ハブアドリームよ!!!ビッグなやつがいいわ
クレアよ。
あんたたち、夢を持ちなさい。
なんでもいいけど、夢なんて誰でも持てるものなんだから。
まあ、とっとと読み進めなさい
「なんか、・・・すごいね」
おそらく、ミンスも初めての紅茶で「なんか、これおいしいの?」とか言えずにいるのだろう。
まあ、わかるよ。その、ウニとかキャビアとかを食べて、「なんか、これ美味しいのか?でも、こんなに高いんだしきっと私の舌がバカなだけだわ」となることなんてごまんとある。
「みんなは、相変わらずなの?」
日本なら、中学校とかに通ってる時期だもんな。
「まあ、いつも遊んで、家に帰って、それだけだね。まあ、仕事の手伝いとかはだんだん始めてるけど」
リュカが答える。
「ジュピタの方はどうなの?」
ユウがジュピタに質問をぶつける。
「私も、まあそんなに変わらないね。でもさ、ここ森の中じゃん」
森を勝手に切り開くのは日本でなら、かなりの法律違反になるだろうが、私の国のレベルなら違反ではあるものの、取り締まる方法がないのだ。
おそらく、一〇〇程度の軍事力は保持しているのだろう。
それに、勝手に開拓してくれているならそれはそれで助かる、というか。
とりあえず、私は女王でありながら法律のことなんて一切知らないだけなのだ。
「だからさ、男の子の友達もいないし、その、小作人の子供とかになると、もっと年下だったりするんだよね。だから、みんなに引っ越してきてもらいたいくらいだよ」
小作人とか、現代では聞かない言葉だ。
あんまり人のことを言えない立場なのだが、王政よりも悪質なものに感じてしまう。
「ジュピタ様、お持ちしました」
焼き菓子のいい香りがする。
それにしても、今作らせた割には早くないか?
まあ、気にしないでおこう。万が一のときは、兄に治してもらえばいいのだ。
「どうぞ」「どうぞ」「どうぞ」「どうぞ」「どうぞ」
メイドさんは、年下であるジュピタの言うことに素直に従い、丁寧に配膳してくれた。
パーティータイプというか、すっかり真ん中にまとめて出されたのを好き勝手食べていいのかと思ったが、メイドさんは一人前をしっかりと事前に分けてこちらに配膳してくれた。
一応、格の違いを見せるために私はメイドさんが置いてくれたときに軽くお辞儀をしたのだが、一番最初に置かれてしまったため、他の三人にも真似されてしまった。
「ほら、食べていいわよ」
出された焼き菓子は、前世でも見覚えのあるものばかりだった。
が、焼き菓子なんかとは無縁の生活を送っていたのだ。スナック菓子ばかり食べて、ジャンクフードばっかり食べて、炭酸の飲み物ばっかり飲んで。
今思うと、あの時の方が豪華だったような気さえする。
しかし、クッキーくらいはわかるのだが、真ん中に赤いジャムみたいなのが入ってるやつとか、くるくるとクッキー生地が丸められているやつとかは名称がわからない。
「あとね、これからケーキ焼くからゆっくりしていってね」
ケーキって、あのケイクか?
それを今から焼くなんて、信じられない。
パンがないならケーキを食べればいいじゃない、のケーキなのか。それはすごい。
「でさ、クレアちゃんは世界征服するって言ってたけど、どうなの?」
「あれは、全部お兄ちゃんに任せてるのよ。まあ、順調に進んでいるわ」
私よりもジュピタの家が切り開いた土地の方が、私が征服した土地よりもあきらかに多いだろう。
なんせ、征服活動なんてほぼしてないからな。
ブラを作ったけど、アパレルは誰も買わないと言われて、アパレル征服大作戦は破棄となったのだ。
さて次は、なにをすべきか。
「え、そうなの?クレアちゃんさ、私に「夢を持て」って言ってくれたじゃん」
まあ、結構色んな人に言ってるもんな。
ああ、確か別れ際に言ったな。
「私もさ、夢を持ったよ」
「いいじゃない。それは、いいことよ」
「夢ってなんの話なの?」
そういえば、三人にはまだ夢の話はしていなかったな。
「え、でも、俺ならおっぱいでかい人と結婚することかな」
結局、どこにいても男子はおっぱいおっぱい、
やれやれだぜ。
「だから、まあここにいる女子たちはちょっと諦めてもらって、」
「なによ!!」
ミンスとジュピタはそう憤る。
私は、まあ、外からそれを見ていた。
その様子を見て、リュカはくすくすと笑っていた。
それにしても、人が多くなると困る。いちいち描写が面倒だ。
「まだ、成長するかもしれないじゃない。私の双子の妹の方は、だいぶ巨乳だわよっ」
まあ、巨乳がいいとは思わないしね。その、前世では若干というか、引きこもっていた割には体型維持していたと思うけど、腹が突き出てきて、胸にも脂肪が溜まっていたのだ。その体が良かったとは思っていない。それに重いし。
今の方が、よっぽど過ごしやすい。
「じゃあ、将来俺をお嫁さんにしてよ〜」
ユウがそう言うと、私以外の三人は笑い出す。
「残念だけど、私には心に決めた人がいるのよっ」
そうそう。
もう、二ヶ月くらいカイくんの顔は見てないけど。
元気にしているのだろうか。
「それに、お嫁じゃないでしょっ」
それでまた笑いが起こる。
毎度思うことだが、私が言い返すと、まあ身分の高い人達は「なによ、生意気ね」とか、「あんたこそ」と言い返してくるのだ。
Q なんですか、私に言ってますか?
私 別に、気にしないふりしてスルーすればいいじゃないですか。
Q ・・・はいはいはいはい。ごめんなさいね。
私 またそうやって私を悪者にしたでしょ?
Q なんにも言ってないですよ。そっちこそ、自意識過剰なんじゃないですか?
私 ほら、また。だから、「私が直すべきことなんじゃなくて、そんな私を受け入れられないあんたが悪い」みたいに思ってるから、成長できないんですよ。
Q もー、うるさいですよ。ホントに。わかりました。はい、すいません。
私 序盤にしては、出番がないな、と思ってたところですから、別に気にしなくていいですよ。
Q またそういうこと言って。別に、「今度からは気をつけてね」でいいじゃないですか。そんな、嫌味ったらしいこといわなくてもさ。
私 だから、そう受け取ったのはあなたじゃないですか。まあ、言葉は確かに慎重に使うべきですよ。その、やっぱりいくらなんでも受け取り手には限界がありますから。その、「ちゃんと情報を見分けられる賢い人」とか言ってますけど、やっぱりこれはその時の気分とか、今までの偏見とかで考えちゃうじゃないですか。だから、もうここは立ち返って「正しい情報なんて無いし、自分の価値観も信じ切ってはダメ」くらいに思わないとダメですよ。って、なんで私がマスコミ相手にリテラシーの教育をしないといけないんですかっ。
Q ・・・・・・。
私 ま、まあね?あなただってインタビューなんだからもっと楽しくやりましょうよ。「ここでクイズです」とか「この作品の見どころは」とか「視聴者の皆さんにメッセージをお願いします」とか。
Q それが、面白いですか?
私 面白くないけど、でも、そういうインタビューの方が見に行きたくなる気はするんですよ。
Q ああ、そうですか。まあ、いいですよ。再生しますね。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「三人は、もう親の職業を継がないとだよね?」
「でも、酒場とか嫌だよ、私。おっさんしかいないもん!!それに、なんかたまに手伝いとかするんだけど、絶対私のこと見てる人いるもんっ」
それは、そうだろうな。
親としてそこらへんのリテラシーはしっかりとしておいてもらいたいとも思うが、事実、というか実際には男子なんて「あそこの店員かわいい」とかゴミみたいなことしか言わないのだ。
それも嫌だったな。
まあ、私がその対象だったとは思ってないけども。
でも、聞こえてきたらやっぱり嫌だよ。
「俺は、仕立て屋だけど、やっていけるかな〜」
あんたは、私が工場に雇ってあげるからいいわ。
「となると、俺もパン屋やるのかな、」
ちょっと不穏な雰囲気が。
なるべく、リュカのブラックバックボーンには触れないで行きたいのに。
一度たりとも、不穏な空気にさせないのが、今のところの目標なのだ。
「もちろん、私は女王になるのよ」
すかさず、過去の話を挿入する前に私は自分の将来の話を入れる。
「女王になったらなんでもできるでしょ?」
・・・・・・・
勉強してねえから、わかんねえわ。
「ええ、当たり前でしょっ」
まあ、女王になると、というか結局、レイがいる限りカイくんとの結婚というものはあまり見込めない。
「そういえばさ、この前リリカ様にずっとくっついてる二人と遊んだんだよ、」
リュカがこちらを向く。それにしても、アユとテトは「ずっとくっついてる二人」という扱いなのだな。まあ、確かにそれでしかないのだが。
「なんか、クレアの妹って大変らしいじゃん」
「あ、あの、すごいそっくりな子でしょ?その、最初に私をお城まで連れてってくれた子。私、一回だけ見たことある」
まあ、私なんですけどね。
「大変ってなにがあったの?」
せっかく久しぶりに会ったというのに、そんな話題でいいのか?
「え、その、・・・そんな話でいいの?」
「お姫様さぁ、」
リュカだ。
「別に、いつでも会えるじゃん。悩みとかなら、なんでも相談してよ」
そうかな、と疑問に思うのだが、まあリュカがこちらを納得させようとしてい
るのがなんとなく見て取れる。
なんか、やっぱり人の厄介事には首を突っ込みたくなるのもまた、子供だ。
「その、アユとテトからは何を聞いたの?」
なんて質問しておいて、あまり二人とは仲が良くない、というか、別に普段から喋る仲ではないのがまた不思議だ。
「えっと、そのずっと部屋から出てこないって言ってたよね?」
ミンスが男子二人に確認を取ると、二人はうん、と頷く。
「クレアちゃんっ、あのね、みんなクレアちゃんの役に立ちたいのよっ!」
ジュピタが、わざわざ椅子から身を乗り出して、私の両肩をバンッと叩く。
まあ、ジュピタに関しては私のお陰でここまで来たわけだもんな。かなりの恩を感じていても全く不思議ではない。
「俺達はさ、女王になったらお城で働かせてくれればいいからさ、悩みとかあったら、聞かせてよ。大事だから、もう一回言っとくよ」
悩みって程ではないけど、まあ、レイとの問題を後回しにしている節はある。
なんだろうな。
兄は「クレアにしか出来ない」なんて言ったけど、あまりその自信もない。
一番必要なのは、やはりレイ本人の成長なのだ。
彼女はまだ、現実が見えていない。
もちろん、現実は不平等だし、不誠実だ。
「レイ、あ、その妹にはさ、現実が必要なんだよ、夢じゃなくて」
あのときカイくんにレイに伝えといて、と言ったことを少し後悔しているのだ。
レイはまだ、現実がはっきりと見えていない。
「あっ、その、ちょっとごめんね、話変わるんだけど、夢の話だけどさ、あの、私が街を出る時の夢っていうのは「もう一度みんなに会う」ことだったんだよ。それが夢かな、って思ってたんだ。それは、今日叶っちゃったんだけど」
そうだったのか。
それは、少し申し訳無い気もする。
事前に連絡を入れたわけではないからな。
「多分だけど、その、クレアちゃんが言いたいことって、その、夢は急に舞い込んでくることがあるってことでしょ?」
「あ、そうそう!!そうなんだよっ」
突然大きく興味を示した私に、他の三人は少し驚いた様子を見せていた。
私は、出された焼き菓子を全部口の中に詰め込む。
「あ、ちょっと、落ち着いて食べなって、」
リュカは相変わらず面倒見がいいな。
まあ、ちょっとこの程度のことを注意されるのはムカつくけど。
「あ、あお、やっぱあっえ」
私は、熱い紅茶でなんとか口の中のものを腹に押し込む。
「そうよ、そう。あのね、私は乙女なのよっ」
「ああ、クレアちゃんは、女の子だもんね、」
「違うわよ。いい、乙女には、誰だってなれるのよっ」
私は靴を脱いで、椅子の上に立った。
「いい、乙女は現実を誰よりも見ているわっ!!」
ちょっと、ここからは夢見る女の子クレアちゃんの演説タイムが始まりますけど、ご容赦ください。
「現実を見ていないと、夢は見れないわ。そもそもね、夢を叶えることと、夢を見ることは全くの別物よっ。夢を叶えるためには、鏡が必要なのっ。それは、現実を見ているようで、自分しか見ていないのっ。でも、夢を見るには現実を見る必要があるのっ。夢を見るのには、鏡なんていらないわっ。自分のことなんて見ても仕方ないわっ。夢は、自分一人で見るものよっ。夢は、一人で追いかけるものなのっ」
私は、今度は机の上に乗る。
一気に、他の四人との身長差ができる。
彼らが、みな私を見上げている。
手を伸ばせば、なんとかシャンデリアに届きそうだ。
「だから、私は乙女なのっ。現実を見て、それで夢を追うんだわ」
私の心象では、私の周りをライオンとかがガオガオ言いながら走り回っていたり、フラミンゴが一気に飛び去ったり、ものすごい紙吹雪が舞っていたり、火柱が立っていたり、セクシーな衣装の巨乳のお姉さんが周りで踊っていたり、巨万の拍手が聞こえていたりするのだけれども、まああまり彼らには届いていなさそうだった。
これもまた、夢なのかもしれないな。
「ちょっと、あんたたち、順番に夢を言ってきなさいっ!!」
私は、まずはジュピタの顔を指さす。
「え、私?」
「そうよ、あんたの夢よっ」
ジュピタが立ち上がり、そして靴を脱ぎだす。
「あ、その場でいいわよ」
恥ずかしそうに、靴を履き直した。
「でも、そのみんなにもう一回会うのが夢だったんだけど、それが叶っちゃったから、」
「じゃあ、次の夢を探せばいいのよっ」
「じゃあ、クレアちゃんより金持ちになる、・・・とか」
「いいじゃないの。それでいいのよ、夢なんて、待ってたら急に転がってきたりするものよ。じゃあ、次、ミンス」
ええ、と少し恥ずかしそうに立ち上がる。
「え、・・・でも、恥ずかしいな、」
ミンスは、指先をツンツンとしながら少しためらっている。
「大丈夫よ、夢を言うなんて簡単なのよ。簡単だから、どんどん言えばいいのよっ」
本当に、そうよ。
嫌いだった。
多分、前世の私が「イケメンと付き合いたい」と言ったら「鏡見ろ」と言われる。
おい、よく考えろよ。
そりゃ、誰だってイケメンと付き合いたいだろ?
誰だって、有名人とセックスしたいだろ?
それは、見た目とか職業とか性別関係ない願望じゃないか。
別に、こっちはそれを目標としているわけじゃないんだ。
ただ、夢として持ってるだけなんだ。
「じゃあ、王子様と結婚する、とか、」
「そうよ、いいじゃないっ。恥ずかしがることなんてないわっ。じゃあ、ユウよ、」
ユウは立ち上がり、そして右腕が右耳にくっつくほどまっすぐと手を挙げている。
「俺の夢は、いっぱいおっぱいを揉むことですっ」
「は、なによそんな夢。いいわ、私が叶えてあげるわよっ」
私はこの場でドレスを脱ぎ捨ててやろうと思ったのだが、ミンスとジュピタが止めるので、仕方ない。
「いい、ユウ。そんな夢は、すぐに叶うわっ。だから、もっと大きな夢を見なさいっ」
ユウが座り込む。
「じゃあ、大きなおっぱい?」
リュカがこらえきれずに、「そういうことじゃないだろww」と笑う。私もつい、笑ってしまった。
「いいのよ、それでいいのっ。あんたの周りを見てみなさいっ。おっぱいが大きい人なんかいないわっ」
「ちょっと、その、私クレアちゃんよりは大きいわよっ」
確かに、私が断崖絶壁であるのに対し、ミンスの胸には休憩場所くらいはある。
乳首のことも考えていいなら、私にだってあるけれども、それは少しずるいか。
「夢は、大きくなくちゃっ。じゃあ、リュカはどうなの?」
最後に、私はリュカを指名する。
ゆっくりとリュカが立ち上がる。
「俺も、ちょっと恥ずかしいんだけど、ユウよりはマシだと思うけどさ、そんな大きな夢は、持ってないよ」
自信が無さそうな彼の姿を見るのは、初めてだ。
どちらかというと、彼は夢を叶える人間だと思っている。
自信が無くても、叶えてしまう人はいるものだし。
「俺さ、家はパン屋だし、市場に持ってくパンを作ってるだけなんだけどさ、その、・・・お菓子とか作ってみたいんだよな、その、仕事として」
「え、なんかいいじゃん」
「リュカって、そんな夢持ってたんだ」
ミンスとユウが口々にそんなことを言う。
「じゃあ、リュカの夢は世界一のパティシエよっ。私が決めてあげるわっ」
「え、パティシエってなに?」
「その、お菓子を作る人達のことよっ」
まあ、私としても意外ではある。
それに、まあ勝手に妄想していたことではあるが、なんかものすごい家庭に生まれたから空気読むのが得意だったりするのかな、と勝手に思っていたのだが、どうやら違いそうだ。
「あんたの夢は、世界一のパティシエよっ」
「そんな、世界一って、でも、そんなの決められるの?」
「決められないわ」
それはもちろん「味の好みなんて人それぞれだろ」とかそういうのではなく、それを決める大会なんてないだろうからだ。
「あんた、パティシエなんて努力してたらなれるわよっ。いい、私が言っている夢は、努力して手に入れるものではないわっ。ただ、人生のお供としてずっと持っておく夢のことを言っているのっ。だから、リュカ、あんたは世界一のパティシエになりなさいっ。それが、あんたの夢よ。だから、絶対にパティシエにはなりなさいっ。まずね」
まあ確かに、人前で夢を語るのって恥ずかしい。
それは、人に「あいつあんな見た目で俳優とか言ってるよ」とか、そう思われたくないからだろう。
夢で他人を判断する人はいっぱいいる。
実際、私だってそうだ。
だから、変に自分のことを見てほしくはないのだ。
アニメや漫画を見ていても、「この子は夢のために頑張っているんだ」とキャラに感情移入をしてしまうものだ。
違う。
彼女は、ただただ頑張れる子なのだ。
それに、夢を本気で信じているなら、そんな子は感情移入するに値しない。
ただ、彼女たちは毎日鏡で自分のここがいけない、だとか気を使いまくっているわけだ。
それはもちろん、すごいことだろう。
でも、私たちは運だけしか夢を叶える手段なんてないんだから。
夢なんて、持ってるだけでいいんだ。
みんな、叶えるべきものと思い込みすぎている。
「いいわね、あんたたちっ。夢なんて、持ってればいいのよ。叶えるのは難しいけど、言うのは簡単だわっ。だから、夢を持ちなさいっ。そして、絶対に諦めてはダメよっ。そしたら、もしかしたらジュピタみたいに、突然、夢が舞い込んでくるかもしれないっ。夢を諦める方が、よっぽど非効率だわっ」
どうせ、夢を叶えられない人間だ。
前世でも、異世界でも、私はただの平凡な人間だ。
所詮は、現実を知ってしまった夢見がちなお姫様だ。
でも、夢は持っていいだろ。
「なんか、あんたたち盛り上がらないわね、」
全く手応えが無いわけではないが、そうも完璧に伝わっている気がしない。
なんか、こういうときにみんなで歌を歌ったりできれば良いんだけどな。
「まあ、いいわ。いずれ女王になる私が、わざわざ教えてあげたんだから、忘れるんじゃないわよっ」
私は、大理石の高級なテーブルから降りて、椅子に座り直す。
「あの、メイド!!来て!!」
これ、店とかで「店員さん!!」とかって大声で呼ばれたら嫌なやつだな。
「ちょっと、ここ拭いて」
え、私そんな臭かったか?いや、自分では気づかないものだ。
まあ、なかったことにして、私はメイドの人が台を拭いている様子を眺めていた。
「クレアちゃんは、夢のために頑張ってることってあるの?」
完全に想定内の質問が来たァ!!
「別に、夢に向かって努力するとは言ってないわよっ」
「それはずるいよ!!でも、クレアちゃんらしいよねwww」
「お褒めに預かり、光栄ですわ」
「あ、それさ、さっき衛兵さんにもやってたやつ。別人かって思うよね?」
ユウがジュピタにそう尋ねた。
「ユウくんは、まだクレアちゃんが何かわかっていないわね。クレアちゃんは、全部わかってるもんね。私たちには、こんな感じだけど」
「そうそう」と私もジュピタに合わせる。
前世なら、きっと「表裏が激しい」とか言われて嫌われていただろうな。
もちろん、そんな理由で人を嫌う人しかいないわけじゃないのは知っているけれども。
「まあ、いいのよ。もっとさ、話したいことあるでしょ?」
そういえば、なんか話がそれていたような。
まあ、いいか。
「じゃあ、ジュピタが、二年間どんな感じで暮らしてたかを聞かせてよ」
「もちろん、いいわよ。結構長くなると思うけど、」
「その、俺、ケーキなんて食べたこと無いし、いつまでも待つよ」
私ですら、滅多に食べないのに。
そこからも、五人でずっと話し続けて、ケーキも食べて、気がつけばあっという間に夕方だ。
また見てね




