう泣き止んだんですか?さっきのも、ウソ泣きだったんじゃないんですか?嘘ついて、親から金もらって。

私 いや、肉眼でそちらの十八番の論点のすり替えが見れるなんて思っていませんでしたよ。マジで、今感動してますよ。すっげぇ。

Q ・・・まあ、いいですよ。結局幸せかどうかですから。あなたは不幸で私は幸せ。それだけは事実ですからね。

私 幸せっていいことなんですかね?

Q なんですか、それ。負け惜しみですか?それこそ、論点のすり替えじゃないんですか?それは、自分が私より不幸だって認めるってことですよね?

私 あら、急に早口になっちゃって。そんな、負け惜しみだと思ったことにいちいち「負け惜しみじゃん」って言ってなにになるんですか?勝者だと思うなら、勝者の余裕みたいなのが見受けられないんですけど。大丈夫すか?

Q ほら、またすり替えちゃって。自分で言ったことですよね?それなら、守ってもらってもいいですかね?

私 別に、守ってますよ。というか、論点もなにも無かったじゃない。それにしても、いつもテレビでしか見れなかったこの技がこんなところで見れるとは思っても見ませんでしたわ。

Q 嫌いな割には、テレビでいつも見ていたんですか?照れてんの?ホントは、嬉しいんじゃないの?

私 なんですか、それ。嬉しくなんて無いですよ。でも、イメージ通りの人が出てきて、何一つ予想外のことをしないのは嬉しいですけどね。所詮は、あんたは凡人ですよ。

Q なんですか。私はあなたと違って大学もちゃんと卒業して働いているんで。それに、彼氏もいれば、毎日セックス三昧ですから。あんたみたいに、非合法の現実にいないちっちゃい男の子に興奮して母乳臭い乳こすりつけているような変態じゃないんで。

私 幸せな割には、口を開けば悪口ばっかり。それって、幸せなんですかね?たまには、そのカウパー臭い口を閉じて、性液まみれの頭で考えてみたらどうですか?

Q いや、あんた処女なんだし知らないでしょww

私 処女とガバマンなら、どっちがいいんですかね?

Q あんたみたいな売れ残りなんか選ぶ男はいないわよwwwたまには現実見たらww

私 そっちこそ、彼氏と結婚せずにいつまでもダラダラ過ごしていていいんですかね?彼氏のお陰で、現実を見ないでいれてるだけじゃないですか?ちゃんと、現実見えてますか?いくつなんですか?

Q 二八ですけど。まだ二〇代、希望で満ち溢れる二〇代です。

私 まだ私、一〇歳ですよ。そっちより希望もあれば、環境にも恵まれて、これから城の中で毎日踊ってればエスカレーター方式で国のトップですから。残念でした。

Q それは異世界に逃げたからでしょ?

私 逃げてないです。そっちで頑張った結果死んだからです。そんなに羨ましいなら、一回死んでみればいいじゃないですか。

Q こっちでも十分幸せですので。それに、死んだって途中で放棄しただけでしょ。こっちに同情させようなんて言い方変えるなんて、異世界にいるくせにずるいですよね?

私 そっちこそ、年下相手にずるいじゃないですか。あんた、もしかしたら自分の仕事とかに誇りを持ってるかもしれないけど、あんたのやっていることなんか誰にでもできるし、どうせあんたは彼氏いるとか言っときながら、上司のチンポしゃぶしゃぶしてるんでしょ?そんな、ゴマすり女とは話したくないわよ。こんど全国のテレビの前でそれやってみろよ。

Q なによ、あんたこそ異世界行ったと思ったら、みすぼらしい自分の裸を色んな人に見せびらかして、そのションベン臭い体で男呼び寄せて気持ちが悪いわ。私なんかより、よっぽどあんたの方がゴミみたいな生き方してるじゃないの。

私 あれ、認めるんですか?やっぱ枕営業してるんですね。そのお金で、彼氏と一緒に暮らしているの?それこそ、テンプレみたいじゃないの。彼氏がヒモとかなんでしょ?その彼氏がギャンブルとかで金溶かして、そのたびあんたがチンポしゃぶって金稼いでくるってことでしょ?ぎゃははははははwwwwww

Q 違いますぅ。彼氏は、社長やってるんで全然金持ちです〜。はい、残念でしたっ。

私 あらあなた、忘れているの?私は王家のお嬢様よ。そんな社長なんか屁でもないわっ。

Q それは、ずるいじゃないの。どうせ、あんた頭の中はお花畑なんでしょ。まず、第一ね、あんたには文句言われる筋合いは無いわっ。こっちは、生きてても辛いのに一生懸命生きているのよ。それなのに、あんたみたいに都合よく転生して、都合よくイケメンに囲まれて、そんで、都合よく自分で努力しなくても生きてイケてるんじゃない。努力もせずに。こっちは、嫌なことやって金稼いで、でもそれじゃ全然足りないから頑張ってるのよ。

私 あら、あなた。みんながみんなそうだと思っているわけ?まずね、こんなのは異世界だけの話じゃないわよね。現実は不平等だってあなたは習わなかったの?一〇歳の私でも知ってるわ。

Q まず、そうやってサバ読むのやめなさいよっ。あんた三〇じゃないの。もう、ババアだわww

私 私は、見た目も心も純粋な少女よ。話逸らさないで。いい?現実にもね、王家に生まれてイケメンだけに囲まれて大して努力しなくて良い人なんているわ。あなた、本当に現実が見えているのかしら。

Q そんなの、一握りじゃないの。私は、あんたみたいなのが嫌いなのよっ!!ご都合主義もチート能力とか転生とか!!こっちは、こんなに頑張って生きているのに、報われないんだから!!

私 そんなの、答えはわかっているんじゃないの?それに、あんた女でしょっ?

Q なによ、あんたよりもよっぽど私は女よっ。

私 少女漫画とか、読んでこなかったのかしら?

Q 嫌いだわ。パン食べながら歩いてて転校生とぶつかるわけないじゃない。

私 あれがいいんでしょ?わからないの?人類が生まれてからずっと、私たち女は夢を追い続けてきたんじゃないっ。あんたは、夢を追うのを諦めたからよ。

Q なによ。あんた言ってたけど、私だって、現実を見て、それで現実は難しいって分かったから、ジジイに股開いてそれで仕事もらってきたのよ。やっと、金持ちの彼氏もゲットできたのよっ。

私 女なのに自分の体を大事にしないからそんなことになったんだわ。私は、まだ見ぬ王子を夢見て、処女のまま死んだのよ。あんたには、もう無理だわ。夢を見る力は残っていないものね。

Q だから、あんたはずるいって言ってるのよ。あんたは、いいじゃないの。だって、夢の国にずっといるんだから。現実から逃げて、そっちに引っ越したんだから。

私 いい、一つ教えてあげるわ。ここは、夢の国よ。確かにそうよ。きっと、ディズニーランドみたいなものよ。でもね、ディズニーランドはネバーランドだけどね、異世界はイーハトーブなのよ。心がいくら大人でも、心の童話を求めていい国なの。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 私はベッドから立ち上がって、扉を思い切り開ける。

「クレア、どうしたんだいっ?」

「お兄ちゃん、昨日作ってもらった胸を支える布あるじゃない」

「ああ、なにかよくなかったのかい?それなら、僕がすぐに直すさっ」

「違うわ。あれを大量生産できる工場を作って」

「でも、工場で衣類を大量生産できる時代が訪れるのは、今から三〇〇年くらい先の出来事だぞ」

 まさしく、着ぐるみの中から汗まみれのおっさんが出てきて「ようこそ夢の国へ」と言われたような気分だ。

「お兄ちゃん、お願い!私お兄ちゃんのこと、大好きなのっ」

「ああ、もちろんいいさ。僕が、なんでも願いを叶えてあげるよっ。だって、僕の愛する妹なのだからっ」

 私はそのまま扉を閉じて、部屋に戻る。

「よし、決めたわ」

 私は窓の外を眺める。さながら、事件を心待ちにして、それだけが自分の唯一のアイデンティティであることに気づかぬまま、事件が発生すると躍起になって事件を解決しようとして、意味もなく崖上まで犯人を追い詰める刑事ドラマの主人公みたいに。

 私の、希望に溢れた瞳は、遠くの山をも超えて、そしてこの世界の端をも見通していた。


高評価、チャンネル登録よろしく!!

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