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既読無視なんて、許さないわ!!

クレアよ。

ほんと、考えるのなんて大嫌いなのに、あの兄は全然私のことをわかっていないみたい。

ほんと、めんどくさいわ。

そんな用事で呼んだんじゃないっつうの。

まあ、いいわ。

見てきなさい

 この下にあるのね。ほとんどいらない話で、困るわ。

 私は、階段を降りた。

 あ、これ、

 なんかちょうどいい位置に二つ扉がある。

 でも、これもしかして、リリカの部屋とアユとテトの部屋に分かれているんじゃないか。

 今回はリリカには用が無いんだ。

 そしたら、どっちだ。

 とりあえず、当てずっぽうだが私は右の扉を開けることにした。


「ちょっと、誰かいないのっ」


 扉を開けながらそのセリフを言ったので、中にいたリリカがかなり驚いた様子でこちらを振り返る。

 彼女は、ベッドの上でなにやら本を読んでいた。

 ・・・

 なんか、臭くね?

 ここでの生活には慣れたはずなんだけど、でも、気になる。その、昔の西洋の貴族だって臭いのを気にしていなかっただけで、気づいてはいたのだろう。いつもは、確かに気にしていない、というか私も使ってるから香水の香りで紛れていたけど、まあ、仕方のないことだ。

 それにしても、私の部屋とはかなり違う。

 質素な作りだ。

 部屋には絨毯などは敷かれておらず、木が剥き出しだった。広さも、私の部屋の半分くらいしかない。

 ベッドも、一人分の広さしかない。

 窓は壁の三分の二くらいを占めていて、非常に明るい。

 それに、ここにベランダみたいなのがあるぞ。

 おい、どういうことだ、と思い、私はベランダに出る。

 私のところには、ベランダなんかないぞ・


「あ、ちょっと、ダメ!!」


 そこには、布団が干してあったのだが、

 あらまあ、

 まあでも、私も一五歳くらいになって久しぶりに漏らしたことあったしな、と思いながらベランダの扉をそっと閉めた。


「ちょっと、なんなのよ!!!!」


 私は、ニヤニヤしながらリリカの方を向く。

 すると、彼女は泣きそうな顔で、「み、水をこぼしただけよっ」と言った。

 まあ、落ち着けよ、と私は彼女の肩をポンと叩く。

 すると、外からなにやらドタドタと騒がしい音が聞こえると思ったら、部屋の入口の扉が開いて、私はまたたく間に床に顔を押し付けられた。

 木なので、普通に痛い。


「あ、・・・あお、ちょ、ああ、あお」


「二人とも、そいつを追い出してっ」


 二人が私を持ち上げるので、私はそこで息を大きく吸う。


「なんか、変な臭いしない?」


 すると、アユとテトの動きがピタリと止まる。

 が、私は魔法なのか、完全に両手両足が動けないように固定されていたので、身動きは取れない。


「ちょっと、関係ないわよっ。早く、外へ追い出してっ」


「いや、実はさっきここで漏らしちゃって、」


 まあ、現代なら、AVとかでトイレ借りようと思ったらやけに渋られて玄関で漏らしちゃうなんてやつもあるけど、この世界ではありえないことだ。いや、そうでもないか。ただ、桶に出せばいいだけだから、漏らすというのはおかしいかもしれない。


「あ、ちょっと、あんた何言ってんのよ。そんなこと言ったらバレちゃうじゃないっ」


 あ、

 声に出したわけではないけど、リリカと声が重なった気がした。


「あの、リリカ様、また漏らしたんですか?」


 まあ、夜トイレ行くの遠いもんな。

 アユが、リリカに詰め寄る。


「そ、その、漏らしたわけじゃないのっ。そのっ、桶にお、おしっこしようと思ったら、ちょっとはみ出ちゃって、その、夜で暗かったから、」


 リリカが、人差し指をちょんちょんと突き合わせながら言い訳を並べる。


「服は大丈夫ですか?」


「だ、大丈夫よ、大丈夫大丈夫」


 アユとテトが、リリカの部屋の家宅捜索を始めた。

 どうやら、臭いの出どころを探っているみたいだ。


「ちょっと、みんな出てってよっ」


 リリカは、普通の少女らしく甲高い声でそう言い放つ。

 それにしても、アユもテトも乱暴だ。

 別に、私なんだから、そこまでしなくてもいいのに。


「ちょっと、リリカ様、手を挙げて下さい」


 アユがリリカの体を嗅ぎ回っている。

 それに、リリカは恥ずかしそうに頬を赤らめる。


「あの、失礼しますっ」


 アユはリリカのドレスのスカートの中に潜り込む。


「あ、ちょっと、そこはっ。・・・ダメ、う、あんっ」


 ちょっと、縛られてるのも相まってなんだか私も変な気分に、

 さすがに、人前でするわけにもいかない。


「リリカ様、着替えて下さい」


 テトの方は、ベランダにあった布団に気がついたらしく、それの対処に手こずっているようだった。


「アユ、私布団洗ってくるから。クレア様の方もお願い」


 そういって、臭いの元凶を抱えてテトが部屋を出ていくと、一気に空気がすっきりする。といっても、香水の臭いとかは結構あるのだが、おしっこのアンモニアに比べればなんの問題もない。


「クレア様も、なんでそこにいるんですか?」


 アユか。

 私は背筋に力を入れてなんとか彼女の顔を視認する。


「そうよ、私あんたに用があって来たのよっ」


 リリカになんか用はないのに。

 それにしても、三人は一日中くっつきっぱなしなんだと思っていたけれども、違うんだな。

 でも、きっと、アユとテトはずっと二人でいるんだろう。


「昨日そのお二人で話してたっていうから、それでなにかあったのかなって思ったんですよ」


私 そういえば、一言言わせていただきたいんだけど、


Q どうしたんですか?


私 あの、桶結構直径が大きいので、はみ出るなんていくら女性でもありえないです。その、立ちションでもしてないかぎり。


Q あら、そうなんですね!知らなかったな〜。


私 ・・・すいません、というか、今はいいですよ。今度から、その感じでいきましょうよ。


Q 急に止めて、それを言いたかったんですか?


私 いや、まあそうなんですけど。まあ、すいません。次行きましょう。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「あ、いや、手伝ってほしいことがあるの」


 私が後ろを向くと、リリカは普通に着替えていて、それもノーパンだったので、見なかったことにしてすぐに首の角度を戻す。


「あの、これ見てちょうだい」 


 アユに謎の拘束を解いてもらい、自由になった私は、そういってスマホの画面を見せた。


「あの、これはなんですか?」


「まあ、それはいいのよ」


 気にしたら負け。ですよね。


「これ読める?」


 私は、送られてきた文言を彼女に見せる。


『お前のお兄ちゃんを誘拐した』

城と城下町、そしてその周囲に広がる森。

そのどこかに、お前の兄がいる。

七つのヒントをやるから、探し出せ。

第一のヒント

王の住む場所より、ずっと低い。

けれど、王の住む場所から、その姿を見ることができる。


第二のヒント

人が暮らす場所にある。

けれど、そこに住む者はいない。


第三のヒント

森の中ではない。

しかし、森から来たものが、必ずそこを通る。


第四のヒント

火は使わない。

それでも、昼も夜も休むことなく回り続けるものがある。


第五のヒント

そこへ行くには、道を二度曲がらなければならない。

一度目は人のため。

二度目は水のため。


第六のヒント

そこには壁が三つしかない。

四つ目の壁を探してはいけない。

そこには、最初から存在しない。


第七のヒント

その人は、城下町を背にしている。

森を正面にしている。

けれど、森へは一歩も入っていない。


「て、いうことなんだけど、あんた考えてよ」


「ちょっとなによ、私にも見せなさいっ」


 着替え終わったリリカが、私のスマホを覗き込んでくる。


「リリカ、本当は漏らしたんじゃないの?」


「ち、違うのっ。本当に、夜中にトイレに行きたくなって起きたんだけど、トイレが遠いから桶で済ませようと思ったんだけど、はみ出しちゃったのよ」


 疑わしい。アユも、あまり信じていなさそうな顔をしている。


「そんなことより、アユ、あんた考えなさいよ」


「その、どういうことなんでしょうか?」


 この子とまともに話すの初めてよ。私。多分。

 どういうことって、もしかしてなぞなぞの概念を説明しないといけないのか?確かに、なぞなぞとかって現代的な娯楽の代表例なのかもしれない。クイズとかも。

 クイズくらいならいつの時代にもありそうではあるけど。

 まあ、娯楽ではなかったのかもな。


「そのね、言葉を使ったちょっと意地悪な問題のことよ。なんか、ひらめきとか言葉の裏とかを読むのよ。その、講義でテストを受けたりするじゃない」


 二人がうん、と頷く。


「テストなら、その問題を聞かれたら普通に答えるでしょ?その、なんかダジャレとか引っ掛けとか、えっと、」


 マジで、難しいな。


「まあ、さっきの七つのヒントから私のお兄ちゃんがどこにいるかを導き出さないといけないのっ」


 ここで、「なんでだっけ」という疑問が浮かんでくるのだが、まあ楽しそうだからいいじゃない。


「じゃあ、考えてっ」


「その、リュカくんとかに聞いた方がいいような気がするんですけど。彼、頭良さそうだし」


「あああ、もうあんた頭固いわねっ。わかったわ。一緒に考えるわよっ」


 テトは、布団を洗っているのでそう簡単には戻ってこないと思ったら、濡れた布団を抱えてすぐに戻ってきた。そして、それを先ほどのベランダに干し始めた。


 テトの方が真面目なのよね。


「ちょっと、テト。あんた、これ考えなさいっ」


 結局、スマホを床において四人で考えることになった。


「全部言ってる意味がわかんないわよっ。あんた、なんなのこれ?それに、フレイ様が攫われたってことなの?」


「でも、その、なんか紙とか地図にまとめたいんだけど、」


 それは、確かにそうだ。


「ちょっと待ってて、」


 私は、先ほどの電話番号に電話をかけた。

 prrrrr prrrrr prrrrr prrrrr


「え、なんなのその音は?」


 リリカがそう聞いてきたが、私はそれを無視した。

 すると、ピロンとLINEの方に着信が入って、兄から「出なきゃダメですか?」とメッセージが来たので、私はすぐに「出て」と返す。


「おい、何の用だ。進んでるのか」


 先ほどは、兄の変声というか、明らかに兄の声だったのだが、今回はボイスチェンジャーを使っているみたいで、あの体に響く声が聞こえてきた。


「お兄ちゃんっ」


「お兄ちゃんではないっ」


「あのさ、何年か前にこの世界の地図を作ってってお願いしたわよね?」


「あっ」


「お兄ちゃん?」


「お兄ちゃんではない」


「地図出来たかしら?」


「今聞いたんだけど、そ、その、お前の兄が答えてくれないんだ」


「あんたの気持ちが足りないんだわっ。ちゃんと聞き出しておきなさいっ。で、途中でもいいから、お城の周りの地図を送ってほしいの」


「あ、ああ、それでいいの?」


「LINEで送ってちょうだいっ」


「ああ、城の周辺だけの地図でいいんだよね?」


「そうそう」


「わかったよ、我が愛しき妹よっ、とお前の兄が言っている」


 すると、LINEですぐに地図が届いた。

 カラフルで、非常に立体的な地図だった。

 わかりやすく、城と街全体の様子が描かれている。


「届いたわよっ。じゃあ、またねお兄ちゃん」


「ああ、愛しきいもうt」


 私は電話を切る。


「あの、魔法なの?」


「そうよ、アユとテトだって使えるでしょ?」


 二人はうん、と頷く。

 あ、使えるの?え?マジで?そりゃ、技術の発展なんていらないわ。あ、使えるんだ。へ〜〜〜。いや、意外だな。


「ちょっと、これを見てちょうだい」


 私は、地図を三人に見せる。


「え、何よこれ?あんたが描いたんじゃないでしょうねっ」


「もちろん、違うわよっ。私のお兄ちゃんが描いたのっ」


「あら素敵」


 もしかすると、リリカは私の兄に気があるのか?

 まあ、大人な男性に惹かれる気持ちはわからんでもない。


Q あんたはショタコンじゃない。そんな気持ちなんて、わかるのかしら?


私 同級生の男子に失望する時期って、あるじゃないですか。


Q まあ、確かにそうね。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

また見てね。

あと、評価もよろしく

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